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単語探知機タンタンゴデザイナーズノート

戸塚中央さんのゲームデザイナーへのインタビュー記事募集をみて記録としてインタビューのnoteを書くことにしました。単語探知機タンタンゴは共作なので少し変わった部分もありますが、誰かの制作のお役に立てるのなら幸いです。

回答はイトオアキヒロ(以下イ)とふわふわ(以下ふ)が順番に答えています。
前半は角刈書店やデザイナーについて、後半は単語探知機タンタンゴについてです。


Q1. デザイナー名、サークル名を教えてください

イ:アキヒロイトオと申します。ミッシェルガンエレファントが好きで、カタカナの名前に強いあこがれがあったので、それを踏襲してちょっといじりました。
角刈書店というサークルに所属しています。その由来は…代表の"ふわふわさん"のインタビューをご覧ください。

ふ:ふわふわです。藤川と名乗っていることもあります。その辺の設定は曖昧です。角刈書店所属です。

Q2. ボードゲームにはまったきっかけとなるゲームはなんですか

イ:具体的に何からどう始まったかというと…最初に買ったアナログゲームは「ごきぶりポーカー」です。2011年の大学のバンド系サークルで行う合宿で練習の合間合間にやっていました。
お恥ずかしい話ですが、それから、2016年に「インサイダーゲーム」の出版に際して、調査を兼ねて購入するまでほとんど一切遊んでいませんでした。
オインクゲームズでの打ち合わせの際に人生で2回目のボードゲーム購入で、「海底探険」「トロル」「ツインズ」「エセ芸術家ニューヨークへ行く」を購入した記憶があります。(違ったらスミマセン佐々木さん;;)
ボードゲームを集めるきっかけになったのは、そこからです。

ふ:記憶が曖昧なのですが、ハゲタカのエジキじゃないかなと思います。

Q3. 好きなボードゲームやジャンルを教えてください

イ:作品で言うと「コードネーム」「ラミィキューブ」です。
好きなボードゲームの要素は、「インストを終えたら平等である」というところで、重いゲームはめったに遊びません。
(コロナ禍以前の話ですが…)僕が遊ぶグループも固定メンバーで集まるというよりかは誰が来るかわからない、というような状況も作用しているとおもいます。

ふ:ジャンルにこだわりなくいろんなゲーム遊びます。軽いゲームより重いゲームの方が多いと思います。最近だとイーオンズエンド、ハラータウ、プロジェクトLが好きです。


Q4. 所持ボードゲーム数はどれくらいですか

イ:ざっくり概算ですが100個弱だと思います。ただしほとんどが軽ゲーですね。

ふ:2019年に軽く数えて100個ぐらいでした。今でもだいたい同じ数だと信じてます。

Q5. ボードゲーム製作を始めたきっかけを教えてください

イ:「インサイダーゲーム」を製作する際、ブラウザで遊べるような形態を目指していましたが、紆余曲折あって、アナログゲーム制作にご縁ができるようになり、最終的に現在の角刈書店に参加することとなりました。奇妙な話ですが、そこからふわふわさんと一緒に考える機会が増えて続いています。

ふ:諸事情から「ボードゲームを作ることができなければ角刈にする」という恐ろしい企画に参加してしまい、それがきっかけに2018年にボードゲームを作り始めました。そんな最中でイトオさんと高田馬場で会う機会があって、角刈間際まで追い詰められていた様子を見かねて助け舟を出してもらいなんとか角刈りを免れることができましたね。

Q6. 普段はどのような環境で製作してますか

イ:布団の中で携帯片手にアイディア出しをして、TableTopSimulatorで実際にテストプレイをするというのが最近のデザイン手法です笑
実際目が悪くなるのであまりお勧めしません。

ふ:イトオさんとのテストプレイはTabletop Simulatorですね。それ以外だと雑談に投げて会話からモックを作ったりしますね。Tabletop Simulatorに上げる前に物理テストプレイキット作ることもありますが、なんらかの形でオンラインでのテストを挟みますね。

Q7. 製作に関して、ポリシーやこだわりがあれば教えてください

イ:思いつきで動く方の人間なので、ゲームデザインに関する哲学のようなものはあまりありません。むしろ「柔軟さ」と「リスペクト」が自分の中でキーワードになっています。一緒に作業していただいているふわふわさん・よしはらヨシさん、テストプレイに参加していただいた方のご意見などはすごく参考にしています。もちろん譲れない部分も当然あるのですが、その上でバランス感覚を大切にしたいと思っています。

ふ:問題点が出たり迷走したときに、問題を解決したところで面白くならないことがどうしてもあるので、このゲームは「何を楽しむのか」「何が楽しいのか」を明確にしてそこをどうすると強化できるかなと言う点を考えますね。そこが落ち着いてからプレイ中に遭遇する問題やストレスを解決しますが、楽しさが安定してからそこに取り組むようにしています。


■タンタンゴについて
Q8. タンタンゴのルールやテーマを簡単に教えてください

イ:単語を当てる協力ゲームです。コアとなる遊びは「複数のお題から共通の部分とそうでない部分を見つけ、それを言語化し伝える」というものです。詳しくはYoutubeに短い動画があるので見ていただけると嬉しいです。

ふ:高難易度協力ワードゲームと呼んでいます。慣れてても全問正解するのはかなり難しいですね。お題を当てるためのヒントを書くのですが、ヒントを書くのが「お題が決まる前」のタイミングで書くと言う部分が非常にユニークで面白いですね。


Q9. どのようなプレイヤー(年齢、趣味、好きなゲームジャンル等)に遊んでもらいたいですか

イ:我こそはワードセンスが光っているぞ、という方に遊んで欲しいです。…これは角刈書店のメンバーも知らないと思うんですが、じつはデザイン中から「伊集院光さんやタモリさんが楽しいと言うようなゲーム」を目指してました!笑

ふ:ボードゲーム好きな人はもちろん、ボードゲームやり始めたばかりの人にもオススメな作品です。好きなゲームジャンルはワードゲーム、コミュニケーションゲームが好きな人ですね。やいのやいの言いながら遊んでもらえると嬉しいです!

