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四国とスペインの巡礼日記 <旅を終えて>

旅を終えて: 新しい旅の始まり

当たり前の日常の中で、ふとカミーノの砂の道、四国の山の道を歩いていた日々が頭をよぎり、焼かれるような幸福感に満たされることがあります。また、巡礼中に感じた、偶然の顔をして訪ねてくる多くの導きや、網の目のように仕組まれた必然の出会いが、日々の生活の中にもひょこっと置かれていることにも前よりも少し多く気づけるようになったように思います。

フランスのピレネー山麓の小さな町の小さな焼物屋さんのおじさんが言っていたこと。

「巡礼道を歩くことは自分の心を歩くことと一緒だね」。

でも、本当は巡礼道の上でなくても、人は皆どんな瞬間でも、どこで誰と何をしていようと、一番深い根っこの部分では、自分自身の心の上をワクワク・ドキドキしながら希望に溢れ嬉々として歩いているのだと思います。

巡礼道というのはその事を体感するために先祖が残してくれた道具の一つなのだと思います。

スペインから帰った後、奈良吉野の山深くの天川村にある「天河弁才天」を訪れました。そこは四国遍路を作った弘法大師が高野山を開く前に根本道場として検討した土地でした。そして、小さな集落の外れには「天の川」と呼ばれる川があり、夜の空の「天の川銀河」に沿っているとのことでした。スペインの巡礼道も同じように天の川に沿ったケルト文化の信仰の道でした。

僕は、天川村を二つの巡礼道のゴールのように感じたのでした。

また、五十鈴、籠目、水、弁天、龍、役行者、鬼、古神道などなど、その後の日本各地の聖地巡りのキーワードが散りばめられた土地でもあり、新しい旅のスタート地点ともなりました。

四国とスペインの巡礼の後に訪れた日本各地の聖地では、日本で生まれ育ち、そして土に還っていった幾代もの祖先が、僕等子孫に伝えようとした大切なメッセージが確かに残されていることを強く感じました。またそんな新しい旅の報告「日本の聖地巡礼編」もさせて頂きます。

2005年1月の日記編集時のもの
関雄介

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