スマホか受験かの葛藤
先日、うちの塾の成績不振者対象で面談を実施した。
成績不振の原因はシンプルで以下の2つ。
●塾に来ない(あるいは塾に来るのが遅くて学習時間が短い)
●自宅学習ができない
前者の塾に来ないというのは改善が可能だ。学校から家に帰ったらすぐに来るようにすればいいからだ。
問題は後者の自宅学習ができないという点。受験生であと100日くらいになった今でも自宅で学習ができないらしい。
じゃあ家でなにやってるのかというと、ほとんど子が「スマホをいじっている」という。
成績不振の受験生の生活リズムをみてみると、
【学校】→【帰宅後スマホ】→【眠いので睡眠】→【夜に目が覚めてそこからスマホ】→【学校で眠い、授業は聞いていない】→【帰宅後スマホ】→【眠いので睡眠】→【夜に目が覚める】→【眠くないのでスマホ】→【夜更かし】→【学校で眠い】
というようにスマホを起点として生活リズムが乱れ、勉強もしていないし、学校の授業にも参加していないのだ。
それで「学校の勉強はわからない」と塾に通って補習を行う。
受験生の多くの子達はスマホを持っている。
それなりに成績の良い子達は、「やりすぎるとよくない」ことをわかっているので、SNSは使用しないことにしたり工夫をしている。
しかし、成績の悪い子達は自分でスマホ使用のルールが決められない。なんとなくだらだらと使って気が付いたら1日が終わっているのだろう。
こういう状態で「行きたい高校に通いたい」といって塾に来ていても効果はほとんど出ない。
成績不振の子達は「追う立場」だから、学習を妨げるものは極力なくさないといけない。
本人たちは、塾に通っていればなんとかなると思っているのかもしれない。
だから面談では「このままいくんだったら希望の高校には行けないよ」と伝えたあげた。「このままの状態で受験勉強するなら、今の学力で入れる高校を探した方がいい。これ以上、塾にだって通う必要はないだろうけどね。」と。
そして具体的に次のように提案した。
「スマホを塾に置いて帰る」ということを。
塾に来て「勉強始まる前」「休憩時間」「勉強終わり」の3回はスマホをチェックしていい。ただし持ち帰らないという提案だ。
スマホを解約されるまではいっていないのだけれど、この条件がどうしてものめないらしい。面談の最後は涙を流していたから。
その様子をみて、本当にスマホ依存症なんだなと思った。
受験勉強する以前のところで引っかかっている。夏休みはとっくにすぎて秋を迎えているけど、受験生にすらなれていないのだ。
この状況で「あの高校に行きたい」というのは絵に描いた餅だ。
ところで「スマホを塾に置いて帰る」ということはメリットが大きい。
①塾にスマホがあるから、学校から帰宅後なるべく塾に早く行きたくなる。
②塾から帰った後に、スマホがないので勉強しないとしても十分な「睡眠」をとることができる。
この2点で、学習時間も増やせるし、睡眠をよくとっているので学校や塾での学習効率も高まるだろう。
面談した受験生には、「スマホを塾に置いて帰る」ことができないのだったら、塾をやめて好きなようにやったらいいということも併せて伝えた。
そこまでしてスマホをやりたいのだったら、好きなだけやったらいいと思う。それにそもそも受験勉強は向いていないから、お金をかけてまですることでもないから。
小さい頃にあれもこれも向いていない習い事をやった経験が誰にでもあるだろう。
自分が好きでやっているのでなければ効果なんて望めない。
塾通いの受験勉強だって同じことだ。
全く向いていないのに「皆が塾に通っているから」、「皆が受験勉強しているから」という理由で通っても効果は期待できない。無理やり馬に水を飲ませようとしているようなものだから。
それでも塾に通わせないと何もしなくなってしまうのではないか。中卒、高校中退ということになるのではと親御さんは心配するかもしれない。
いまどきそれでは就職もできないから心配だという。
確かにそういうこともあるかもしれない。
でも「仕事しなくなってしまう」といっても、高校卒業していても大学卒業していても「ニート」になってしまう人たちはいるわけですよ。受験勉強とはあまり関係ないんじゃないか。
だから高校受験から逃げ出した子達が、必ずしもそうなるかはわからない。
もしかしたら、中学卒業してアルバイトして役割を与えられて活躍するかもしれない。仕事が楽しくなって、突き詰めていったら「勉強が必要だ」と気が付いて勉強し始めるかもしれない。
最後は子どもを信じるしかないのだ。
スマホを取るのか、受験勉強を取るのか。あと100日。最後の分岐点。まずは自分で決めてもらおうと思う。
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