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【小説】不完全燃焼16

 コロナが流行りだして飲み会もなくなり、最初はキャンプにハマり、その次は釣りをするようになった。金曜日は毎週いつもより酒が進んだが最近は土曜日早朝から運転するので軽めにするようになった。

 最初はサッカーコーチのストレスから釣りに行くようになったが今はそんなことどうでもよくなった。「無」になれることが嬉しい。太陽と波と釣り糸を眺めることに集中している。

 釣りの帰りは昔の曲を聞きながら帰る。T-BOLAN、ZARD、classなど久しぶりに聞く曲は大学時代を思い出させてくれる。

 大学に入学し、一番最初の出来事は合コンをすることだった。その当時は福岡だったので親不孝通りでコンパをして不発に終わり、その後泥酔してコントのように植木の中で朝を迎えた。あの時代は多分楽しかったのだろう。サッカーの仲間で流行りのバーやディスコをよく知っている奴がいたので連れていってもらい、ガンガン音楽(ジュリアナ東京)がなる中で二人組の女子と知り合い、2:2で家に帰ったことが大人になったようで誇らしかった。一緒の時間を共有することがこんなに楽しいことだとは思わなかった。

 一番衝撃的だったのは「ドリカム」が好きな彼女と別れを切り出されたことでかなりのダメージを受けた。定番のスキな人ができたので別れてくれと言われた。今、思えば彼女のほうが辛かったと思う。別れを俺の部屋に泊まりで伝えに来てくれたからだ。当然の流れでそのようになるだがなんか虚しかった。明日になれば元カノになるんだから。また、その好きになったのは俺の幼馴染であったこともダメージを大きくした。そのあともダメージを食らうのだったが後に書きたいと思う。


 別れをきりだされ、立ち直りができず毎日落ち込み、気分を変えるために四国に旅行に行った。「東京ラブストーリー」をめぐる旅でカンチとリカが別れた場所にも行った。なんか「浸ってる」自分に酔っていた。そして、また合コンをして好きでもない娘の家にそのまま泊まり歩いたり、そのままやり逃げしていた。なんかどうでもよかったようで、その軽さがうけたのかもしれない。

 その別れた元カノは今後もひきづった。なぜならその子と結婚したかったからだ。働き始めたときもよりを戻そうとしたが完全にガン無視された。そしてその元カノはその当時の彼氏(俺の幼馴染)と結婚したという結末を大分あとから知った。そんな純愛があることもびっくりしたし、なんか負けた気がした。

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