レディ・プレイヤーワンを観てきました(ネタバレ有り)

レディ・プレイヤーワンを観てきました(ネタバレ有り)
とある友人からのお誘いがあって、一足早く、基地の中に「レディ・プレイヤーワン」と「パシフィックリム・アップライジング」を観に行きました。
英語のヒヤリングがまったく駄目な人間ですが、前者は原作を読み、後者は前作を見ているのでなんとか理解出来るだろうということで(笑)
「パシフィック・リム アップライジング」のほうの感想は神野オキナのHP上にネタバレ込みで上げたので、こちらは「レディ・プレイヤーワン」のみで。
「レディ・プレイヤーワン」はスピルバーグらしい手慣れた娯楽活劇でした。
80年代~90年代を過ごしたことのある、三人以上の友だち同士であれば楽しめる映画だと思います。


ただ手慣れすぎてて食い足りない、というのが個人的な感想。

原作の前半と中盤部分を大胆に省略して、未来社会のディストピア描写と主人公の底辺生活のところを削り……何しろ最初主人公は貧乏なポチャデブで、課金するお金がないから宝探しにも行けず、基本教育を受ける無料の学校から外に出られない、それ故に最初の鍵を見つけられる、という発端なのです。なお鍵を見つけて立身出世していくうちにバーチャルシステムに連動した運動装置を買い、筋トレして痩せるという描写が中盤以後でてきます、上手いですね(笑) ただそれだけではなく、そういう大きな買い物をしたことで明白になる「この世界で返済が滞ったらどうなるか」という事情とそれを利用した脱出劇があるのが上手いです……人死にも減らして(原作では仲間内にも死人が出る)、メインはVR世界における人死にのない大戦争&2時間あるDAICON4OPアニメ、に絞り込んだのが上手いなーと。
ただ、映画そのもののデキは「恐らくマニアではなく一般人に向けて作られているんだな」という「判りやすく崩しすぎた」部分があって、そこが全体のテンションを低めにしすぎてしまった所が多々あります。

個人的に原作との相違で一番残念だったのは、やっぱりそういう未来社会のディストピア描写(明記されてませんが明らかに政府はVRシステムを「パンとサーカス」として国民に与えて無能を隠している、と匂わせる世界観です)と主人公がくすぶっている部分の描写を削ることで、結果的にドラマ部分のエモーショナルなところが消えてしまったことが大きいです。
映画では判りやすくドローンが敵方の主力兵器として主人公を襲う存在として出てきますけど、敵であるコングロマリットの社員たちは殆ど人を撃ちません。
が、原作だとハッカーが介入出来るような道具を敵側は現実世界ではほぼ使わず、ジャックインした無防備状態の人間を平気で襲って窓から放り投げて「ヒキコモリが自殺」で片付けるというエピソードがあり、ラスボス扱いの幹部社員も「彼を社員として維持するには費用対効果が見合わなくなったから切り捨てられて逮捕されただけ」ということが判る記述があります。
特に、前記の未来社会のクレジットカードの返済システムを利用して身分を偽り、わざと破産して敵の懐に潜りこんで実社会で黙々と働かされる日々を送りつつ、逆転のため&仲間を助けるための工作をした後、決死の覚悟で脱出、街中の自販機で24時間後に安全装置が解除されるグロックの新型を買い、ネカフェに入るまで銃を握りしめ不安に街をさすらう主人公の様子と、芳醇で緑溢れ、あるいは作り物だという安寧があるVR世界とは打って変わった、乾いて荒涼とした現実の街中は是非映像で観たかったですね。

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