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タメにはならない話(映画ロケが来た)

現在、小さい中古の分譲住宅に住んでいる。
近所一帯を、ある会社が開発しているので、同じではないが似ている住宅ばかりである。
14戸がざっくりUの字に並んでいる。わが家はこのUの字のボトムの位置にある。いわゆる「どん突き」にある。
どん突きは、不動産価値が低いと父が言っていた。
でも、魅力的なのは裏である。
左側に大きな空き地と、右側に誰も住んでいない昭和の団地があった。(現在は老人ホーム)

少しでも良いから自然が見える環境で料理をする。

これが、私の希望のひとつだった。
ずいぶん探したが、なかなか難しい条件だった。

空き地の雑草がただ育ちに育った木

これを自然というなら、夢は叶ったことになる。
ややこしい虫もいっぱい来るが、私のゆる趣味「バードウォッチング」もできる。

そして右側は、昭和の古い団地。
団地と言っても3階建て、一棟12戸位の小さな建物。
それが、自転車置き場や花壇などを挟みながら、3棟あった。
もう誰も住んでないから、いたって静かである。

10年ほど前、市役所の人が訪ねてきた。

「裏の団地で映画のロケをやるんです。1月〇日。もしかしたらちょっとご迷惑をお掛けするかもしれません」

井筒監督の映画だと言う。
うわぁ、なんだかすごい。

当時、夫はまだサラリーマンをしていたので、その日は仕事でいない。
息子は学校。
私は母と姉をさそって、鑑賞会を決行。

お昼ごはん、デザート、お茶菓子を用意した。
掃き出しの窓辺にソファを移動して、3人で見る。

先述のとおり、左側は空き地。
つまりは、ロケの様子を見れるのは、位置的にわが家のリビングの窓からだけであった。
Facebookの市のコミュニティーでも「どこでやるんでしょうね?」と話題になっていた。
でも、団地の奥側なので、反対側の道路からは一切見えない。

「こんな目の前で、暖かいところで私らだけゆっくり見学できるなんてー」と、母も感激していた。

古い団地は、犯罪者の隠れ家という設定。
犯人が、小さいコンビニ袋をぶら下げて、数段のステップを上がる。
ノックして開いたドアの隙間から仲間に確認されて、周囲を見渡して急いで中へ入る。

このシーンを、ポケットに手をつっこんでるバージョン、ノックしてから入るまでの時間を変えたり、周囲を確認の仕方を変えたり・・・
とにかく、どんだけ変化させるんだって位、パターンを変えて何度もやる。
俳優さんも大変だ。
井筒監督は手前の団地の裏側にいて、一瞬チラッと見えただけだった。

朝11時頃から始まって、日も暮れてきた。
母と姉は帰った。
「僕は見られへんなー」と言ってた夫も、帰宅してじっくり見れた。

1月なので日が暮れると本当にとても寒い。
みんな吐く息が白くて、気の毒で・・・

近くにいたスタッフの人に、

「温かい飲み物とか、お味噌汁とか差し入れしましょうか?」

と言ったのだが、ロケハンのバスに色々用意していて、交替で食事もしているので大丈夫とのことだった。

ロケは深夜まで続いた。私たちが寝てからも。
寝静まると、発電モーターの音が響いて気になって眠れない。
苦情を言いたくはなかったが、「何時までですか?」と聞きに行った。

申し訳なさそうに
2:30頃には終わると思います」

ワオー!オーマイガッ!
外人か?ってくらい驚いた。
もう今朝のワクワク感はすっかり無くなっていたが、我慢するしかない。

うつらうつらとなんとか寝た。
朝起きたらいつものただの古い団地だった。

夫と映画館へ見に行った。

「今のか?」
「・・・かなぁ?」
「そやな」
「そやろね」

夫婦の地味な会話で確認しあった約10秒のシーン
15時間もロケしたのに・・・

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今日、「自分のエピソードなど書いていては、スキもフォローも増えない。読む人のタメになる記事を書かない人は絶対伸びない」っというような記事をまたしても見てしまって、少々落ち込みました。見ないようにしてるんだけどクリックしてしまった。

でもね
最近サマージャンボのCMが多くて、どうしても書きたくなったのよ

妻夫木聡
桐谷健太
浅野忠信

カッコ良かったわ~~~ん

~黄金を抱いて翔べ(2012年公開)~








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