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「かまスス・マルシェ」大成功の舞台裏

なぜ、こんなに一日楽しかったのかが気になり、出口調査の手元メモをテキストマイニングしてみたところ、「好きだ」の気持ちが真ん中に出た!

アンケート結果のテキストマイニング
※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析( https://textmining.userlocal.jp/ )


好きで起業し
好きでマルシェに出店し
好きな人たちと共に開催できたからこそ
自分たちも楽しく、来場者の皆さんにも楽しんでいただけたんだと分かった。

より細かく舞台裏の話を読みたい方は、ぜひ本編お読みください↓


1.なんで「マルシェ」だったのか?

お互いの事業をもっと知りたい

「かまくら起業のススメ」(通称:かまスス)2023年度のプログラムでは、平日夜コースと、土曜日昼コースに分かれていた。

ただ、受講中に何度か、両コースメンバーの交流ができ、知ろうと思えば自分が受けていない方のコースのメンバーの事業内容を知る機会もあった。

その交流プログラムに、休日コースの「なっちゃん」が参加していた。平日コースは、事業準備が進んでいるメンバーが多い上、素敵な事業が多いと感じた。

同じ「かまスス」メンバーでありながら、お互いの事業を知らずに終わるのはもったいないと感じ、「交流を目的として『かまスス』メンバーでマルシェをやりたい」というアイデアが、ふつふつと湧き上がってきた。

2.実現までのプロセスは?

3人の発起人

休日コースには、マルシェ開催について詳しいまりちゃんがいたため、なっちゃんはまずまりちゃんに相談し、「そのアイデアいいね!」となった。

二人でマルシェ開催の構想を練り始めた。

その構想をたまたま聞いたのが、今回の立役者である休日コースのしがちゃんだ。

しがちゃんは、コーチングで起業しており、もともと誰かの夢の実現を心から応援したくなる気質。
それに加えて、日頃から、供給者と消費者がはっきり別れた資本主義社会に疑問を持ち、供給者も受給者も混ざり合う豊かな地域社会の実現を目指したいという気持ちがあった。

「かまスス」も、ずっと、提供されるプログラムを受けているばかりではなく、受講生である自らが主体的に働きかけて行動を起こせば、自分たちの手でこのプログラムの価値をもっと上げることができると感じていた。

そんな時に、なっちゃんから「かまススマルシェ構想」を聞いた。

直感的に「いいアイディアだから、アイディア止まりにしたくない。」と思った。

世の中には、「いいね!やりたいね!」と言いながらも、そのままアイデアも言葉もいつの間にか消えていってしまうことがほとんど。

でも今回は、かまスス参加者が、自分たちでプログラムに働きかけて、主体的にプログラムをつくっていくという姿を見せるいい機会にもなる。

「絶対やりたい!」という思いに駆り立てられた。

こうして、なっちゃん、まりちゃん、しがちゃんの3人が発起人となり「かまススマルシェ」開催に向けて動き出すことになった。

周囲のとまどい

そんな3人の熱い想いや話し合いを知らない「かまスス」の他のメンバー。

3人の発起人から「かまススマルシェやります!みなさん出店しませんか!?」とアナウンスがあったとき、
「素人だけでマルシェ運営できるのかな?」
「まだ商品もできていない私たちがマルシェなんてできるのかな!?」
「新規のマルシェに、お客さんは来てくれるのかな?」
と、マルシェ開催に半信半疑だった人も多かったと思う。

その証拠に、最初は、出店者として名乗りを上げてくれる人が少なかった。

でも、その状況でも発起人3人の気持ちが冷めることはない。
3人がそれぞれ、「かまスス」メンバー、一人一人に声をかけ「自分の事業を一人でも多くの人に知ってもらう機会にしよう」と、出店希望の手がポツポツと増え始めた。

最終的に10店舗がリアル出店してくれることになった。

成功の秘訣は、能動性・主体性

リアル店舗出店という形だけではなく、当日に事業紹介のチラシを置くだけの参加スタイルや、当日のお手伝いだけの形など、みんながそれぞれ無理なく参加しやすい形でマルシェに関わることができるようにしたのが良かった。

(筆者も、マルシェ参加までに、自分の事業を形にする心と時間の余裕が持てず、当日出店は断念。その代わり、当日の記録係を申し出て、楽しくこの記事を書いている)

皆、マルシェ素人ながらも、みんなが能動的・主体的に無理ない範囲で参加ができる寛容的な雰囲気が功を奏し、当日はあたたかな雰囲気づくりにつながった。

しかし、これは自然発生的にそうなったのではなく、発起人の一人であるしがちゃんの葛藤から意識的に生み出され守られているものだった。

というもの、しがちゃんは期初、企業でバリバリ働いていた自分の過去の経験から、「かまスス・マルシェ」も、はじめは当日までの工程表をビシッと作ろうと考えていた。

その場合は、バックアッププランを何個も用意するので、失敗がなく、決めたこともきっちり実行できる。

でも、それは、まるで機械のようなやり方。
一人一人が個性的でイキイキとしている「かまスス」らしくないやり方。

しがちゃんは、これから、人間らしさ、感性を大事にした事業を起こしたいと考えていたので、ここで「工程表」を作り出したら、昔の綿密で隙間なく柔軟じゃない機械っぽいことになってしまう

せっかく面白そうだったアイデアを、自分のせいで、決めたこと以上のことが起きない、つまらないものにしてしまう!