Q10. 今回のゲームを製作するきっかけは何でしたか


イ:タンタンゴを原型となるゲームは「水平思考クイズ」+「パズル」で、それを思いついたのが直接のきっかけです。副次的なものですが「在宅勤務」もありますね。笑

ふ:きっかけはイトオさんかな…?その前にあった別のボツゲームの遺伝子も残っているかもしれない。ちょっと曖昧です。

Q11. システム・ルール制作において、苦労した点や工夫した点はありますか

イ:原型からタンタンゴと命名される直前までの間の変遷から失敗を何度かすると強制終了してしまうようなシビアなゲームでした。それは問題だと指摘を受け、"ほどよい"難易度調整がしたかったのですが、それを実現するのにかなり苦労しました。単純な表示枚数の変更だけではなく、してみはい」「いいえ」から「当てはまる度」へのアナログ化や、ライフ性に変更、共通手札から単独手札などなど、システムに手を加えることで、初期より遊びやすいマイルドなデザインになりました。全て自分のアイディアというわけではありませんが、この変化は大成功だと思います。

ふ:イトオさんも書いていましたが、どの人数と組み合わせでも"ほどよい難易度"にするのにとても苦労しましたね。ザ クルーやザ マインドを参考にミッション式にするやり方や、初級中級上級を用意して初心者でも楽しめて慣れても楽しめるみたいな調整も試みたのですが、そっちは上手くいかなかったですね。最終的にはゲーム中に難易度が上がっていく形式にして、最初はちょっと簡単気味だけれども、ゲームを進めていくとしっかりやりごたえのある調整になっています。

Q12. 今回のテーマを選んだ理由はなんですか。苦労した点はありますか

イ:初期は論理パズルのようなプレイ感覚だったので、"工場の仕分けライン"や、準備してから戦闘する、というようなところで"タワーディフェンス"をイメージしていました。ただ、上記のアナログ化によってレーダーというのを思いつき、それをそのまま採用しています。
初期のものよりもみなさんに馴染みがあると思いますし、とても気に入っています。
…「ワーどれーだー?」なんてタイトルも案として出ましたが、こちらは"とある部分"以外では採用されていません。興味があればぜひ探してみてください。

ふ:タンタンゴという名前はかなり前に決まっていましたね。単語探知機タンタンゴという七五調のタイトルが決まり、タンタンゴはどういう機械なのか、何故お題を伝えるのにこんな難しい方法を使っているのかを無理やり納得できる物語を考えるのに苦労しましたね。

Q13.イラスト・アートワークにおいて苦労した点やこだわりはありますか

イ:このあたりはふわふわさんにお任せしています…。すみません!

ふ:イラストはインベードさんに依頼しただけなので大して苦労はしていないのですが、その前の段階のコンポーネントを決める段階での苦労はありましたね。5人で座るテーブルの大きさを仮に90cm x 90cmに仮定してみんなから手の届くところに置いて5人プレイ時に使う最大量のコンポーネントを広げた際に90cm x 90cmに収まり、小さすぎず、カードは並べて見易く、シャッフルしやすいサイズと厚みを考えて決めました。その後所持しているボードゲームの箱の中から、コンポーネントの総量を鑑みて、無理なく箱に収まる大きすぎない箱を検討して今のサイズになりましたね。ウチバコヤさんのアマルフィを参考にしていて、縦横はほぼ一緒、厚みがタンタンゴの方が厚いです。

Q14. タンタンゴはどのようにすれば手に入れることが出来ますか

イ:ゲームマーケットで確実に購入することができると思います。このあたりもふわふわさんにお任せしています!

ふ:ゲームマーケット後はイエローサブマリンや全国ボードゲームショップ、家電量販店やAmazonでの販売を目指しております!

Q15. 最後に改めてタンタンゴの魅力・強みを教えてください

イ:いくつかありますが、最強の魅力は「2人で遊べるワードゲームとしては過去の名作に並べる完成度である」というところです。2人プレイの時はゲームルールを変えたりして遊ぶゲームが多いと思いますが、タンタンゴは3人以上で遊ぶルールと全く同じプレイ感覚で遊ぶことができます。…かといって2人専用ゲームでもありません。2人から5人であれば、どの人数で遊んでも同じくらい楽しむことができます。

ふ:繰り返し遊べるような面白さを持ったゲームになるように調整をした結果、コンポーネントも繰り返しの遊びに耐えうるものにすることになり、カードが500枚入っています。前回使ったお題の組み合わせが頻繁に被ることはほぼ無いでしょう。全く捨てる必要はありませんが、最大人数で遊んだと仮定して、毎回遊んだカードを捨てていったとしても20回以上遊べます。定価4510円(ゲムマ特価は4000円)と少しお高いのですが、コンポーネントや出来栄えを見るとコスパめちゃくちゃ良いなと思います。

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