「名探偵ボディビルディング」
人は私をこう呼ぶ。なぜなら身体（ボディ）に関する犯罪を解決することを得意としているからだ。

探偵事務所には毎日多くの人が相談に訪れる。
本日の相談者は男性（４９歳、独身）だ。
「３０代前半までは腹筋も割れていて、シックスパック、女性にもモテモテだったのですが、４０歳を超えたころから脂肪がつきはじめ、今ではご覧のとおり、ポッコリしたワンパックです、犯人を捜してください」

「かしこまりました」

私は捜査対象のモニタリングに入った。

１週間後、犯人は簡単に分かった。

捜査対象の人物は運動もせず、飲み歩いては締めのラーメンを欠かさない生活をしている。
早速レポートにまとめ、依頼人に報告した。

「やはり、ラーメンが犯人でしたか、私も薄々そうではないかと疑っていたのです」

私は答えた。

「いや、ラーメンではない、貴方の意思の弱さです」

ボディビルディングに関する犯人はそのほとんどが「意思の弱さ」である。皆が薄々思っていることをズバリ言い切る。私が名探偵と言われる所以である。