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世田谷殿の13人 ~街頭編~

多くの日本人の楽しみの一つであるNHK大河ドラマ。2022年1月、コロナ禍が未だに続く中、三谷幸喜氏が脚本を手掛けた『鎌倉殿の13人』が盛り上がりを見せています。

時の世のために尽くしながら、歴史で多くが伝わっていない13人が主役となる大河ドラマにあやかり(かなりレベルの違いがありますが)、「世田谷殿(=世田谷区政)の13人」と題し、世田谷区議会の13人の自民党所属議員の日常の一端を紹介させてもらいたい。

スタートとなる三軒茶屋駅前街頭には越智隆雄代議士(左から3人目)も参加

街頭活動ーーーほとんどの方が何処かで何度か目にしたことがあると思います。
日頃は、行政情報の提供と区民のご意見を聞く場として、各議員がそれぞれ単独で街頭活動を行っています。そして時に、所属する国会、都議会、区議会の議員が駅頭などに集結し街頭活動を行うことがあります。
世田谷の場合その多くは、選挙または社会に影響する重要なメッセージがある時など特別な場面で行われてきました。

そういった特別な時ということではなく、私たちがその時々、どんな課題を抱いて区政に取り組んでいるかを組織として伝えることは、パブリック・コミュニケーションとして重要なことです。
私たちの活動についてできる限り多く、有権者の皆さんと共有すること、そして何らかのフィードバックがあればという期待を持って、この度、自民党所属の議員が集まり、街頭からの活動報告を日常の活動としてスタートしました。

1/12(水)7:30~@三軒茶屋駅
1/13(木)7:30~@奥沢駅
1/14(金)7:30~@駒沢大学駅
1/17(月)7:30~@経堂駅
1/18(火)7:30~@用賀駅
1/19(水)7:30~@千歳烏山駅
1/20(木)7:30~@尾山台駅
     15:00~@上町駅
     16:15~@祖師谷大蔵駅
1/21(金)7:30~@下北沢駅

街頭活動の様子

計8日間、10箇所。
当初、今年1月の一ヶ月間はできるだけ継続する予定でしたが、東京都に『蔓延防止等重点措置』が適用されましたことを受けて、1月21日朝の活動をもってしばらく休止とすることにしました。

どんなスピーチ?ーーー街頭活動では、各議員から、区民に伝えたいことを中心に、それぞれ自由に個性ある表現で、

1.今後を見据え世田谷区の課題と取り組むべきこと
2.当該地域にとって重要な課題・テーマ
3.当該地域で世田谷区が取り組んできた事柄、歴史
4.この街頭活動の趣旨と配布している新聞の紹介
5.現下のコロナ禍に関する情報

以上、主に5つの内容で演説が行われました。

全体の街頭活動は1時間ほど。毎回7~13人の議員が集まるので、1人当たりスピーチできる時間は5分~8分。
ただ、朝の忙しい時間帯では、一つの話の長さが1分以内でないと伝わりません。できるだけ短く完結するということですと、1から3は難しく、4と5が多く語られたように思います。
逆に夕方であれば、比較的ゆっくりと歩いている方が増えるので、一つの話は3分ほどに伸ばせるので1から3の割合が多かったように思われます。

新聞の配布もーーー今回は同時に行いました。
その新聞の内容は、自由民主党の世田谷区議会議員がまとめた政策をさらに分かり易く表現したものです。

配布した新聞の政策面


政策はその時の社会状況や、国や都や区が実施した施策によって、部分的には細かく変化していきます。また、政策の優先順位やボリュームなどを正確に表現することは紙面上とても難しいので、私たちの方向性が伝わることを最優先した表現となっています。
※その大元となる政策の作成過程については、別の機会にお伝えします。

そもそもーーー自民党所属議員が一つの場所に沢山集まり、街頭を行う意義や目的は何か?
それぞれが各駅で街頭活動をやった方が効率的ではないか?と考えられますが、、、。
今回の目論見を以下に記します。

