ゾンビの神様、逝く

G・A・ロメロが亡くなったそうで。
http://www.latimes.com/entertainment/movies/la-me-george-romero-20170716-story.html
テレビにまでゾンビがあふれかえるこの時代に、その再定義を生み出した人がいなくなるというのは時代の趨勢とはいえ、諸行無常を感じずにはいられません。
「ゾンビ(日本公開題名)」をはじめて見たのは30年以上前、国際ショッピングセンターという所が那覇市の国際通りにあったころ、3階のボウリング場に上がる途中にある中途半端な面積の踊り場が大きくなったようなレンタルビデオ屋兼映画グッズショップの店頭でした。

偶然通りがかってテレビの画面を見た瞬間、飛び込んで来たのはショウケースをたたき割って銃器類を調達する場面で、「うわー羨ましい!」と当時モデルガンが欲しくて欲しくて溜まらんかった、金のない中学生は思ったもんでありました。ホラーが苦手な私でしたが、その描写と「銃で撃ったら死ぬモンスター」に興味を覚えてそのまま最後まで「立ち見」しておりました……今思えば迷惑なお客ですね。

それまで「呪術士の命令で動く死体」でしかなかったゾンビを「のろのろ歩く、人を食う、噛まれたら増殖、頭を吹き飛ばさないといつまでも襲ってくる」ものとして再定義したことはやっぱりとんでもない「発明」だったと思います。

同時に「ゾンビとはすなわち現代人である」という批評性まで加えたわけですから(最もこれはご本人の意図に関わらず、急速にチープ化してしまう部分になりますが)。

ご本人は結局、ゾンビで映画人生を初め、最後までゾンビ映画を作り続けて終わった、といえるような最後だったわけですが、表現者としてはゾンビというモノに囚われているような、あるいは「扱い慣れた画材」のように思っていたのか。

とりあえずゲーム「コール・オブ・デューティ・ブラック・オプス」をクリアすると遊べるミニゲームにおいて最強のゾンビとして撮影機材を振りかざして襲ってくるキャラとして登場を許すぐらい、自分への評価に対して洒落の分かる、寛容な人だったのは間違いないようで。

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