第61回宣伝会議賞コピ写②

その①↓

続きいきましょう!

①卒業までに、何C.C.飲むんだろ。


ターゲット:高校2、3年生
コンセプト:
日常のなかでふと立ち止まる瞬間

顧客インサイト:
なんでもない日々が青春だったと気付かせる
忘れても覚えている味

詳細分析:
部活動で表彰されたり、テストで一位を取ったり、スポットライトの当たる側『でない』青春。
はじける炭酸のように光っては消えていく、日記に書き留めることもないような当たり前の日常。

放課後、ぬるいC.C.レモン片手に教室に残っていつものメンバーで喋る。最近のTikTokの話とか、あの子とあいつはくっくつだとか、勉強しなさすぎてやばいとか、明日には忘れるようなことを

暑過ぎる〜なんて言って、一瞬みんなが黙る刹那、蝉時雨がやけに大きく聞こえて揺れたカーテンの隙間から青空がのぞく。

そんな瞬間にポロッと出る感情を乗せた言葉。

個人的には「ろう」ではなく「ろ。」で止まっているのがめちゃくちゃ重要だと思っている。

大人のエモではなくて、青春特有の不安定さ、寂しさ、現実逃避諸々が詰まった「ポツリ」
日本語の正しさよりも心の臨場感を優先させた一言に、大人が読んでもあの日の感情が蘇る。

口にも出さず2秒後には忘れるような、でも誰しも一度は青春の中で抱いたであろう感情をさらっと言い当てられ、胸がぎゅっとなる。

私が書いたらおそらくこうなってしまう。
「卒業までに、あと何C.C.飲むのだろう。」

こうしてしまうと大人のわざとらしさが出てしまうので、「日本語のお作法を無視する」は技として覚えておきたい。

②こんなにかわいいのに、こんなにわからない。

ターゲット:プレママ、プレパパ
未就学児で相談先がない
嬉しさよりも不安が勝っている

コンセプト:
吐き出す

顧客インサイト:
共感、自分だけじゃないという安堵
行ったらなにか変わるかなという期待
「わからない」を受け止めてもらえる居場所

詳細分析:
ミルクもあげた。オムツも変えた。抱っこもしているのに全然泣き止まない。
かわいいという感情と、「自分がこの子の命を握っている」という不安。「なんで泣き止まないの」イライラにすら自己嫌悪する日々。
「ごめんね、こんな親でごめんね」
周りに頼る余裕すらなく、貴重な睡眠時間は検索魔と化す。この子は他の家に生まれたらもっと幸せだったのかもしれないと泣きたくなる。

そんな限界ママパパに「外に出る」という選択肢を与えてくれるコピー。

「なんだ、みんなわからないんじゃん。親だって、みんな泣いてるんじゃん」

同志と先生のいるアカチャンホンポに行ってみたくなるような、ホッとする一言。

ひらがなにすることで「かわいい」「わからない」の語感が似ていることが顕著になり、両者がぐちゃぐちゃに混ざった感情が表現されている。

「こんなに」を2回も持ってくることで、限界さがくっきりとして溺れているような印象を受け、共感度が高まる。

アカチャンホンポに
定休日はありません。
親がそうであるように。


ターゲット:子どもが複数いるパパママ
コンセプト:
いつもお疲れ様です。

顧客インサイト:
いつでも足を運べる
いつも一緒に闘ってくれる
自己肯定感アップ

詳細分析:
「そうなんだよ!本っ当に親って全く休みないよね!」と話しに行きたくなるようなコピー。

他のアカチャンホンポ受賞コピーは共感メインだったが、こちらは一線引いた向こう側にいる人の労いを感じる。
プレママプレパパというよりは、育児に慣れてきた二人目三人目の目まぐるしい日々を送る人へ向けた言葉であるような気がする。

スタッフさんと毎回言葉を交わすことはなくても、このコピーを店に飾ればそれだけで、「いつもおつかれさまです」と言ってもらえたような気分になる。

「定休日はありません。」の一言は、営業日検索の手間で相手を逃がさない。興味を持った感情の新鮮なうちに「じゃあ今日行ってみるか〜」という具体的なアクションにまで繋げるしたたかさがある。

下手な労いの言葉より粛々とした伴走感が嬉しい。

私なら最後の句点は取ってしまうんだろうなと思った。言葉のエコーというか、句点なしの余韻というか、無駄に感動に走らせるばかりはときにわざとらしく相手が心を閉ざす原因になりかねないため、こういうぴしっとした言葉も書けるようにならなければ。

どれも素晴らしくて、情景が浮かびすぎて、分析と妄想の境目がわからなくなってきました。


後日③へ続く

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