見出し画像

源氏物語 7

『源氏物語』第十四帖「澪標」から第二十一帖「少女」までは、京に復帰した光の栄華に向かう足固めとなる物語。このあたりの雰囲気を象徴的に表しているのは第十七帖の「絵会」である。藤壺との不義で産まれた冷泉帝が即位し、光は内大臣となって、明石の君は女子を授かる。六条御息所が出家後、娘を光に託し世を去り、末摘花や空蝉との物語をはさんで冷泉帝に入内した故六条御息所の子の絵画への造詣がクローズアップされることになる。「絵会」で語られる競い合いは、単なる典雅な趣向ではなく政敵との鍔迫り合いでもあり、当時の批評眼も分かる内容で、筆致そのものが興味深い。この後、明石の君の子を紫の上の養女とするなか、最愛の藤壺の宮が逝去して、光自身、自分自身の在りようを顧みる。第二十一帖「少女」の巻で、光にあっての理想郷、四季の町からなる六条院を完成させて、物語は第一部後半の山場、玉蔓十帖へと続いていく、光は35歳位、禁断の子夕霧は12歳で元服、という次第で、日々、読むスピードが上がって行く←敬愛する作家保坂和志は、読む速度が上がることを厳しく諫めているんですが(笑)           2021/06/06

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?