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「KDPからPOD出版ができるようになりました」のお知らせから考えたこと

 Amazonさんから上記お知らせが来て少し経ちました。既にkindleから電子書籍を出されていた方や、ネクパブさんを通じてAmazon POD出版をされていた方の中には、この短い期間でKDPを利用してペーパーバックを発売された方もいらっしゃいます。原稿データが揃ってるので、早かったのでしょうね。
 私自身は最初の数日は神経衰弱のようなKDPヘルプページを解読するのに精一杯でした。(*神経衰弱:以前見た情報がどこに載っていたか、二度と探し出せないことの比喩。)
 結論としては、

この記事に書いたように、ヘルプページが難解なだけで準備すべきデータなどについては変わらず、問題ないというものでした。
 小説の場合、裁ち落としがありませんので判型の原寸サイズのPDFファイルを準備すれば良いだけですし、表紙サイズは計算ツールがヘルプページ内にあります。
 折角なので、ヘルプページ内にある便利な計算ツールを幾つか貼っておきます。

表紙サイズの計算ツール

印刷コストおよびロイヤリティ計算ツール

 このような感じでヘルプページには様々な便利な機能が備わっているのですが、問題はこれらのページがどこにあるのかを探すのが非常に難しい点です。
 ヘルプページのあまりの難解さに、盟友の一人はKDPからペーパーバックを出すのは面倒くさい、当初の予定通りネクパブさんを利用しようかなと言い出しております。いや、ヘルプページは難解だけど、データの準備はネクパブさんから出すのと変わらないんだよ……。

 そんな中、セルフ出版の経験の深い旭山リサ様が、非常に分かりやすい解説記事を書いて下さったではないですか!!! KDPからPOD出版を考えている方は必読ですゾ!!!

旭山リサ様の記事はこちら

 この記事で私が非常に興味深く感じたのは、旭山さんが「ネクパブを通して出版した本はB6版」「KDPから直接出版する本は新書版」とすることで、価格の差別化を図っている点です。
 以前の記事でも書きましたが、私はKDPから直接ペーパーバックを出すつもりでいます。それは、私にとって「少しでも本の単価を下げる」ということが最優先だからです。ですが、必ずしも全ての方にとって本のコストを下げることが第一義ではないでしょう。どちらのサービスを選ぼうか? と悩んでる方もいらっしゃると思いますが、両方を巧く利用するというのも一つの選択肢だと私は考えています。
 旭山さんは本の判型を変えることで差別化を図り、仲介業者さんを挟んだ分どうしても掛かってしまうコストを相殺しています。本当にあっと驚く発想で、唸らされました。

 私が考えていたのは、「どうしてもペーパーバックは嫌だ」という方向けの販売方法です。日本の出版物はソフトカバーが付いているのが標準ですから、馴染みのないペーパーバックという形態に、読者さんの中にも書き手さんの中にも抵抗のある方がいらっしゃるんじゃないかな? と想像します。ネクパブさんは印刷のみのサービス(プリントオンデマンド式)にも対応しており、ソフトカバー付きの本も印刷できます。KDPからペーパーバック版を販売し、ネクパブさんにソフトカバー付きの本を印刷して貰ってBOOTHで販売、買い手は好きな方を選べるようにするというのも、一つのやり方かなあと思いました。
 これは、先に受注を取った上で豪華オフセット版をBOOTHで販売した後、Amazon PODでペーパーバック版を売ってる方がいらっしゃるのを見て思いついたことです。オフセット印刷はハードルが高いですが、PODによるソフトカバー付き本くらいなら気軽ですよね。
 またamazon com.ではハードカバー版の印刷にも対応しています。いつかamazon.co.jpでもハードカバー版の印刷が始まったら、ソフトカバーとハードカバー両方の販売をするのも面白いと思います。少々値が張っても豪華な本が好きだという方はハードカバーを選ぶことも出来ますし、私のようなソフトカバー好きの読み手はペーパーバックを選べますし、もちろん電子書籍を選ぶことも出来ます。読み手が好きな形態の本を選べば良い訳です。
 こんな風に、書き手にとっても読み手にとっても選択肢の幅が広がるのは、わくわくするような変化だと思います。前向きに捉えて、セルフ出版を楽しんでいきたいものです。

 ちなみに、こんなことを考えてみたりした割には、私自身にソフトカバー付きの本を印刷して別売りしたいという願望は全くありません・笑。日本では、小説は最初に上製本を出して、期間をおいて文庫版を出すという流れが嘗て一般的でしたよね。海外にもハードカバーとソフトカバーがありますが、ソフトカバーはペーパーバックです。この海外のペーパーバック、位置づけとしては「廉価版」とか「簡易版」とかなんでしょうが、デザインもシンプルで格好いいものが多くて、私は大好きなんです。ですからAmazon PODでペーパーバックを出すことにしたとき、海外のペーパーバックみたいな雰囲気にしたいと最初から考えていました。サイズも少し大きめの四六判を選び、洋書のような存在感を目指しました。出来たらページ数も400ページとか500ページあれば良かったんですが、残念ながら200ページ超しかありません・笑。
 最近あちこちでAmazon PODが話題になる中で、時々「ペーパーバックは安っぽい」という意見を見掛けて残念に思います。プリントオンデマンドとオフセット印刷を比べれば、そりゃあオフセット印刷に軍配が上がるでしょう(最近はオンデマンド印刷の精度もかなり向上しているようですが)。でも、ペーパーバックが見劣りするという固定観念は少しずつ減っていって欲しいです。例えば上製本と文庫本を比べても、豪華なのは明らかに上製本ですが、私も含め文庫本の方が好きという層は一定数いると思います。ペーパーバックとカバー付き文庫も、どちらが好きかは好みの問題かなーと。ペーパーバックを安っぽいと決めつける前に、ペーパーバックに映えるデザインを考えて格好いい本を作ることを目指したいものです。

 最後にお知らせです! プロメテウス文藝部海乃眞様が「混沌の惑星」シリーズについてのインタビュー記事を書いて下さいました。ぜひ読んでみて下さい!

 このインタビューで紹介して頂いた「混沌の惑星」シリーズの作者による紹介記事はこちらです。


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