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悩んだ結果、窓から投げた

こんにちは。きっかけアクセサリーのお店カナ・ノワール堂、店主の音海奏乃です。

タイトルを見て、どういう意味? と思った方もいるかもしれませんね。物理的に物を投げたわけではなく、投げた気持ちになって、軽やかになったよというお話。

そろそろハンドメイドに関する記事も書いていきたいのですが、なかなか本腰入れて向き合える時間が取れない時期なので、普段感じたことや考えたことの記事が増える傾向ですが、お付き合いいただければ幸いです。

プリンセスの憂鬱

ハンドメイド作家、と言っている以上、「美しい場面だけを見せましょう」とか「世界観を壊さずに活動しましょう」という方を見かけることがあります。極端な場合は、「あなた自身も商品だと思って常にみられている意識で過ごしましょう」というようなものも。言いたいことはわかるのですが、私にはどうも、それらを受け入れることができませんでした

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まるで有名人のように振る舞いなさいというようなものもあり、心底ふしぎに思ったものです。確かに、有名人の私生活が気になる方もいるでしょう。あの人はきっと素敵なホテルに泊まって、おしゃれなレストランで、洗練された服を着て……。でも、私はそれらに一切興味を持ったことがなかったのです。有名人はその人となりが商材なので、少しでもイメージと違うところがあればすぐに人が離れていくと聞いたことがあります。明らかにイメージや品位を損なうものはさすがにその通りだと思いますが、人間ですもの、誰しも失敗はつきものです。そんなことで離れていくのなら、ファンもその程度の人だったのではないでしょうか。

そういう考え方のせいか、素敵な作品を作っている人の生活がどうとか、生活がどうとか、気にしたことがないのです。もちろん、素敵な人がきれいなお店で過ごして、たまの休日は美しい湖畔でくつろいでいる、そんな姿を見て「いいな」と思うことはあります。でも、あまりにもそれが徹底されていると逆に違和感を覚えるのです。

お姫様は、お姫様として花を好み、蝶を愛でて、鳥と歌い、月に涙する……。それは、周りの人が勝手に決めたイメージですよね。お姫様はこうあるべき、というのは、ある程度は品位を保つために必要です。ほかの人とは違うという、差別化を図らなければ民からの支持は得られません。でも、いきすぎては、彼女の意思を殺してしまうのです。

本当は、庭で追いかけっこをしたい。魚釣りだって、ハイキングだってしてみたい。そういう思いを封じ込めて長い間人前に立つことは、つらく苦しいことです。これはお姫様に限ったことではありません。普通の人だって、大変なはずです。こんな風に思うのも変わっているのかもしれませんが、「ハンドメイド作家なら作品だけを宣伝するべき」とか「イメージを損なうからマイナス面を見せてはいけない」とか、制限が多すぎると、苦しいのです。だから、私はあえて、その道から外れることにしました。

孤独なファーストペンギン、だけど

一番最初に海へ飛び込んでいくペンギンのことを"ファーストペンギン"といいます。その姿から、勇気がある人、一番に始める人にも使われることがあります。

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私は、ハンドメイド作家としてはかなり特殊なほうだと思います。ほかの作家さんたちとあまりにも乖離しすぎていて、ゴーイングマイウェイどころかオンリーマイウェイ状態。作品も、作風も、生活スタイルも、思うことも、感じることも全部違う。それなら、無理に合わせることはないんじゃないかと、ある日その"固定概念"を投げ捨てることにしました

「こうしたほうが売れる」「こうすればいいねやお気に入りが増える」といったものを読んだ以上、そこから外れるというのはかなり勇気がいりました。そこから外れて、売り上げがない状態が続いたらどうしよう。でも、そんな不安はすぐに解放感に変わりました。毎日更新とか、トレンドのタグにすぐ反応するとか、頑張ってやってきたものの苦しさを感じていた日々と、お別れすることができて、その分自分と向き合う時間ができたのです。

直接言われてはないのでわかりませんが、中には「あの人、作家としてどうなのかな、私生活がおしゃれじゃない」と思う方もいるかと思います。特に、一生懸命に自分の方法を確立してきた方に思われるのは、致し方ないことです。しかし、無理して心や体を疲れさせるくらいなら、私はそこから離れて、新しい道を探すほうがいいのです。

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それに、もしかしたら、同じことを思っている人がいるかもしれないと思ったのです。まだ、実績がないので偉そうなことは言えませんが、もしこれからハンドメイド作家としてある程度自立できたら、「そういう方法もあるよ、無理しないで」と言いたいのです。まぁ、これは私のわがままかもしれませんが……。

もう、つらくはないわ

ありのままの姿を見せるというのは、勇気がいる人もいます。ついつい良いかっこがしたくて、見栄を張ってしまう気持ちもわかります。自分は弱いとか、みっともないとか、思われたくないですよね。

私は、見栄を張るほうが苦しかった。よく言えば正直ですが、うそやごまかしがうまくなく、すぐ顔に出るタイプ。それに、いざ作り上げてきたイメージと違うなんて言われたら、ぐうの音も出ません。だったら、初めからそんなに素敵なイメージを持っていただかなくても構わない。ほかの作家さんが庭園で咲き誇るバラならば、私は道端の、ついつい触りたくなるエノコログサで十分なのです。エノコログサに、立派になることを期待する人は多分いません。けれど、そこにあると、ついつい目線が引き付けられる(私だけかな?)。遠くであこがれの的になるより、近くで親近感を持ってほしい。そんなことを思っているのです。

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それから、成果(つまり売り上げやイベント参加など)がなくても、もう落ち込まないことにしました。そりゃ、あるに越したことはありません。でも、なくたって楽しいんです。初心者の考えでも構いません。いつまでも成果に目を向けて、自分の作りたいものを我慢するほうが、私は嫌なのです。こう書くと、本当に負け犬の遠吠えな感じがしますが、そう思われても、もういいや。と、窓の外へ投げ捨てたら、すっきりしました。

自分を飾らず、自分のペースで進む。それが一番、私にあっているスタイルなのです。だから音海奏乃は、ほかの作家さんたちと違うスタイルで進んでいくことになります。それでも、きっと「そういう人もいるんだ」とわかってくださる方がいるはずなので、そこに小さな幸せを感じていきたいのです。

今回は、感じていた違和感を投げ捨てるというお話をしました。まだまだ悩むことはありますが、そこから学ぶこともあります。自分だけの道を究める覚悟で、進んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。

きっかけアクセサリーのお店カナ・ノワール堂

音海奏乃

ギャラリー実験


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