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「黎明の学師」書籍化への道のり6

0. 目次
1. Amazon PDO + Kindle 出版について
1.5  Amazon KDPが日本でペーパーバックの印刷開始
2. 書籍化への流れ
3. 加筆改稿・編集作業
4. 装丁について
5. 表紙について
6. 発売までの道のり(本記事)

長らくnow printingだった表紙に画が入りました!
電子版はペーパーバック版に先立ち4/15発売予定です!

 初のセルフ出版への道のりを綴ってきた本連載も、遂に今回で最終回を迎えます。表紙も上がり、新たな販促チラシも完成しました。
 今回は原稿、表紙が完成した後、出版へと向かうまでの最後の作業を紹介していきます。

最終の校正校閲

 編集ゆきさんをして「改稿中毒」と言わしめた不祥・神乃も、流石に改稿し尽くし、だいぶ最終稿に近づいたところで書籍用のPDFデータの作成に移りました。
 ゆきさんから頂いたPDFデータを確認し、気になるところを報告します。
 ここにかなりの罠がありまして……。

 まず第一に私はwordで原稿を作成しています。これを編集のゆきさんがInDesignというデザインソフトに流し込んで書籍用原稿を作って下さるわけですが……この変換の際にかなりの高頻度で「改行後の文頭スペース」が消えるんですよね。
 頂いたPDFデータを見ながら「改行後スペースなし」のチェックをひたすら入れ続け……。この罠は、直した後のデータでちょっとデザインを変更すると、新たな「文頭下げ忘れ」が生まれるという罠が繰り返され、なかなか大変でした。

改行後の文頭スペースが消えている部分に色を付けて報告。かなり沢山あって大変でした。

 第二の罠は、InDesignからPDFファイルを書き出すときに起こります。ここで、文の最後に謎の空白が生まれることがあるんです。
 これもPDFファイル上でかなり潰したんですが、それでも見本刷りすると一箇所残ってました。

行の最後に謎の空白が入る

 しかも「改稿中毒」の私ですから、こうしたミスを探している間にうっかり原稿を「読んで」しまい、表現を変更したいとか、ここの文章削りたいとか、てにをはを変えたいとか言い出すんですよね……。

 こうしたチマチマとした修正作業を繰り返し、校正校閲は進んでいきます。
 ちなみに、私はこういうチェックに関して、かなり細かい方です。この辺って作家さんの中には無頓着な方もいらっしゃると思いますが、有料のプロの校正の方を雇わない限り避けて通れない部分ですので頑張って下さい(としか言えない)。
 自分でやってても、細かい質で良かった……と思いましたもんね。こういうの苦手な方にとっては相当大変な作業だろうと思います。いや、私にとってもかなり大変な作業だったんですが……自分で確認しないと気が済まない性格なんで、頑張ってやりました。

見本誌

 そんなこんなでPDF ファイルを完成させ、いよいよ見本誌の発注です!  見本誌は現在までに三冊発注しています。

 最初は表紙をグロスPP(艶あり)加工にして発注しました。タイトル文字の色が少し沈んでいるように感じましたので、ゆきさんにお願いして文字の色を建物の色と同じくらい明るくして貰いました。

 一回目の見本刷りと二回目の見本刷りの間に大きな中装丁の変更が生じまして……最初はフォントを10ptにしていたのですが、家のプリンターで印刷した際には良いかなと思っていたものの、少し大きすぎたのですね。あとソデ(外側)の余白が少し足りないと感じたので、フォントを9.5ptにして一頁あたりの行数を一行減らしました。
 このデザイン変更の過程で、行の最後の謎の空白が再生産され……再度これを潰す作業が……。
 ちなみに9.5ptは最近の字が大きめの文庫本の字と同じ大きさです。少し大きめサイズの字で読みやすくしております。

 更にAmazon特有の仕様による罠もありました。
 実は、表紙画をお願いしたgehnさんがご厚意で物語のラストシーンのイメージ画を描いて下さったのです。これをペーパーバックの中面にも使いたいということで、本篇の表紙頁にイラストを載せたのです。これにより、本文頁に「裁ち落とし」が生じることとなりました。(画面いっぱいのイラストなどがなければ、小説本では通常裁ち落としは不要です。)

