見出し画像

殻にこもりながら聞いていた【連載④】さて44歳リクルートを辞めて

「おまえさ、もしかして自分の為に仕事してない?」

じゃらんの営業から半年後に編集部に異動して僕は更に殻にこもることになりました。じゃらんという雑誌の編集企画担当という仕事は、営業部と編集部の間に入り、宿泊施設のクライアントにご提案する商品としての「特集」を考えるのが主。特集は、例えば「客室露天風呂のある宿」とかそういう宿泊のテーマをお宿さんが参画する(購入する)広告商品としたものです。

かじった程度の営業経験では、間に入ることはとても難しいことでした。独りよがりになったり、全く前に仕事が進まなかったり。

そんな時に冒頭の言葉を当時のマネージャーから言われました。今やリクルートのトップとなったKさんです。Kさんは、「企画担当100本ノック」として「なぜiPhoneは人気なのか?」とか「富士山はなんで日本一なのか?」とか毎日お題をくれて、その答えに点数とコメントをくれるという手取り足取りな育成をしてくれていました。

そのKさんからの

「おまえさ、もしかして自分の為に仕事してない?」

ハッとしました。働くはハタをラクにするという意味などは後から知ったことですが、ひとつの考え方の転機となりました。

リクルートの中でも一番ダサめなのにずっと残っている「ハッピートライアングル」もようやく腹に落ちて来たのがこの頃です。エンドユーザー(カスタマー)とクライアント(広告主)とリクルートが三方良しとなる仕事を意識することで判断軸がマーケットへの価値提供に自ずと向く、という近江商人的な考え方のリクルート版です。

じゃらんの編集部時代は今思えば、スゴイ人達が周囲にたくさんいて、心に残っている言葉もたくさんあります。前述のKさんもそうですが、今のホールディングスのトップのIさんも隣の島にいたりして当時のじゃらんネットを伸ばして行った方々が、エアレジのシリーズの開発や、インディードの買収と拡大に関わりリクルートオールを支え偉くなって行ったのですね。振り返れば、その方達は、当時から大分キレッキレでした。

〈そんな先輩たちからの印象的な言葉〉15年経って覚えているもの

・そこに込めたメッセージはなに?メッセージが込められてなければ、伝わらない。伝わらなければ、どんなに頑張ったとしてもすべてゴミ。

・来た仕事は抱えず、その場で打ち返すか、誰かにパスするか、自分で持つのかすぐ決める。

・決めることが仕事。決めてないなら、それは仕事をしてるとは言えないね。

・100年後の歴史学者目線で、今の企てを客観的に見てみること

とても勉強になった東京のじゃらん編集部から、関西のじゃらん編集部へ異動します。

頂いたサポートを誰かをサポートするエネルギーにして参ります。