見出し画像

帰ってきたスーパースター。(音楽コラム#4)

彼との出会いは自分が小学校の終わりか、中学校の終わりくらいかと思って調べてみると、ちょうど10歳のころだったらしい。

きっと意味の理解なんかは全然してなくて、そのパッと目に入ってきたフレーズにグッときてCDを親に買ってもらったんだと思う。


その8cmの円盤に詰め込まれたものを、今でも条件反射的に歌えるし、これからもきっと歌えると思う。

【プラダの靴が欲しいの】で始まるそれは、

『さよならなんて云えないよ』と
『ぼくらが旅に出る理由』の間に発売されていて、しかもそれは同年の出来事で、


当時その流れの価値を知っていたら、
きっと自分は
『なにこの発売の流れやべえええーー!』
と小躍りしながらツイートしてたはずだ。


そんな彼のライヴに昨年初めて行った。


淡々と歌い、話したいことを話し、
それでいて決してだらだらすることもなく、

久しぶりのツアーだというのに新曲を6,7曲歌い、しかもアンコールではその新曲たちをその日の音源を聴き直しながら紹介した。

そんな他のアーティストでは決してやらないことをして彼はステージ左手に帰って行った。



そして彼は先日19年ぶりにシングルを発売した。


19年ぶりに出されたその新曲を手に入れて早速聴くと、変わらない歌声と歌詞の世界観が広がっていた。まるで人が入っている布団に潜り込んだかのように、心地よく暖かいものだった。


きっと彼は家庭を持って、子どもも産まれて、環境の変化を身にしているのに、発しているその【音楽】は何も変わっていなかった。


『変わらない』ということは、とても難しいと思う。こんなに生活が便利になって、人間関係が希薄になる世界で、【これまでの自分】みたいなものを保ち続けなくてはいけないのだ。


もしかしたら、自分の知らない彼の大部分は変わっているのかもしれない。変わらないところしか知らないから、彼は変わらないと思っているのかもしれない。


けれどCDから聴こえてくる声も、テレビに映る姿も、オザケンはオザケンのままであった。



『笑っていいとも』が終了する週に彼はテレフォンショッキングに出演して、長年番組を支えてきたスタッフに感謝と労いを述べていた。
『ミュージックステーション』に20年ぶりに出演した先日、20年間音楽を伝え続けてきた番組に彼は感謝を述べていた。


小沢健二というミュージシャンはとても前向き
だ。『次』を常に考えていると思う。


ライヴでの新曲披露
言っていいか分からないフジロック出演暴露
『フジロックでブギーバック』やります宣言


過去には感謝と賛辞を。
頭の中は前向きにこれからを。


あんな自然体で子どものような素敵なおじさんに、自分も歳を重ねたらとってもなりたい。

かめがや ひろしです。いつも読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、インプットのための小説やうどん、noteを書くときのコーヒーと甘いものにたいせつに使わせていただきます。