見出し画像

第100回全国高校サッカー選手権

今年の全国高校サッカー選手権が終わって、そろそろ10日になる。高校生たちの想いの詰まった3年間の集大成を見る場所として、サッカーファンからしても最高の舞台である。

昨年は決勝も無観客だったこともあり、新国立競技場の場所に足を踏み入れることはできなかったが、今年は念願の競技場に足を踏み入れることができた。待望の国立だ。

国立から埼玉スタジアム2002に会場を移して、これまで2018年と2019年の決勝の舞台を見てきたが、2年ぶりの決勝に1人ワクワクする気持ちと選手たちのようにピッチに足を踏み入れるような感覚で会場を歩いた。

会場を見渡せば、いろんなところに高校サッカーファン、各校のOBOGらしき世代の人たち。その中で少し人溜まりができている場所があった。一際背の高い人。どこかで見たことがある。しかも、ここは青森山田高校の旗が近くにある。あ、菊池流帆選手だ!ヴィッセル神戸で活躍している選手である。身長は確か188cmくらい。5mくらい離れたところにいる僕から見ても迫力のある身長だった。もっと背の高い選手だと間近でみると相当高いのだろう。身長160cm台の選手たちが彼らとマッチアップするとき、相当な圧力を感じるだろうなと、密かに想像してみた。僕なら即潰されるだろう。それでもボールを失わない選手たちのスキルの高さを実感した。

中に入ると、無理矢理入場したりしないようにしっかりとゲートを設けられており、これは安全面で非常にいいと感じた。3階の席だったが、3階までエレベーターで上がっていくのは、僕が今まで訪れたことのある広島のエディオンスタジアム、山口の維新公園、千葉のフクダ電子アリーナ、川崎の等々力陸上競技場、横浜の日産スタジアム、柏の柏の葉、浦和の埼玉スタジアム2002、福岡のベスト電器スタジアムではそういう最新のものは設置されておらず、新国立の設備の充実を感じさせられた。

会場に着くと、運のいいことに今回の主題歌であった『懐かしい未来/上白石萌音』がこれから歌われるところだった。思わず足を止めて、スマホのビデオを回した。これは僕の恒例行事で、過去に参加した2大会も同様にスマホに収めて大切にしている。生の感動を伴った、空気感を残しておきたいからである。

それにしても、本当に彼女の歌声は素晴らしかった。競技場全体を歌で一斉に包みこむ、音響の影響もあるが、全身に響き渡るような声。毎回この場所で、高校生たちに向けた歌を聞くたびに僕の身体は震える。これが感動なのかもしれないし、ただ身体が反応しているだけなのかもしれないが、その威力が絶大であることは間違いない。

歌はもちろん素晴らしいのだが、少し注目したかったのが、曲のタイトルだ。懐かしい未来という完全に正反対の言葉を使っているのだ。懐かしいのなら過去、新しいのなら未来。僕はそういう印象を持っていた。しかし、そこはアーティストの森山直太朗。そんじょそこらのありきたりな言葉は使わないようだ。今までも誰も手を出さないようなタイトルや歌詞を次々と世の中に出してきた彼ならではのこの捻りのあるタイトル。

少し僕なりに解釈してみたいと思う。懐かしい未来。懐かしい。未来が懐かしいのか。随分と距離的に離れたところから見ている感じがする。一体どこから見てるのだろうか。そうか、この歌はまだこの全国高校サッカー選手権が始まる前に作られた歌だ。今から出場する選手たちは、これから先、自分たちが勝ち、2回戦に進み、3回戦へ、そして準々決勝、準決勝、決勝へと進むことを夢見ている。まだ未来は現実として描かれていない。でもここまでの時間、部員とサッカーとそして自分自身と戦い続けてきた過程がある。これから先に時間が進むにつれてその過程に終わりが告げられる。もっとこの時間を過ごしていたい、そういう思いがあるけど、僕らの時間はどんどんと進み、あと数時間、数日後には終わっている。現在という場所に僕らという実体はありながらも、過去という場所から見て、これからの未来を見たら、この時間もきっと懐かしいんだろうなと、未来を想像してそう思う。これが懐かしい未来なのかと思う。そして、何よりもやっぱりこの曲は応援歌である。まだこの景色は見ていたいけど、悠遠の風のように走れと。どんどん前に進めと背中を押してくれるようなそんな歌詞である。まさに森山直太朗にしか書けない歌詞であり、上白石萌音にしか奏でることのできない応援歌だった。

