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【小説】不完全燃焼17

 田中邦衛がなくなった。「北の国から」は一番好きなドラマだった。なぜかというと奥手の自分に似た境遇であったからだ。また、自分の母親は自分の物心がついたときから体調が悪く、ギリギリまで透析を回避していたが大学2年のときに「透析を始める前に北海道に行きたい」という母の希望から富良野に行った。あのままの雄大な自然と五郎の家にいった記憶がある。また、小樽にも行った。親父が石原裕次郎記念館に行きたいといい、自分は二人の運転手としてついていった。決してめちゃ楽しい旅行というよりもアシスタントとして行ったようなものであった。

 尾崎豊の「I LOVE YOU」を聞くと「北の国から」を思い出すし、大学に入学してもたまにビデオを借りて見ていた。悲しいとき自分に浸りたいときなんかは最高にあうドラマだった。

 個人的には宮沢りえが出てたシリーズがよかったような気がするが蛍は小さいときが可愛いなぁと久しぶりに実感した。

 自分の会社には平成4年生まれの若手がこの半年前に転勤してきた。自分が大学に入学した時に生まれたなんてなんかすごいおっさんになっている自分がいる。最初は無理矢理に話を合わせていたがだんだん面倒になってきた。これが普通の社会人かは定かではないがガッツが全く感じられないし、なにか話もなんとなく深みがない。でも彼女はいるらしい。

 自分の最近の趣味はヒロシを真似てキャンプ道具をコロナ禍で集めるようになり、サウナブームに乗っかり、今は毎週釣りに行っている。そしてたまにおっさんサッカーをするという自由に奥さんにさせてもらっているおっさんである。

 最近は毎週の釣りがルーティンになってきている。熱しやすく冷めやすい。これまでの彼女もそうだったのかもしれない。でも今の奥さんは気楽に毎日過ごせるので一番合っているのかもしれない。多分そうだと思う。その恩返しとして1年前ぐらいから月イチで二人で飲みに行くようになった。美味しい食事を誰にも教えたくないような美味い店で二人で過ごすことを決め事としている。するとけっこう機嫌がよくなるので好循環である。

 先日、近くのスーパーマーケットで手をつないで夕飯の買い物をする学生もしくは新社会人カップルを見た。週末の一番楽しい時間がスタートしたといった感じで嬉しが表情とそのしっかりつないだ手に現れている。「いいなぁ」「羨ましいなぁ」と素直に感じる。その時期の絶対に楽しい時間であることは間違いない。

 でももう戻れない。自分はそんな時間をどれぐらい過ごしたのか少しづつ思い出したい。

 

 

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