見出し画像

おいしさの裏側 ~復刻菓子「雪ノ下一丁目」~〈前編〉

鎌倉紅谷は2024年、創業70周年を迎えました。これを記念して「雪ノ下一丁目」と「はちまんじゅう」、2つの“復刻菓子”を販売しています。
今回はその中で、「雪ノ下一丁目」の企画の裏側についてご紹介します。

「雪ノ下一丁目」は、パウンドケーキとバタークリームを交互に重ねた、シンプルな中にこだわりが詰まったケーキです。
→「雪ノ下一丁目」の詳細はこちら

*****

洋菓子職人の2代目が開発し2021年まで販売していたケーキ「鎌倉の鐘」を改良、よりおいしく、装いや名称も新たに「雪ノ下一丁目」として復刻させました。

今回は、「雪ノ下一丁目」の商品名やパッケージデザインへ込めた想いについて、開発メンバーに取材を行いました!

〈商品名について〉
一見住所のように感じる新しいお菓子の名称「雪ノ下一丁目」は、まさに八幡宮前本店の所在地からとった名前です。

きっかけは、社長・副社長がお菓子の試作品を初めて見た時に、その形が「八幡宮前本店の建物に見える」と感じたことでした。そこで商品名は「八幡宮前本店」に一度決まりましたが、実際の店舗名と同じだと混乱を招く可能性があるため考え直すことに。

社長・副社長から開発メンバーに、「八幡宮前本店をコンセプトにした商品名を検討したい」という話とともに課されたお題は、〈これまでの歴史を感じさせながら、鎌倉紅谷らしさを忘れず、お菓子への想いが伝わる名前〉でした。多くの案が出ましたが、今ひとつ腑に落ちないまま商品名が決定せず時間ばかりが過ぎていきます。

2021年まで販売していた「鎌倉の鐘」。
商品名は、鎌倉本覚寺の鐘に雪が降り積もる様子を表現したものでした。

そんな中、ある会議で社長が口にした名前、それが「雪ノ下一丁目」でした。「雪ノ下一丁目」は、コンセプトである八幡宮前本店の住所であるとともに、鎌倉紅谷の創業地でもあります。“私たちのスタート地点としての誇りを忘れない”という意味も込め、新たな姿で鎌倉紅谷に返ってきたこのお菓子に相応しいと考えてのことでした。

開発メンバーとしては、先にこの商品名を提案できなかった悔しさもあったそうですが、なにより「鎌倉の鐘」を継ぐ商品に相応しい名前になったことにメンバー一同嬉しさを覚えたそうです。

八幡宮前本店

〈パッケージデザインに込めた想い〉
社長・副社長は商品名と同様に、お菓子の試作品を見た時からパッケージデザインも八幡宮前本店そのものを表現しようと決めていたとのこと。
早速開発チームとデザイナーで、八幡宮前本店の建物の内外をくまなく見て回り、建物の外観と1階~5階までそれぞれの階の様子を表現しようと、ポイントとなる場所や雰囲気をチェックしました。また、建物の設計図も確認し、建物の幅、奥行、高さの比率とパッケージのそれらとがほぼ同じになるように仕上げていきました。
八幡宮前本店は、2018年のブランドリニューアルの際、Canuch Inc.さんに空間をデザインしていただいたもので、今の鎌倉紅谷のブランドイメージをつくり上げる土台となっています。ブランドリニューアルを経て新たなスタートを切った原点となる建物を、想いを込めて再現しようとしました。

そうして完成したパッケージは、化粧箱外側の「蓋」部分に建物の外観を描き、蓋を開けると建物の中の様子がポップに描かれた「身箱」が現れるデザインでした。

当初のデザイン案。
それぞれの階の様子をイラストで表現していました。

一度は完成したデザインですが、何かが足りないように感じたそうです。
“お菓子とともに我々がお伝えしたいことは何か…?”
それは、創業70周年に際して「雪ノ下一丁目」というお菓子に込められた“鎌倉紅谷の本質”ではないかと考え、「身箱」にある工夫をすることに。また、「身箱」の変更に伴い、「蓋」のデザインのテイストも変更しました。

化粧箱「蓋」のデザインについて
化粧箱外側の「蓋」部分には、八幡宮前本店の建物外観を、リアリティがありながらもデザインとしてのバランスを考えて描きました。壁面のレンガ部分は実際のサイズ感だと小さくなり過ぎるため、視覚的にわかりやすく雰囲気の出るサイズに調整しています。また実際の建物の色はグレーですが、鎌倉の空気感を感じていただけるように、空の色を纏ったような爽やかなブルーで表現しました。そして、“雪ノ下”という美しい日本語の響きと合う“淡さ”や“滲み”を水彩絵の具で表現しています。

化粧箱の「蓋」部分

化粧箱「身箱」のデザインについて
身箱」に施した工夫、それは、創業時から変わらない“おいしさへの追求”と“誇り”を持った鎌倉紅谷の職人たちの姿、そして八幡宮前本店の歴史と想いを描くことです。
「身箱」内側のデザインは、左から右に向けて、過去から現在に至るまでの変遷になっており、真ん中には新しい「雪ノ下一丁目」を心を込めてつくり上げる実在の職人をモデルとして描きました。イラストは硬くなりすぎないように気をつけながらも70周年の伝統を感じられるタッチで描いています。

化粧箱の「身箱」部分

時代とともにお店や作り手は変わっていきましたが、お菓子への情熱・想いは変わっていないということを感じていただけるよう工夫を凝らした化粧箱。ぜひ、お菓子とともにお楽しみいただけますと幸いです😊

次回は「雪ノ下一丁目」の製造の裏側をご紹介いたします!
どうぞお楽しみに✨

鎌倉紅谷 公式サイト(https://beniya-ajisai.co.jp/)内「お知らせ」では、
商品の販売情報についてご案内しております。

「雪ノ下一丁目」の販売については、以下よりご確認ください👇
https://beniya-ajisai.co.jp/news/post_news/14371/