gehnさんの描いて下さったサブイメージ

 Amazonペーパーバックの裁ち落とし、かなり特異な仕様になっていまして……「天地ソデ」の三辺にのみマージンを追加し、「ノド側」にはマージン不要なのです。(*普通は裁ち落としのある場合、四辺の全てにマージンを付けます。)
 この余白についてのKDPヘルプページ上での説明が、いつもの如く非常に分かりづらい!!! なので、編集のゆきさんには「マージンは上下外側の三辺のみ、内側は不要です」とお伝えしてあったのですが、流石にイレギュラーすぎて伝わりきらなかったようで……。
 見本誌やAmazonが作成してくれる校正用PDFデータを見ていて、何か違和感を感じたので頂いた原稿のPDFデータを確認すると、やはり横幅が3mm程度大きい……。
 これが印刷時のズレにどの程度寄与するかは不明でしたが、少なくとも一部の頁に影響があるようでしたので、余白の変更をお願いしました。
 Amazon PODにはこういうイレギュラーなことがちょこちょこあって、印刷の知識があると却って惑わされる落とし穴が沢山あります。ヘルプページにもね……。

これで完璧……じゃなかった! なんと再度の色校正!

 このような紆余曲折を経て、見本誌第二弾を発注しました。これは主に中面の装丁変更を確認するために刷ったのですが、表紙をマット(艶なし)加工にしてグロスPPと見比べる目的もありました。
 私としてはタイトル文字の色を明るくして貰った二回目の見本誌で、表紙はもう完璧! という感想だったのですが、ゆきさんは見本誌とは別に印刷所にグロス加工とマット加工の表紙画の印刷を発注し、色校正をした上でgehnさんに直しをお願いしてくれていました。
 ゆきさんは商業誌の編集時代に印刷の色校正をかなりやりこんできた経験があるらしく、私には「もうこれ以上はない」と思える表紙を更に良くして下さいました。

 ゆきさんから貴重な写真を頂いたので、色校正の過程をご覧に入れます!

ゆきさんが個人的に印刷所にグロス加工とマットPPの表紙画を印刷依頼
こっちがグロス加工
こっちがマット加工
印刷した表紙の上にこのようにフィルムを重ねて……
(通常はトレーシングペーパーを使うところを、切らしていたからフィルムで代用したとのこと)
フィルムに赤字でgehnさんへの色補正のお願い事項を書き込んであります
裏表紙にもびっしり書き込みが
全体像はこんな感じ

 この二種類の印刷と、一番最初の見本刷りをgehnさんに郵送し、印刷により適した色に補正してもらったそうです。
 3回目の色校正後の見本誌の表紙は、とても鮮やかでぱっと目を惹く感じ。最初の渋い雰囲気も画としてはとても素敵で素晴らしかったのですが、本の表紙として見ると色校正後の明るい感じの方が存在感があります。
 一回の色校正でここまで良くなるなんて、つくづく二人はプロなんだなあ! と感心しました。

左から初回グロスPP、マット加工、色校正後のグロスPP

 印刷見本を見たgehnさんが「発色が良いからグロス加工の方が良い」と仰っていたと聞いて、最初の渋い色合いの時点ではマット加工の方が絵の雰囲気に合っていると考えていた私は少し悩みました。
 でも色を直した後にグロス加工の見本誌を作ってみたら、鮮やかで本当に綺麗! 一目見てグロス加工で行くことを決めたのでした。

色校正後のグロス加工表紙。あまりの美しさに、通りすがりに見掛けると写真を撮ってしまう

遂に出版!

 それにしても、最終稿(仮)が上がってからの作業量の多さと来たら! 細かい修正は山のようにありましたし、中装丁を一度まるっと作り替えましたし……想像以上に最終の作業が多かった!(まだ終わってない)
 そんなこんなで苦労しましたが、ようやく出版の目処が立ってきました!
 Kindleから電子書籍版を先に出版し、2週間後くらいにペーパーバック版を出版する予定です。
 電子書籍は予約販売が出来るのですが、ペーパーバックは発売日の予約が出来ず、申請から出版までどのくらい掛かるのか厳密には分かりません。
 取り敢えず電子書籍版を2022年4月15日発売とし、ペーパーバック版は4月29日頃の発売を目指しています。
 電子書籍版の販売ページは既に出来ており、下記のURLから購入することが出来ます。勿論kindle unlimitedにも対応しております。

 個人的には、非常に苦労して作り上げたペーパーバック版を是非お手にとって欲しい! 正直、表紙だけで買う価値はある・笑。ジャケ買いの価値がある本と自負しております・笑。
 もちろん中身も一生懸命書きました!「混沌の惑星」シリーズがどんな物語か興味を持たれた方がいらっしゃったら、下記の記事をご参照下さい。

 では、ここまで本連載にお付き合い下さり誠にありがとうございました! 私はこれから出版の日をワクワクドキドキしながら待つことにします!

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