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【詩歌の栞】2/14 ValentineDayだから、たくさんの愛を。「花」やなせたかし

 花が好き
 夢が好き
 歌が好き
 この人生が好き

やなせたかし「花」

 私にとっては、やなせたかしさんはアンパンマンではなく、「詩とメルヘン」の人という認識でした。
 「詩とメルヘン」は投稿される詩や童話にイラストレーターが絵をつけるページを中心とするサンリオから発行されていた月刊誌。1973年の創刊から2003年の休刊までの30年間、やなせさんは編集長として、表紙絵、投稿の審査、選評などなど全てを行っていたのです。隅から隅まで優しい抒情性に満ちた雑誌で、毎月、楽しみにしていました。
 やなせさんは、アンパンマンは息子で、詩とメルヘンが娘と表現していたと記憶しています。

 やなせさんは、もちろん戦争を経験していますし、仕事の上でも順風満帆だったわけではありません。アンパンマン人気で一躍時の人、となったのは既に高齢と呼ばれる年になってからでした。
 それでも、やなせさんが生み出す作品はすべてあたたかくつよくやさしい愛に満ちています。
 詩とメルヘンの表紙は、必ず二人の恋人たちが描かれていました。すべての生命への愛を象徴しているのだそうですが、確かに眺めているだけで希望が湧くような気がしたものです。

誰かを、何かを、「好き」という気持ち、人生を肯定する気持ちは、自分を明るく強くしてくれます。
おおらかに「好き」を肯定してみよう、そう思うValentineDayの夜です。