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整えられすぎた空間は果たして / MIHO MUSEUM


違和感を覚えるほど整えられた空間であった。

滋賀県甲賀市

MIHO MUSEUM


山の中の、桃源郷とも言われる美しい美術館。

美術館が好きな知人から聞いていて、行ってみたいなと思っていた。


信楽の町を抜け、山道をクネクネと登る。

駐車場に車を停めるとまずインフォメーション。

その脇から長く伸びた緩やかな坂を登ると、突如として異次元に向かうようなトンネルがある。


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枝垂れ桜。

花咲く季節にはたくさんの人が訪れるようだけれど、平日の昼間は人も少なくどこらじゅうで写真を撮って遊べた。

どこを切り取っても美しく整っている。


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美術館というよりまず、このトンネルの高揚感を楽しみに皆くるのだろうな、と、思った。


タンタンタンと柔らかく響く靴の音。

すれ違う人の話し声も、ふわりと漂って煩くない。

どうやらこのトンネル自体の仕様が音の反響を和らげているそうだ。

吸い込まれそうな不思議な静けさがある。


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トンネルを抜けると橋。

山と山をつなぐ、ダイナミックな造形。

どこに来ちゃったんだろう?と不思議な気持ちになる。


最高のお天気。

風が心地よい。

鳥のさえずる声が渓谷に響く。


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橋を渡り終えると、シンメトリーな和の建築物と庭が広がる。

着いてからずっと、美しい景色ばかり。


ここでなんとなく、微妙な違和感。

なんだか整いすぎているのだ、何もかも。


ここは山の中にある美術館。

山は、自然に溢れているはずなのに、目に付く範囲はどう考えても人の手が入っているような、計算し尽くされた美しさがある。

もちろん、庭やトンネルの脇の木々たちはきっちりと剪定が行き届いているし、雑草も目につかないほどに地面まで手入れがされている。


空間にノイズがない。

人間の、はしゃぎ声や写真を撮る仕草など、ランダムな動きが一番のノイズになるけれど、それすら吸収してしまうような均整がある。


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わたしは、風や光の心地よさを感じながらも、微妙な居心地の悪さも感じていた。

ずっとここにいて鳥の鳴き声を聞いていたいような、

でもずっといたらここに取り残されてしまうような怖さもあって。


だけどそれは、そもそもここの創立者が想像していた通りの、「美」の形なのだ。

「自然との調和」を非常に意識的にデザインした、と、設計者I.M.ペイ氏は言っている。

それはそれは素晴らしい建築なのだけど、逆に本当の自然を意識できなくなってしまったわたしがいた。

自然は本来、整っていないからだ。



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なんて、ごちゃごちゃ言ってるけど。

やっぱりその美しさにはとても感動したし、こんなものが世の中にあるのだなあと、異次元な気分を味わえてとても楽しんだ。

(めちゃくちゃたくさん写真撮った。←だいぶ楽しんどる


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日常からのひとときの離脱。

感じたい方はぜひ。



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MIHO MUSEUM

後から知ったけど、神慈秀明会という宗教団体の作ったシンボリックな場所なんだね。

(この時は、個人所有で3000点の美術品と、さらに山持っててトンネル掘ってルーブルのピラミッドの設計者に頼むとかぶっとんでない?と思ったりしながら見てた)


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