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羊をめぐる冒険

新しい家には猫のほかに母羊が3頭、その羊達が春に産んだ5頭のうち2頭の子羊がいます。

前の家主は、まあ、エピソードをあげはじめるとキリがないんですけど、早い話が「すごくケチな男」で、家を売ると決めた2年前から、家だけでなく、羊のメンテナンスなどもほぼ放ったらかしだったようで、かわいそうに羊達はひどい姿…。

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特に茶色い毛の彼女らは、毛皮がドレッドヘアのようになっており、木の枝などが毛に絡まってすごいことになっていました。

本来4-5月くらいに毛刈りをするのですが、真夏ということもあり、お隣さん(羊を12頭、さらに豚や鶏なども飼っている)に紹介してもらった「羊毛刈りのニックさん」に今日来てもらいました。

ニックさんはニュージーランド出身。彼の留守電には「羊毛刈りのニックです。メッセージをどうぞ」とあるように、毛刈りで生計を立てているプロです。

やってきたニックさんは、まずサンダルから不思議な羊毛刈り用の革靴に履き替え、研ぎ石にぺっと唾を吹きかけてから枝切りハサミのような蹄ハサミを研ぎ、バリカンとバッテリーを腰に巻きつけていざ出陣。クロコダイルダンディーを思わせるワイルドさです。

一頭にかける所要時間はおよそ5分。あっという間に、汚いドレッド羊が、つるつるのさっぱり羊に変身です。

毛を刈り終えた後、さっぱりした親羊を子羊達は識別できず、「誰?!お母さんはどこ行ったの?!」と混乱。しかも刈り終えた毛の山をお母さんだと思って、今まで聞いたことのないほど大きな声で鳴いており、ニックさんも「明日にはすっかり忘れてるかもだけど、あの毛をお母さんだと思って鳴き続けるかもね」と言うので、毛をトレーラーに載せて(20kgくらいはあった)、すぐにリサイクルセンター(ゴミ分別場)まで捨てにいきました。

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手前は子羊、奥の黒いのがお母さん。毛刈りされて、子羊とほぼ変わらない大きさに。

この家を買う時に、羊三頭くらいならYoutubeで調べて毛刈りも自分達でできるかもなんて思いましたが、いやいや無理。プロはさすがです。羊達にとってもプロの手際の良さはストレスが少なくて済むし、健康状態などもみてくれるので、下手に素人がするよりずっとマシです。ニックさんにはまた来年の春来てもらう約束をしたので、安心です。

さて、毛刈り自体はプロにお任せするとして、それ以前の準備として今回学んだことは、羊の手懐け方でした。まず羊たちは、

・ゆっくり、静かな動作で接すること

・麦など好物は毛刈りを行う小屋であげることで、安心してそこに入れる

・小屋の前を前庭として、囲いを作っておく

などなどです。というのも、ものすごく臆病で注意深い羊を小屋に閉じ込めるのに我々一時間半かかり、最終的にはお隣さんご夫婦も加わって、壮大な羊捕獲作業となったからでした…。

来年はもう少しうまく羊を扱えるようになっているといいんですけどね。



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