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「私の祖母のお話し」解説

前回noteに乗せた、「私の祖母のお話し」の解説です

【人物紹介】

・藍(あい)
本作の語り人。24歳。
審神者の適正能力はまだ目覚めていないが、もうすぐで目覚める。
アルバムで見た若かりしときの祖母を見てから、
ずっと祖母のことを気になっていて、母や大おばに話を聞いていた

・桜(さくら)
藍の大おば。杏の6個離れた妹。
審神者の適正はないが、俗にいう霊感がある。
幽霊を見たりするというよりは、声を聴いたり気配を感じたり、
第六感と呼ばれるものが強い。

・杏(あんず)
藍の祖母。15歳で審神者になった。
昔から審神者としての能力がたかく、物の声を聴いたり、
人ならざる者の姿をよく見ていた。

・花(はな)
藍の母親。杏の子供で、桜は叔母にあたる。
この四人の中では二番目に審神者の適正と霊感が低い。
だが勘がよく、危機察知能力が高い。
実は自分の子供である藍にも、常人にはない不思議なオーラを感じていた。

・曾祖母(名前は決めてない)
杏と桜の母親で、藍から見ると曾祖母に当たる。花から見ると祖母。
審神者としての適性も霊感もない
世の中がベビーブームと湧く中子供になかなか恵まれず、
夫と結婚している間に何とか杏を身ごもれたが、
結果的に離婚を告げられた。
離婚の半年後に桜の妊娠が発覚する。
曾祖母は何も見えないし何も聞こえないが、
毎日何かにおびえたように生活する杏を常に気にかけ、
この子はきっと何か不思議な力を持っているのだろうなと気付き始める。


【本編解説】

藍は、初めて杏の若かりしときの写真を見た時に、杏のまとう不思議なオーラと美しさに魅了されています

【時の政府と審神者適性】

「時の政府」という組織は、日本の水面下でひそかに動いている特殊組織です。
「付喪神」を祀って且つそのお力を貸りて、未来の日本の政を支える、法律上でも公認されている安全な組織で、
その役員全員が少しばかりの審神者適性能力を持っています。
本丸を一つ持てるほどの強力な霊力を持つ審神者は本丸の主に就任し、
本丸を持ち維持するほどの霊力はないけど、審神者としての適性があるものは時の政府に入職できます
この5人の登場人物の中では、桜は時の政府に入職できるくらいの適性がありますが、花は微妙です。
あくまで入職するかどうかは個人の自由だし、そもそも公にはされていないので、
杏のもとに時の政府がやってきた時点では役員も全然いませんでした。

杏は15歳で時の政府に審神者としての能力を正式に見初められますが、どこから時の政府がその情報をつかんだのかというと…
杏が幼い時に「かかしがこっちにおいでと手招きしてくる」といって怯えていたこのかかし。
実は刀剣男士が擬人して杏を見守り、こちらを見て気付くかという、いわゆる適性検査があったのでした。
この時杏は、曾祖母に詳細を話してはいませんでしたが、実は白い装束のかかしがこちらを見てて招いている、というところまで見えていました。
そう、このかかしの正体は政府所属の鶴丸国永でした。
彼は自分の姿をはっきりと見て、手招きをしているという動作まで宛てたことから、審神者の適性が高いと判断したのでした。
しかしこれを役員に報告しても、まだ時の政府は発足したばかりで人手が足りなかったので、杏をむかえにあがるのに時間がかかったのです。

杏が時の政府のことを知ったのは13歳のころ
学校帰りに、例のかかしに化けていた鶴丸国永に驚かされたところから始まります。

【現代と本丸の時の流れの関係】

桜は、いつもふらりと帰って来る杏の、年には見合わず若い姿を見て、
少しばかりの恐怖を覚えています。
杏が実年齢より若く見えるのには理由がありました

15で杏は一本丸の主となり、以降本丸ですべての時間を過ごしています。
たくさんある本丸は、いずれも同じ世界軸には実はありません。
つまり一つ一つの本丸が、パラレルワールドと化しているということです。
ですが、すべての本丸に流れている時間は一緒なので、どこかの本丸がすごく昔で、
どこかの本丸がすごく未来、ということはありません
しかし、本丸がパラレルワールドに存在しているため、桜たちが生きている現代とは時間の進み方が異なります。
大体現代と本丸との間に約5年ほどの時間差があるとされていますが、はっきりとはわかっていません
杏はもちろんそれを知っていたので、桜に自分の年を隠しています。

