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23.情報主義社会も本気で夢想したい

本当に唯一無二だと、市場価値がつけられない

多様化の時代、個性の時代と言いながら、比較対象が存在しないレベルで唯一無二の存在になってしまうと、市場を通じた流通が想定されにくくなるため、市場的な価値、鑑定や値付けが難しくなります。

市場価値がつかないからといって、必ずしも無価値ではないし、希少性もないどころか、最大値に触れすぎているのに、価値がないとされるなんて、奇妙な話に思います。

ただ、それも資本主義、ある種の権威や経済的な価値を背景に建つ市場、社会であれば仕方がない側面もあります。

資本主義の社会では、行きすぎた独自性は無用?

資本主義というか、市場的な経済性が重要視される社会、それらが全面に押し出される社会では、上述のような理由から、ある一定の枠組みを飛び出した踏み外した人、閾値を超えた独自性は役に立たないもの、あるいは存在自体しないものとされてしまいます。

折角、自由な発展を許容される世の中になってきて、ダイバーシティ云々も囁かれ始めたというのに、「こう生きろ」、「この枠組みからはみ出るな」と誰かの基準、物差しを押し付けられて、上から押さえつけられるというのは、正しい仕組み、設計と言えますか?

もっともっとはみ出していこう、どんどん独自性を発揮しよう、その人ならではの未知の世界をどんどん切り開いてもらおうと背中を押したい身、笛吹男になろうとしている立場にとっては、資本主義社会、ある一定の権威主義、官僚機構が組み込まれることを想定した社会というのは非常に居心地が悪いというか、そろそろ打破して次の段階へ進んでいけないかなぁ、なんて割と本気で考えています。

情報主義といっても、いわゆるWeb3ではない

個人的には、そういう界隈には非常に懐疑的というか、それが本当に情報主義社会、次の世界、未来へ繋がるルートだとは思っていません。豊かな情報社会というのは共通するかと思いますが、IT的な技術が発展することとか、そこで薄っぺらい情報がやり取りされる世界、いつまでも密室や聖域を区切って情報の非対称性を作りだす、権威や官僚機構を維持する社会が情報主義社会とも思いません。

個人的に想定する情報主義社会のキー、次の社会で重要になってくるのは、その情報自体の希少性や独自性、いかに面白いものか、いかに珍妙なものかだと思っています。

今の世の中的に「価値があるか」は経済的なものが紐づいてくると思いますが、次の世の中の「価値があるか」はその情報自体が真に面白いものかどうか、数寄者の間で喜ばれる、あるいは議論を呼ぶような未知の世界を先取りしたものかどうかにあると睨んでいます。

今までの社会的にいかに権威があって、いかに価値がある金科玉条、お歴々に支持されるイデオロギーであったとしても、新規性や独自性、面白みに欠けるようであれば、無名の人が初めて体験、経験したお話の方が価値を持つ、そんな時代がそう遠くない時代に訪れると信じています。

文学や文化的な感性の分野で「1億総中流」を目指す

本当に爆発的な経済成長、あるいは拡大を果たしたのは、明治維新以降の「富国強兵」や、いわゆる「1億総中流」を掲げていた時代でしょう。やはり、一番ボリュームのある中間層、庶民に十分なマネーが行き渡ること、それらが勢いよく社会を駆け巡ることがアクセルになっていたはず。

情報主義社会も、中間層、庶民に十分な文化的な素養、一見複雑な情報を受け止める、自分流に独自の世界を広げていける、発信していけるような能力を身につけてもらうことが入り口になるのではと予想しています。

一見分かりにくいことを発信する、受け取ってもらう。書いてある賑やかな表現、派手なフレーズを受け取ってもらうのではなく、淀みなく読める普通の文章の間に埋もれている行間、想像力を働かせないと掴めないものを受け取ってもらえるように、少しずつ負荷をかけて訓練していく。

それらを徐々に仕掛けていくためにも、GAFAMバース的なWeb3、平易な英語的な観点での情報空間、情報伝達だけをやっていてはダメなんです。GAFAMとは違う路線、違う価値観で情報空間や情報発信、情報伝達を再設計、あらためて形にできるまで実験、実証していくことがこれからの時代にとって非常に重要なことだと、筆者は考えています。

立体的、空間的な要素のある日本語を使って、想像力を要する「見立て」や「縮む」がある日本的な文化を土台にした、関係性や感性、空っぽも許容する分からなくてもいい時代、「好きなようにしなはれ」と言いながら、いろんな手段で誰かに言葉、情報を残していくやり方を、今こそ本気でデジタルな領域、ウェブの領域に持ち込んで、コミュニケーション、情報産業、メディアに対する信頼性の改善からできる範囲で手をつけていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。 ただ、まだまだ面白い作品、役に立つ記事を作る力、経験や取材が足りません。もっといい作品をお届けするためにも、サポートいただけますと助かります。 これからも、よろしくお願いいたします。