ちょっとここでは、個人的に他のSNSでシェアした選手Reviewを残しておこうと思う。

10番の松木玖生(→FC東京内定)はメディアで散々話題にされてるからいうまでもないけど、この大舞台でもしっかりゴール決めてきましたね。しかも、勢いのないボールをヘディングで決める、これ難しいだろうなという感じでしたが、あの場面でもキーパーの前に叩き落とすという基本中の基本と呼ばれるプレーを忠実にやってたのがほんとすごい👏どれだけスーパープレーヤーと呼ばれていても、ド派手なプレーだったり、圧巻のプレーは注目されるけど、こういう基本のプレーをしっかりやれるってのが、松木くんの素晴らしいところです!
個人的には、11番の藤森颯太くん、ロングスローを投げてた彼に注目でした。青森山田の貴重な武器だったロングスローですが、右サイドだろうが、左サイドだろうが、チャンスであれば必ず右サイドハーフにいる彼が投げにいって、相手のペナルティーエリアまでボールを投げる。そんな武器を持つ藤森くんですが、ロングスローだけがすごいわけじゃなくて、彼もまた身体が強い。当たり負けしないんです。しかも、今日のプレーをみる限りは走れるし、速いし、ボールを持ったら俺がやるんだという感じが伝わる熱いプレー。2年前の決勝の時も確か出ていたような記憶があるし。まだ進路は未定みたいですが、去年の3年生で今は早稲田大学でプレーしている安斎楓馬みたいな印象で、彼もまた今後が楽しみなプレーヤーです。
2年前の1年生といえば、今回9番の名須川真光、彼もまた1年の頃から出てた記憶がある。確か去年も途中出場してたような。すごいって感じよりは、決めて欲しいタイミングで決めてくれるような選手という印象。今回も左サイドの崩しから最後のフィニッシュを決めてくれましたが、スライディングシュートみたいな感じで、個人的には気になる選手。今日は2トップの一角でしたが、結構前線でボールを収めることができた感じもしますし、次の進路でも泥臭く頑張ってもらいたい。あと今日は左サイドの彼、16番の田澤夢積。マッチアップする大津高校の選手にとっては不運だったが、今日は彼がすごかった。ボールの受け方、味方の走るスペースの空け方、個人技で左サイドをこれでもかというくらい突破。大津高校も後半途中から右サイドバックを交代してきたけど、もはや完膚なきままに左サイドは青森山田に軍配あり。
そして準決勝で2点、決勝でも見事に先制点を決めた5番の丸山大和。今日も準決勝も非の打ち所のない選手。まず顔の凛々しさが、将来日本代表を背負ってもおかしくない!去年のキャプテンだった藤原優大(浦和レッズ→SC相模原)から引き継いだ頼もしい5番を背負って、決勝の舞台でも最終ラインで圧倒的な安定感と存在感、セットプレーでのゴール前では身長はDFとしては高くないのにゴールを決めてしまう、なんとなくサンフレッチェ広島の佐々木翔選手を彷彿とさせるような。将来は3バックの右とか真ん中でやりそう。大分とか湘南とかのJリーグチームが合いそうな気がします。ほんとに見ていて、すごいとしか言いようがない青森山田高校でした!大津高校も点差が開くと、挫けそうになるところなのに、なんとか最後まで自分たちのもてる力を出し切ろうとプレーしてる姿は、来年こそは青森山田に勝つんだという目標を明確にしたような気がしました!両校とも素晴らしいチーム👏そして素晴らしいチームを代表として送り出した、熊本県と青森県の高校サッカーに関係する皆さん素晴らしい!

あとこれは書いておかないといけないなと思うのが、我が地元山口県の高川学園高校。僕が高校3年生だった2008年、あの年にベスト4に進出して以来のベスト4の快進撃。山口県では圧倒的な強さを誇っていた高川学園ですが、ここ数年は他の高校に選手権の出場を奪われ、選手権に出場しても地元民としても正直期待のできない試合が多かった。見ていても、中国地方というか地方ならではだろうが、どうせ都会には私立の強豪校には勝てないと印象が拭いきれなかった。しかし、今年はあの必殺技のおかげで世界の高川になった。『トルメンタ』である。通称グルグル。セットプレーの時に相手のマークを外すために選手数名で手を繋ぎ、グルグルと回転するのだ。これが見事にハマったのだ。準決勝では青森山田高校には0ー6とトルメンタの使用すらも許されない試合運びだった。しかし、全国に世界に高川学園の名を知らしめたことは間違いない。確かにセットプレーのアイデアはすごかった。今後はセットプレーだけではなく、個人の能力としてもチームとしても打倒青森山田高校を目指すくらいのチーム作りにシフトしていくことを期待している。コーチ、監督、トレーナーの皆さんマジで頑張ってください。

さて、最後にですが、高校サッカー選手権は最後に優秀選手を選出するのが恒例なのですが、正式なものではなく僕が個人的に好きなベストイレブンと今後に期待したいイレブンを記してキーボードを置きたいと思う。

好きなイレブン(プレーを見た選手のみ)
GK 
徳若碧都(高川学園)
DF 
丸山大和(青森山田) →東海大
チェイスアンリ(尚志)
加藤寛人(高川学園)
MF
松木玖生(青森山田)→FC東京
藤森颯太(青森山田)→明治大
北健志郎(高川学園)
林晴己(高川学園)
正法寺大(瀬戸内)
古川陽介(静岡学園)→ジュビロ磐田
FW
名須川真光(青森山田)→順天堂大


個人的に今後も楽しみな選手たち。
GK
佐藤瑠星(大津)→筑波大
DF
中山竜之介(青森山田)
三輪椋平(青森山田)→順天堂大
児玉勇翔(長崎総合科学附属)
山崎陽大(高川学園)
MF
島野怜(仙台育英)
宇野禅斗(青森山田)→町田ゼルビア
ベイリージャスティン勇誠(桐光学園)
田澤夢積(青森山田)→新潟医療福祉大
FW
小湊絆(青森山田)
西岡紫音(長崎総合科学附属)


あ、そうそう宣伝忘れてました!
自身初著書を出版しました(2021/11/17)
よかったら覗いていってください!


【タイトルはあなたが決めてください 】
Amazon

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?