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自分のための夢、人のための夢。

朝、散歩していると20代の頃、色んな国を歩いていたときを思い出す。サハラ砂漠でオレンジ色の夕陽が沈むのを、ガンジス河の夜明けに小舟の上から小さなキャンドルとマリーゴールドの花が揺れて流れていくのを。インドネシアの朝市で、バイクの後ろに乗ってコーヒーを買いに行く。チェンライの夜の祭りで皆で笑ってビールを飲んだ。バルト海を見にサンドイッチを持って電車に乗った。ただただ色んな街や村を歩いた。

人々がどんな生活をしてどんな思いを持って、どんな景色を見ているのか知りたかった。ただただ美しかった。自分の生きている場所だけがこの世界ではないということは、10代の頃に引きこもって上手く生きられなかった自分の大きな力になった。歩く人になりたい。歩いて写真を撮ってそれを書いていけたら幸せだな、なんて隣りを歩いていたネパール人の青年に語ってたな。夢を語れるのは幸せだと思う。

最近、長男が、将来はママに美味しい料理を食べさせてあげたいから、レストラン経営かシェフになりたいと言っていた。
ちょっと前までは適当に稼いで、自分の好きな漫画読んだりアニメ見たりダラダラ出来れば幸せ、なんて現実的過ぎる将来設計を語っていたのに。“ママ”というものが彼の支えなようだ。

小学校に上がった三男のママ離れは進み、眠る前といってきますの時「ぎゅーは?」とわたしに駆け寄ってきてくれるのは長男だけになった。誰かのために夢をえがくのが彼らしいなと思った。

子どもたちが大人になって自活できるようになるまで、彼らを支えてあげたいなと思う。そのために福祉の仕事をして、もう少し歳を取っても仕事を続けられるように今のうちにしっかり資格を取って、片親でも三人育て上げられるように頑張ってはいる。ただそれは、わたしにとって夢ではない。

たくさん行きたいところがあった。
見たい景色があった。今はそういうものがない。縁側に座って庭を見ているだけで満足だったりもする。ひとりの時間を楽しもうと思う。
ナマクワランドの花畑が見たかった。でも今は綿毛になったタンポポが群生してるのを見るだけでけっこう心が癒される。
休もう。仕事を辞めるか辞めないか考えながら、少しウトウトしよう。




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八丈島にて




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