ダイバーシティ
まず、街頭活動を日頃からしている議員、してない議員もいますが、一つの駅に立つ自民党所属の区議会議員は基本1人、多くて2人(三軒茶屋だけは様々なエリアと繋がっているので4人くらい立てます)。いわば、その駅を使う区民にとっての自由民主党の主張は、現状ではその担当議員の声に限られています。
ただ自民党(というより民主主義政治全体に通じて)の良さは、議論の多様性にあります。
各地域を代表する区議会議員自身の重要テーマや特性(前職、専門分野、人柄など)も様々です。
同じ党であっても、一つのテーマにおける考え方が180度違うこともたまにあります。もちろん街頭活動といえども、公に表現する内容はオーソライズされたものになりますが、それでも文脈からは多様性を感じられるものとなります。
つまり、合同の街頭活動を行うことで、本来の自民党の姿をより深く(ないしは正確に)伝えることができます。

インナーコミュニケーション
また、我々はそれぞれ地元地域に責任を持つ立場であり、その責任を全うするために、地域に約束したことを一つ一つ実現しなければなりません。
そして実現するには、よりよい方策を政策としてまとめ上げ、所属議員が力を合わせて、区役所や都議会や国会に対し粘り強く要請していく必要があります。
その力をより強化していくためにも、お互いの地域を理解することが重要になります。
そしてお互いスピーチを披露し聴くことは、大いに刺激となります。
街頭活動を通じ、他の議員の地域のことを少しでも理解を深めることができれば、議員同士の意思疎通は向上していきます。

パブリックリレーションズ
さらに、自由民主党の一つの側面として、区議会議員と地域との繋がりが深いのに比べ、地域と党との関係はそう深くはありません。
質の高い政治を実現していくには、マスコミ等を通じた政治への認識を越え、有権者と直接の関係を太くしていくことが肝要です。
各議員とその地域との強い繋がりの上に、有権者と会派(自民党世田谷区議団)、さらに有権者と自民党との距離を少しずつ縮めていくことが求められています。
デジタルだけではなく、街頭から直接、自民党の考えを有権者に届け、また有権者の声を受け止めるというコミュニケーションを重ねていくことが有効なのではないかと考えます。

イノベーション
先に述べたとおり、基本的にその地域を担当している議員のみがその駅に立ちます。
それは、それぞれの地元地域(俗っぽく言えば「縄張り」)を越えて他の地域にお互い入らないという暗黙のルール(決めたことも確認されたこともない、いわば「空気」)があるからです。もちろん、都議会や国会といった選挙の時は、自らの地元地域を越えて応援活動をしますが、日常においては非常にナーバスな事柄に入ります。

街頭活動は、議会の報告や自らの主張を伝える大切な行為ですが、見方を変えると「個人の宣伝」という側面が非常に大きいと捉えられているからです。
自民党には「私が実現しました!」といった宣伝を好まない文化があります。かつて先輩議員から「選挙以外で街頭活動するものではない。自分を売り込む時間があったら、地元と役所を走りまわれ!」と言われた時代がありました。この言葉は区議会議員という仕事への向き合い方を示したものですが、街頭活動は個人の宣伝で卑しい行為と見られていたことも示しています。

確かに政治はPR(和製英語)やマーケティングに傾注してはいけないという考え方は正しいと思います。
しかし、政治はコミュニケーションそのものとも言えます。時代の変化、特にコミュニケーションの変化に伴い、その手法は自ずと変容していくものではないでしょうか。
私たちは社会全体のデジタル化を推進し、今後すごい速度で変わっていくと思います。そういった変化の中で、どういったアナログコミュニケーションを育んでいったらいいのかも、政治として重要な視点になります。

今回はあえて新たな取り組みを実施することで、暗黙のルールを乗り越え、「個人の宣伝」とはならない例外的ルールを構築できたということでは、小さいながら立派なイノベーションといえるのではないかと思います。

用賀駅前には若宮けんじ大臣(左から5人目)も参加(撮影時のみマスクを外しました)

たかが街頭、されど街頭。迷惑がられることもある街頭活動ですが、有権者と政治を繋げる大切な機会。
各自の活動と両立できるよう頻度の調整をしながら、「世田谷殿の13人」を中心に組織の活動として末永く続けていきたいと考えています。

次回は「世田谷殿の13人」とあえて称した所以である「13人の合議制」についてお伝えします。

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