ちなみに、杏は時々ふらりと実家に帰ってきていましたが、その際に取る外出許可は割と面倒くさい手続きを踏まないといけません
なので、本当に重要な用事があるときのみ帰ってきていました
そして当たり前ながら、杏は一本丸を支える主なので、遠出をするときは
御供の刀を最低一振りは連れてこないといけません
家族からの誤解や混乱を招くために、皆の前には出していませんが、
実はちゃんと刀剣男士たちが現代の外出に付き添っていたのでした

【杏と旦那様】

杏が結婚相手として連れてきた男性は、杏と同じように審神者の方です。
杏ほど霊力は高くなかったので、婿入りという形で結婚しました

彼は煙草を嗜んでいました
とても優しくて愛情深く、杏のことも心から愛してくれていましたが、
杏は唯一、たばこを吸っているのだというところで、結婚に踏み込むかを悩んでいました

お察しの通り、杏は初期刀であり常任近侍の山姥切国広と想いあっていました
ですが人と刀との恋は、やはり良いものを産まないと、二人でしっかり話し合って、この恋心をお互いに大切にしまっておくことにしたのです
彼を結婚することに、最終的に背中を押したのは山姥切国広でした

もうお気づきでしょう
旦那様の体からはタバコのにおいがし、山姥切国広の体からは、金木犀の香りがするのです。
このことに、桜は出会ったときにすでに分かっていたのですね

旦那様は前述のとおり、審神者として本丸を一つ持てるくらいの霊力はありましたが、
強いと言われるほどの霊力は有りませんでした
なので、顕現させることができた刀剣男士も20振りあまりで、杏より短い任期で審神者を引退することになりました
実年齢でだいたい55歳の時でのことです
審神者を引退された旦那様は、現代に戻ることになります
審神者としての霊力や適性が余りない者や少なくなった者は、
本丸という異空間での長時間の生活ができなくなるからです(刀剣男士たちなどの強い霊力に充てられて弱ってしまうため)
現代に戻ってからは時の政府の役員に入職し、自身の経験などを審神者見習いの若い世代に語り継ぐ仕事をしています
そこそこいいお給料をもらっていたので、生活に困ることはありませんでした

ちなみに旦那様の本丸で顕現した刀剣男士たちは、そのまま杏の本丸に移籍しています

審神者を退職してからも、旦那様はこまめに杏と連絡を取っていました
時の政府所属なので、実は簡単に連絡が取れたのです

旦那様の死因は、公には急性の心臓発作とされていますが、正確には、審神者として長年精神や霊力を賭したことによる【気】の衰弱です
【気】とは、審神者の世界では霊力や適性能力のことを指し、現実の世界では生命力を指します
この場合は、後者の生命力のことを指し、審神者として杏よりも人気は少ないものの精神や霊力をとして戦ったことによりもとより減っていた【気】が、
現代に帰ってきて【生命力】として変換された結果、現代の年数で言う15年ほどしか生きる力が残っていなかった、ということになります
元より審神者は、全体的に短命なので、55歳ごろに現代に帰ってきてから15年生きただけでも長生きしているほうです
【気】の消耗は意識の仕方で節約することができたので、旦那様はうまく節約して15年生きたのでしょう
そして、その【気】がもう残り少なくなり、もうすぐ死ぬのだと察したタイミングで遺書を書き残して、枕もとにそれを置き寝起きしていたのでした

ちなみにこのことは、杏にも逐一報告していました
なので、旦那様の死期が近いことを、杏も悟っていたのでした

【杏の死因】

杏は、本丸の襲撃に逢いその命を落としました
金髪の青年が言ったように「殉職」したのです
最後まで審神者としての命を果たして散っていきました

杏の骨壺を持ってきたのはご想像の通り、杏の本丸の初期刀であり常任近侍の山姥切国広(極)です
彼は本丸一の強さを誇っていましたが、杏を守り切れなかった悔しさとふがいなさを胸の内に秘めていました

