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【走り書き】うつ病なので絵を描いている

絵を描くことで得られるのは“虚無”だ。

絵をちゃんと描き始めてから13年くらい経つらしい。描き始めた頃は、楽しい、面白いという感情や、イラストレーターになりたいとか漫画家になりたいとかそういう夢もあったけど、やんわりと諦めた。高校2年生の冬休みに近所の画塾に通って、課題の仕様通りに作品を作って納めるという行為が苦痛だったからだ。イラストの学校に進学するのは無理だ……と悟りながら、余った食パンの耳を駅前のハトにあげることだけが至福の時だった。(食パンの白いところは木炭デッサンをするときに消しゴムとして使用するのだ)

夢が趣味になった頃から抑うつ症状が悪化した。それにつれてイラストを描くことからポジティブな感情がなくなり、「自分は絵を生産しているからご飯を食べてもいい。生産的なことをしなければ生きていてはいけないし、ご飯を食べるなんてもってのほかだ」という強迫観念にフォーカスしていき、やがて虚無になった。
今も虚無だ。虚無だからこそ、絵を描いている。

実は自分はイラストを描く工程がそんなに好きではない?と思っている。作品の世界観構築や作品にどういったメッセージ性を持たせ、それをどのように表現をすればよいかを考えることは好きだ。絵はそれらを実現するひとつのツールなだけであり、絵を描く行動自体に楽しさは感じてはいないのだ。かといって、苦痛でもない。そう、ただただ虚無である。

今、私が絵を描くという行為で得る状態は“描いている間は目の前のイラストの工程のことしか考えられなくなるので、その間だけはうつ病に由来する過去への悔悟や未来への不安を忘れられる”状態だ。つまり、作業療法やマインドフルネスといった行為に近い。絵を描いている間だけは、楽しくもないけど苦しくもない、虚無である状態を得ることができる。それゆえに、私は絵を描いているかもしれない。

もしかしたら私ってうつ病が寛解したら絵描かなくなってしまうかもしれない。それはそれで構わないと思う。でも多分描いていると思う。コミュニケーションが苦手な私にとって、イラストは意思疎通を補助してくれる有用なツールだからだ。
それらを抜きにしても、できれば絵は描いていたいと思う。そう思う理由はわからないが、まあなんだかんだ13年くらい描き続けているのだから、理由とかそういうことではないのだろう。

余談だが、現在私はゆるりとフリーのイラストレーターとしてお金をもらっている。なんだかんだ、昔の夢は叶っている。

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