20190218 軍手

早梅の腕に軍手の片方を

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※俳句、ちょっと手直ししました。

(軍手の話じゃ、ないんだけどね。)

わたしの手袋は、ベージュの毛糸で編まれていて、中はブラックのフリースで覆われている。とても暖かくてお気に入りなのだけれど、ちょっと見た目がごつい。

外でこどもたちと遊んでいると、元気な女の子たちが寄ってきて、わたしの手袋を指して「軍手!」と言う。「ちがうちがう、手袋だし」と否定するのだけど、軍手軍手、とより言うようになる。

おとなしめの女の子までもがそっと寄ってきて、わたしの手袋をみつめる。なにを言うかな、とちょっと待っていたら、笑顔で「軍手さん、」と言った。そしたら、それを聞いていたまわりの子たちも一緒になって「軍手さんー!」って笑い出した。

言い出しっぺの彼女もくすくす笑っている。「いやいや、手袋だよ?…まあ、いいけど」彼女はわたしの顔をみて、元気に輪のなかへ走っていった。

「軍手さん、」って男子の声が聞こえて、振り向いたら教室でなかなか手強いきかんぼうの彼じゃないか。きみまでもか。いちおう否定しておく。「手袋だよ!」


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