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【小説】不完全燃焼7

 中学校の思い出はほんとに部活動の思い出しかなく、ほかにたくさんあったかもしれないけど思い出すのは先生から打たれた記憶しかない。部活動で打たれたり、一度あったのはチャリに肩掛けカバンを引っ掛けてそのまま落として気づかず、次の日に剣道部の先生になぜかびんたされた。とにかく、その時代はビンタすることが先生方で流行っていたのだろう。今では大問題になったであろうことはたくさんあった。

 中学校の思い出は部活動で全国大会に出場したことであるが決して自慢できるものではない。最終学年では一応レギュラーで主力選手として試合に出ていた。一応期待された選手としての証で試合中のペナルティキックは自分に任されていた。しかし、市予選で試合中のペナルティキックを自分が外し初戦の緊張感から点をとることができず、PK戦に持ち込まれた。そして試合中のペナルティキックを外した自分が一番目のキッカーに指名された。「マジで!!」  

 心臓バクバク、はずしたらマジで終わると思いながら蹴った。なんとか勝利したが後味は悪かった。こんな俺でも県大会の準決勝と決勝は自分が決定付けた形で頂点をとった。しかしながら、全国のきっぷをかけた九州大会もぎりぎりで勝ち取ったのでなんともかっこ悪かった。本来なら優越感に浸ることができるのだがうちの中学校はバドミントンが男女強く、その年代あたりは毎年チームで全国優勝、個人戦でも全国優勝をとるほど強く全国出場で学校で認められる程ではなかった。

 また、全国大会は1回選で大差で負けた。

そして、一番の記憶は感傷的な性格ではなかったが親父ではなくて初めて母親が見に来てくれた最後の大会で試合終了後の挨拶のときにスタンドを見上げたときにその母親の姿が見えてなぜか一気に涙が溢れ出して姿が見えなくなったことが一番の印象深い出来事だった。初めて部活動ができることの親への感謝を本当に感じたときだった。これが周りに感謝するということを実感した出来事だった。

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