ホームレス生活 5日目

カラオケ店から出て、何もすることがない。
本日も施設の人はお休み(祝日)だから、連絡はないはず。
明朝5時。
そういえばおじちゃんは「〇〇(建物名)の前におるけん」と言っていた。行かないようにしないと。しかもまだ私が同行してくれると思ってる。

5時とはいえ、ホームレスの睡眠時間は少ない。
経験したからわかる謎の知識。
その建物の前に本当に居るとしても居ないとしても、用心に越したことはない。
おじちゃんが居なさそうなところで過ごすしかない。
とりあえずゲームがしたかった。
ずっとおじちゃんが居たし、移動ばかりだったからゲームをしていない。原神をしたい。
どこが良いか散策していると、おじちゃんの影が見えた。
急いでUターンして、適当なところで道を曲がって歩いた。
途中でサスペンス映画かなこれ、なんて思ったりした。
Wi-Fiが飛んでいて、おじちゃんがいなくて、警備員がいるところにとりあえず居座った。

私が家出した人だって思ったのか、知らない団体の方からおにぎりをもらった。
なんでも、依存症や過食症、拒食症の人のための支援団体のようだ。私は該当ではないのだが、ここにいる経緯を聞いてくれた。意外にも世界は優しい。こういう支援団体は続けてもらいたいものだ。
カラオケ店で食べ物を食べていてお腹は空いていなかったが、おにぎりはいただいた。塩っぱかったけど。

ゲームをしていると。
なんとおじちゃんがきた。怖い怖い。数十分くらいしか経ってないよね?なんなの?ストーカーですか?サスペンス映画かな?ホームレスに追われるホームレスって良い映画になるんじゃね。なんて皮肉を頭の中で呟いた。
心なしか目ん玉ひん剥いてるように見える。カッ!
「昨日、あんたが歩くの早くて諦めた」
やっぱり休憩は休憩ではなかったようだ。すまん、逃げるために早歩きしたわ。
「昨日まではね、お金がキツかったけど、給料入ったから余裕。そのカラオケ店がどこか知りたくて着いて行ったのに」
途中までって言ってましたよねー?しかもカラオケは歩けば4店舗くらいありますー。どこまでも着いてきたいようだ。ここまでくるとイライラしてくる。(私自信、自分のペースを乱されると不機嫌になる)
カラオケ店はどこにでもあることを伝えると、ゲームに集中。
なかなか寝付けていなかったからか、眠気が強かった。
その後も、頼んでもないのにマクドナルドでコーヒーを買ってくる。飲みませんでした。
そして、お昼はどうする?という話になり、支援団体が無料で提供してくれる食事があるからそこに行こうと言ってきた。
断った。
おじちゃんがいなければ行きたいところだが、おじちゃんと少しでも離れたいのだ。
「え、どこで食べるの?」
「行きつけのカフェがあるんです。そこで」
「何円するの?」
「1000円から2000円くらい?」
「じゃあ、奢っちゃる」
おじちゃんは諦めない。給料を下ろしに行った。まあ、それが無料になるなら良いのか?もう流石に私もお金はない。

そして、別に計画はしてなかったけど、トイレに行く。と言って荷物を全部持って(この時、荷物は見ておくって言うが、女性が荷物を置いてトイレに行かねえわってツッコミたいのを抑えて「このままお昼行きます」と言った)そそくさとその場を後にして、とりあえずマジでトイレに行き、行きつけのカフェに行きたかったけど諦めて、おじちゃんから逃げるためのホテルを予約。その一泊さえあれば、あとは施設へ向かうことになるだろう。それでもう安全だ。

ホテルの近くのカフェで時間を潰し、あとはホテルで過ごす。
久しぶりのお風呂で少しは綺麗になった。
ベッドもふかふか。
当たり前が当たり前じゃないのを味わった。
久しぶりにニュースも見た。

施設への問い合わせを更新しておくことにする。というのも、今どこにいるかの情報も書かないといけないのだが、ホテルにいるという状況も更新。
どっと疲れていたみたいで、更新記入中、ずっと寝落ちを繰り返していた。寝落ちしては端末を落とし、誤って入れた文字を消して……。
寝落ちを人生初経験。すっごい頑張って問い合わせをした。

すぐに寝ることにした。


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