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最後の連載ライダー

『仮面ライダーBlack』は、石ノ森章太郎の萬画作品。特撮テレビ番組『仮面ライダーBLACK』の萬画版で、週刊少年サンデーにて1987年~1988年にかけて連載された。晩年の萬画作品で最後の連載ライダーである。それを週刊連載で読めた私は幸せである。。。重要な登場人物の名前はテレビ番組版と同じだが、登場する仮面ライダーの外見や展開については大幅に異なっている。仮面ライダーの原点へ立ち返った作品。主人公の南光太郎が苦悩しながらも悪と戦い続ける姿が非常に印象的だった。悪の結社ゴルゴムだけでなく、孤独との戦いを強いられ、ミステリアスな雰囲気はテレビと同様ですが、バッタ男にされた悲しみや、戦いの苦しみの深さが全編を通してより深くに描かれている。この点が本郷ライダーに非常に近いといわれていかにもヒーロー!とは違う。かつての石ノ森章太郎の作品、「サイボーグ009」とか「仮面ライダー」とかでの改造人間は、身体の器官を機械に単純に置き換えた、ある意味では解り易い改造だが、この「仮面ライダーBLACK」では、変身は科学によって特別の遺伝子が組み込まれたためだとされています。これによって、主人公はまったく別の生命体に変わり、単なる仮面ではなく、本郷ライダーが作り物の仮面を被って戦ったのとはまったく異なる。最先端の遺伝子操作という生命科学の知識を取り入れていながら、かえってグロテスクさが増し、変身は完全に「変態」として描かれている。さらに、仏陀にまつわる伝説やノストラダムスの予言をとり入れ、幻想と奇怪な雰囲気を盛り上げています。ちなみに作品内に登場するホテルは、全て「プラトンホテル」の系列である。これは、石ノ森章太郎の作品『HOTEL』の舞台となるホテルであり、このことからも石ノ森作品は全て同一時間軸であると考えられる。
記号としての「仮面ライダー」として刷り込みがうまくいかなかったせいか、「仮面ライダー」という言葉を、ひとつの有機的な記号として認識してしまった僕は、「仮面のバイク乗り」ではなく、『ヒーロー』の固有名詞として取り込んでしまったところがBLACKは、いきなり自分で名乗っちゃった(確かテレビの方はそうだったような)本郷猛が名乗りを上げるまでには、自らを名乗らせる理屈を考える間を、どこかに紛れ込ませる余地はあったんですが…で、コミカライズの方では、そのテレビ番組「仮面ライダー」が放送されている世界で、光太郎もそれを見ながら、バイクを与えてくれる先輩の言葉も手伝って、仮面ライダーになろうとしていく。この辺のプロセスは、石ノ森先生もけっこう悩んだような痕跡を感じる…結果、後のシリーズは仕組みとしての仮面とライダーが定義づけられていない場合、“彼等”を目にした者が「仮面ライダー」と認知していくこととなり、パラレルだろうが繋がっていようが、仮面ライダーは仮面ライダーという記号で、その名は○○という形式を確立していく...

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