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規則正しい日々

私は調理員。
月曜日から金曜日まで働く。
たまに土曜日も働く。

先週は土曜日も1日お仕事。
だからお休みは日曜日だけだった。
家の草むしりをしたり、
手巻き寿司で食卓を賑やかにしてみたり、
やりたいことはやったので満足している。
でも1日の休みだけでは休養が足らない気がして、月曜日の朝は憂うつだった。

憂うつな朝を迎えるのは、
今日に限ったことじゃない。
働き始めはいつも、気が沈む。
好き勝手に過ごせる週末と違って、平日の朝は早い。まだ寝ていたい身体を起こして、短い時間で朝ごはんと支度を済ませなくてはいけない。
そんなことを考えるだけで気が滅入る。

5時起床。
今日は昨日のアルコールが残っていて
身体が気だるかった。
仕事始め。憂うつな朝。
毎日ワクワクどきどきした気持ちで出勤できる仕事なんてあるのだろうか。

仕方がないので、6時すぎに家を出る。
電車を乗り継いで、職場に向かう。
車内広告とか、すれ違う人の様子とか、
カバンに入れてる本とか、
いろんなものを見ながらちょっとずつ
働く気持ちをつくる。

7時、職場に到着。
作業着に着替えて
いろんな機械のスイッチを入れる。
ガゴーーーと動き出す機械たちと一緒に
私にもスイッチを入れる。
今日食べる野菜たちを切って、
朝出す麦茶や牛乳を用意して、
お昼が近づいてきたら食器を準備して、
炒めたり混ぜたり煮込んだり。
料理ができたら盛り付けをする。
私の身体が仕事に順応した動きを獲得してきたころに、午前が終わる。
半日過ぎれば1日の仕事を終えたようなもので、あとは惰性でおやつ作りや片付けをこなしてく。

12時、お昼休憩。
自分たちが作ったご飯を食べたら、本を読んだり寝たりする。
気持ちも身体も軽い休養をとったあとに、重たい腰をあげてのろのろと動き出す。

同じレールを回り続けるプラレールのように、
休憩後スイッチを入れ直した私の身体は厨房をぐるぐる回りながら締め作業と明日の準備をやっつける。
足がもつれたり、腰をトントンしたり、そろそろ疲れがたまってきたなというところで業務終了。
16時半、朝着てきた服に着替えて退勤する。

まっすぐ家に帰ったり、夕食の買い物をしたり、
気分が良ければ散歩したりして家につく。
好きな食べ物を好きな方法で調理したり、お風呂に入ったりする時間が1日の疲れを癒していく。

20時、ささやかな夕食を終えたら、
明日も仕事があるなとおもいながら
テレビを見たり、お菓子を食べたりする。

22時になったら、ベットへと向かう。
今日はいい日だったと思ったり、とても疲れたと倒れ込んだり、なんだか気に入らないとイライラしたりする夜が過ぎて、
昨日と同じような朝を迎える。


毎日がこの繰り返し。
平坦で、単調で、規則正しい毎日。
メトロノームが一定のリズムを刻むような日々。
つまらない生活だと思うだろうか。
かつての私は、つまらないと思っていた。
もっと刺激的で、アクティブな日々に憧れた。
でも、それは私にとって非日常の世界だった。
昨日と同じような朝が来て、
明日も変わらないだろう夜を過ごす日常が
健やかな私をつくってくれると知ったのは
ついこないだのこと。

変わらないって幸せだ。
そんなことを思いながら
ちょっとずつ変わってく。