告白水平線#毎週ショートショートnote
妻と幼い息子、3人での3年ぶりの家族旅行。仕事ばかりでなかなか行けなった旅行だ。
並んで海を眺めていた。妻の目には涙が滲んでいる。
白い雲と青い海、その穏やかさがずっと続けばいいのになと思ってはみるが口には出せない。
「パパ、海の向こうには何があるの?」
「『輝かしい未来』という名のとてもきれいな島があるよ。ただ、たどり着くまではものすごくがんばり続けなければならないんだ。本当に大変だけど、頑張れるかい?啓太」
「うん、頑張る。一生懸命頑張ってパパとママをきれいな島に連れてってあげるよ」
「ありがとう。絶対にくじけるなよ、約束できるかい?」
「約束する、絶対に連れていく」
穏やかで幸せな時間だった。この時間がずっと続けばいいな。
ずっと黙っていた妻の目から涙が頬をつたった。
明日告白しよう、啓太がどんなに頑張ってもパパはきれいな島には行けないと、だから絶対にママだけは連れて行ってくれと。
ステージ4ので余命1年、パパは空に旅立つと。
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