翌日に山姥切国広とともに現れた三人の青年たちももちろん杏の本丸の刀剣たち
黒髪の赤い爪の青年は加州清光
真っ白な猫っ毛の少年は五虎退、杏の本丸の初期鍛刀です
太陽よりも明るい髪を持った青年はソハヤノツルキ
皆本丸の初期の頃から杏を支えてきた刀たちです

杏の死によって、この本丸は解体されることになりました
その前に、杏からの命を受けていたこの四振りが、藍たちに骨壺を届けに来たのでした
杏は強い霊力とともに采配の才もありました
そのおかげもあり、本丸襲撃における刀剣破壊個体はなし、
重傷者こそいれど、一振りもかけることはありませんでした
杏は自分の身に何かあったときのために遺言書を残していました
そしてそれは、常に山姥切国広が持ち歩いていました

杏の遺言…最後の命は3つありました
1、自分の骨壺を、現世に住む家族のもとに届けること
2、藍に遺品の入った木箱を届けて、藍に開けさせること
3、藍に、現世に遺したもう一つの遺品を探させること

3つめに関しては、自分の孫にも審神者としての適性を感じ取っていた藍にならきっと見つけられるだろうと、
あえて杏は目隠しの術をかけた木箱を藍に探させるように刀剣たちに命じていました
そしてもしこれで本当に藍が見つけ出すことができたら…
刀剣たちは、一縷の望みをかけて藍の動向を見守っていました

なぜなら、藍が杏の隠した遺品を見つけ出すことができたら、
杏の本丸の解体は阻止されるからでした

杏は最期の遺品として、自分の本丸と刀剣たちを藍にあげるという決断をしていたのです
審神者の適性のあるものに自分の本丸を明け渡すことによって、自分のかわいがってきた刀剣たちを失うこともなく、
また強い本丸を無くして戦力的に不安定になるということもなくなるので
杏は迷わずこの選択をしました
ですが、杏がこの選択をしたころには、まだ藍の霊力は目覚めていなかったので、本丸解体の説の方が濃厚でした
ですが藍は、無事に祖母の遺品を見つけ出すことができた

この日から数日後に、時の政府の役員がこの家をまた訪れることになるのは、また別のお話しです

【大おば】

名も知らず正体もわからない青年たちをすぐに家にあげ、まっすぐに杏の部屋へと入っていった大おばの桜
なぜ桜は、彼らを平然と家にあげたのでしょうか

実は桜は、杏の旦那様の葬式後、不思議な体験をしていました
仕事の帰りに夜道を歩いていたところ、急に白い人型の物体が現れ、桜は大変驚きました
そして、幽霊が出たと恐れる桜に向かって、その白い影は言ったのです
「驚いたかい?」と

桜を脅かしたその白い影は、政府所属で且つ杏の本丸を管轄している鶴丸国永でした
彼は、怯える桜に向かって言いました

「そう遠くない未来で、きっと君は色とりどりの青年たちに出会うだろう」
「人の命は短い。戦いが激化しているこの時だ。いつその時が訪れるかわからない」
「もしその時が来たなら。君の目の前に、青年たちが訪ねてくるようなことがあったら」
「恐れて追い出したりせずに、家にあげて話を聞いてやってはくれないだろうか」
「君が大好きな姉上の話を、きっと聞かせてくれるさ」

その白い影は一方的にそういった後、闇に溶けるように消えてきました
審神者の適性はないが霊感があった桜からすると、完全に幽霊に姿を見て声を聴いたという状況なのだが、
桜はなぜかその言葉の通りにしないといけないと思いました
大好きな姉上のために、そうしないといけないと思いました

そうしてその10年後、刀剣たちが家を訪れることになるのです
驚きはしたけど、最初は怖かったけど、やさしそうな、白い人
その人の言葉を、桜はこの時に、久しぶりに思い出すことになるのでした

【終わりに】

かなりつたない文章ではありましたが、私が思い描いたとある本丸のお話を綴らせてもらいました
きっとあるのです、この世界のどこかに、こんな本丸が。

読了いただき、ありがとうございました!

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