そう気づくと共に、仕事に対する考え方がアップデートできていない自分にがっかりした。
そして、工程表を作りかけた手を止めた。

「みんなには個性を最大限に発揮してもらいたい。自分はその環境をつくるバックヤード」という気持ちを自分の中で再認識し、当日の工夫の余地・余白があえて残るような準備方法に変えたのだった。

そのため、当日のマニュアルのようなものもあえて作らなかった。

ちなみに、催日直前に流した連絡は、ごく最低限(搬入可能時間、出店者のフロア割、お昼は持参、火気厳禁のお知らせ)だけだった。

出店者が決まった

発起人3人で、会場の場所を決め、開催の目的を「かまススのみんなで一歩目を踏み出す」に設定した。

「鎌倉で繋がる起業家たちの交差点」というキャッチコピーを作り、告知画像やポスター、ウェブサイトも作った。

当日の告知

▼当日の出店者紹介

HPを作るのは初めてだったが、協力者を募ったり、Yahoo!の記事を書いてもらったり、知り合いに今回のイベント来場を誘うのに大変役立った

意外に細かい、手続きなど

  • 食品をマルシェで売っても良いかを役所に確認

  • マルシェ当日何かあったら誰が責任を取るのかを記した契約書を締結

  • ご近所さんへのご挨拶

  • 出店者とのコミュニケーション・情報共有方法の模索

  • 一般告知の方法の模索

  • 告知ポスターのデザイン・印刷・貼る(サステナブルにしたく、木とか廃材も迷った)

  • 自転車置き場をいつもとは別の場所で確保できるよう交渉

  • 当日使う備品の確保

などなど、想像していたよりも事務仕事は多かった。

自主的ではなく、ふられた仕事だったら、途中で心が折れそうな作業量だ。

(なにしろ、平日の本業×休日の起業準備×マルシェ準備なので、とても忙しい)

しかし、発起人3人各々「これも、マルシェをやろうと思わなかったら経験することのなかった貴重な経験」ととらえ、できることをやり、進捗を報告し合った。

告知は知り合いのツテで拡大

「自分の知り合いを呼び合う」と決め、全く知らない方々に広く伝える施策は、取っていなかったが、「かまスス」を運営してくれている「あゆみの」社の土肥ちゃんがYahoo!ニュースの鎌倉の記者を紹介してくれ、記事化され、SNSで拡散していただいた。

さらに土肥ちゃんは「かまスス」メンバーの起業の中間発表会を観に来てくださった鎌倉市長にもお声がけしてくれ、市長アカウントでも告知していただき、一般の方にも知られるようになった。

この頃になると、準備が進んでいく様子を周囲で恐る恐る見ていた「かまスス」の他のメンバーの目にも「ほんとに、開催するんだな!」と実感が湧いてきたようだった。

3.当日の準備

朝8時から搬入が始まった。
出店者のみんなの手際の良いこと!

フロアごとに出店者は決めておいたが、誰がどの場所で、どれくらいの面積を使ってブースを出すかは、その場の話し合いで決めてもらった。

結果的に、想定通り、みんなそれぞれが個性を発揮してくれ、素敵なブース・フロアになった。

・天井からおしゃれな商品をぶら下げる。
・お皿にカッコよくパンを並べる
・クレヨン、マスキングテープを使い、会場のクリエイティブな雰囲気に合わせた導線案内を作る。

「かまスス」プログラムを受けてきた勝手知ったるビルだったことも功を奏し、マニュアルを作らずとも、開催時刻に全ブースの準備がスムーズに整った。

▼当日の様子が分かる記事はこちら

当日を振り返って

今回のマルシェは、アイディア以外何も無いところから始まった。

なっちゃんがアイディアを口に出してくれ、そのアイディアに共感する仲間が集まり、チームとしてできることが増え、アイディアをより良い形で実現できるように協力者を募ったら、また共感者が増え…と、まるで起業が成功する時のプロセスを疑似体験させてもらったような気分になった。

マルシェ実現によって、出店者は、参加者がアイディアや意見を交換し、それによって自分の事業に対する手触り感が増えたり、事業に対する誇りが高まった

その結果、「好きだ」が真ん中で、様々な感情や行動が生まれたのだった。

今回のマルシェは、その時間・場所・人を楽しむ即興的な要素が多かったため、再現性には乏しい。

継承できるとすれば、大事にしたスピリットの部分かもしれない。


この記録が少しでも、起業を考えたり、一歩踏み出せずにいる人の目に留まり、勇気につながったら嬉しいです!

ちょっこ

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