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【産婦人科のリハビリ日記】#24. 骨盤ベルトで骨盤ケアはできる?

骨盤ベルトはしていた方がいいのか?
していなくてもいいのか?
というのはよく妊婦さんやママさんからの
ご質問でもあるんですが、

割と他職種の方からも
よくご質問を受ける内容でもあったりします。


骨盤ベルトってなんだか
産後の万能な道具的に使われていたりしないだろうか?

痛みを取ってくれて
骨盤を戻してくれて
子宮の位置をどうにかしてくれて
みたいに思っている方が結構多い印象ですが

私の中での骨盤ベルトは

●積み上げて倒れそうになったブロックを
「ちょっと外から持っておきますね」くらいのもの
●のり付けしてないジグソーパズルを
「ちょっとテープで仮止めしますね」くらいのもの

というイメージです。


骨盤に対する剪断力(擦れるような力)が原因で
痛みにつながっているような方
にとっては
骨盤ベルトすることで
一時的に痛みを回避することができるようにはなりますが

本当にそのくらい...かな...と


■骨盤が開きっぱなしという"イメージ"

「お産によって骨盤が広がる」みたいなワードって
結構衝撃的だからなのか
なんかみんなものすごいものを
イメージしているんじゃないかと...


お産の時には確かに骨盤腔を赤ちゃんが通るので
一時的に引き離されるようなストレスは
あるかもしれないんですが、

分娩後も本当に
文字通り「骨盤開いたまま」だったとしたら
運動学的に考えて
「歩く」という動作自体がまず難しいですよね。


痛みなく歩けている以上は
骨盤の機能は果たせているわけなので
そんなに心配いらないですよ
という風によくお伝えしています。


■骨盤のグラグラ感(不安定感)

これは私も経験があるんですが
痛いわけじゃないけど骨盤が不安定で
歩く時になんかグニャグニャしてしまうんですよね。

こういう場合って
確かに骨盤ベルトをしていると
安定感が増して動きやすくなると思います。

※臨床的にはASLRとかストークテストとか
そんな評価で確認をしています。


が、気をつけないといけないのは
これで解決としてしまわないことだと思うんですよね。

「ベルトしたら楽だ〜動ける〜♫」
ってなると、
ベルトさえしておけばOKって勘違いしてしまうんですが
最初にも少し書いたようにベルトって本当に一時凌ぎ。


骨盤を安定させているのは
靭帯だけじゃなくて、
その周辺の筋肉
大きな役割を持っているので

ベルトに頼り切ったがために
本来動かす必要のある部分を
動かさないまま時を過ごしてしまうと
何ヶ月経ってもベルトが手放せなくなっちゃう
んですよね。


■廃用にならないような働きかけ

骨盤を安定させるためにはベルトだけじゃなくて
こういうエクササイズも合わせてしておいた方がいいよ
というのは出会った方には
かなりしっかり目に説明をしています。

●ホルモンの影響を受けて一時的に靭帯が弛緩している中で
靭帯という組織は随意的にどうにかできるものではないので
その補助としてベルトをしていることは問題ないこと。

●ただし骨盤ベルトが補助として役割を担えるのは
「靭帯の緩み」に関してのみ
でしかなくて
ベルトしてるからって筋肉が働くようにはならないし
ベルトしてるからって筋膜が整うわけじゃないこと。

「ベルトで骨盤ケア」っていう感じで
世の中に商品がたくさん出ているから
なんとなくそれでOKみたいに勘違いもされやすいですが

こういう部分を説明するのって
他でもない私たちの仕事だよなぁと思うので
一人一人の妊産婦さんに丁寧にお伝えしていきたいなと思います。

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