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経営にインパクトを与える!意味がわかると面白い、未経験でもわかる広報戦略

書く」+αのスキルが身につくMarbleの広報講座。ついに今回が最終回だ。(あっという間!)最後は、広報を実際に行う(アクション)前の段階を考える、広報戦略パート。

正直に言う。頭から湯けむりが出るほど難しい。つまり、それだけ学びが多いということだ。でも、同時に広報って面白いなとも思った。

講師は、今回も引き続きフリーランス広報としてご活躍されているあいさん。1時間半で、広報戦略の流れ・重要ポイントをギュッと詰めて説明してくれた。毎回、本当にわかりやすく、感謝です。

  • ✅広報戦略ってどういうことを考えているのだろうか?

  • ✅プレスリリースは書いたことあるけど、その背景にはどんな意味があるのだろうか?

当てはまる方は、ぜひ一読してほしい。それでは、スタート!

目的

✅広報戦略の立て方を学ぶ
✅広報戦略を立てられるようになる

広報戦略とは

広報戦略とはなんだろうか?

例えば、いきなり「今日から広報します!」と宣言したとする。
そして「広報って、とりあえずプレスリリースかな?」と安易に考えて、「定期的に配信するのが大事だから!」と毎月1本出してはみても、これは全く意味がない。

たとえ月に1本プレスリリースを配信していたとしても、転載がない、取材にもつながらない、認知にも上がらない…となってしまっては、なんのために広報をするのかわからない

来た球をとにかく打ち返すように、場当たり的におこなうのではなく、積み上げる広報活動を意識することが大切だ。

そのため、広報を行うには、まず目的からアクションプランを立てることが大事。リリースを目指すのではなく、「どういう状態が目指すべき理想なのか?」を描いて、そこから全体の戦略方針を定めて、アクションプラン(具体的な行動。例えばプレスリリース配信)を考える。

広報担当者は、「経営者」との連携が最重要!

目指すべき理想の状態はどう決めるのか?

それは、経営者から聞くことが1番だ。経営者は「自社の経営戦略、カルチャー、ミッション」などは頭にあっても、言語化(会社に浸透)できていない、ミッションが変化した、なんてことも往々にしてある。

そのため、広報担当者は常にアップデートをして、「広報活動の目的」「状態ゴールを設定」を最新状態に保つこと。
わからなくなったら、経営者に聞ける関係構築がとても重要なのだ。

とはいえ、経営陣の意見のみではいけない。社内外のニーズも上手に汲み取って広報活動に反映する必要がある。第1回広報講座で出てきた「広聴力」が求められるのだ。

広報に取り組むことで、会社全体が得られるメリットとは

経営者の目指したい方向と、社内外からの意見を反映できた広報をするとっどんなメリットがあるか気になるところ。実は広報に取り組むことによってさまざまなメリットが得られるのだ。ココでは主に3つに分けてメリットが挙がられる。

利益の創出・事業基盤の構築
✅競合他社との差別化
✅交渉力UP
✅リピート率向上

人材育成・採用力強化
✅応募数UP
✅従業員満足度UP
✅定着率向上

企業価値向上
✅ブランド力向上
✅株価向上

戦略によって、さまざまなメリットが得られる

広報/PR戦略策定のステップ

広報/PR戦略策定をするステップは下記の通り。一つずつ順番に説明していく。

  1. 経営者へのヒアリング

  2. 現状の課題と理想の状態を整理

  3. 広報体制のチェック

  4. KGI&KPIの設定

  5. アクションプランの設定

STEP1.経営者へのヒアリング

経営者へのヒアリング項目は、前回もお伝えした内容のとおりである。
(例 現在の経営状況・方針、ビジョン・ミッション(変化してるならその理由)、経営・事業の課題、広報の課題など)

大事点として、経営者だけではなく他部門にも「経営課題」をきいてみること◎。経営者が見えていない(乖離している)課題が上がってくる場合もある。

ちなみに部門へのヒアリングはミーティング時間をとれない場合もあるので、取材後などの雑談時間でシュルっと困りごと、現在の状況を聞く技も必要となる。さり気なく話す力が、超重要やな…。

ヒアリング ”前に” やってみよう!

ここで、あいさんからケーススタディ作業が。
内容:TABIPPO(あいさんが務めていた会社)の経営課題、広報課題を考えてみよう!

ヒアリングする前から、自分で会社のことを調べて経営課題・広報課題の仮説をたてる(当たりをつける)ことが超重要。経営者は忙しいので、できる限りスムーズに真髄を聞けるようなヒアリングを心がけたい。

仮説を立てて6割完成、経営者からのヒアリングで間違っていた箇所を訂正して10割に近づけるというイメージだ。

ちなみに、チェックすべき項目は下記の通り(一部)。私も含め、広報初心者の方は要チェックしてヒアリングへ臨んでください。

チェックする項目
✅コーポレートサイト
✅オウンドメディア・自社ブログ
✅プレスリリース
✅公式SNS / 代表SNS / 社員SNS
✅指名検索(Google / SNS)
✅掲載メディア

課題を探すポイントはさまざまあるが、自分が利用者になる、クライアントになる、採用を受ける側(応募者)になる場合はどうだろう?と考えることも大切。

STEP2.現状の課題と理想の状態を整理

ステークホルダーの整理

まずは、ステークホルダーを整理するところからスタート。

「現在の状況」と「これからの方向性」を確認&整理する。
例えば、現在はユーザーを重きに焦点が当たっている。しかし、これからはクライアント、従業員、ちょっとメディアにも注力しよう!など。

SWOT分析

ステークホルダーの整理が終わったら、自社の強みや弱みなどを分析をする。ここでは、現状分析によく使われるフレームワークでSWOT分析にトライ!
SWOT分析は調べるとたくさんできますが、今回はこちらの記事を参考に記載。

【1】4つ要素、それぞれを考える

内部環境:Strength(強み)、Weakness(弱み)
外部環境:Opportunity(機会)、Threat(脅威)

内部環境
→自社にある、経営に対して影響を与える各種要素のこと。
(例 消費者の認知やブランド、品質や価格、立地など)
そこから、強みと弱みを考える。

外部環境
→自社外にある、自社に対して影響を与える各種要素のこと。
(例 業界全体の市場規模と成長性、国内経済の状況、流行や話題性など)
そこから、機会と脅威を考える。

【2】4つの要素をクロスして考える

要素が完成したら、それぞれの要素をかけ合わせて方向性を考える。
内部と外部のそれぞれの要素を掛け合わせることで、4つの戦略が導き出せる。

https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/marketing/swot/

例)
「強み(S)×機会(O)」の場合、自社の強みを活かし、機会をとらえる方法を考案する。
戦略の例:「品質の高さ(S)」×「需要の多さ(O)」=品質の高さをウリに積極的なPRを行う。

広報の仕事=理想と現状のギャップを埋める!

最初に、経営者を中心に理想を聞き出し、次に会社の現状を分析把握した。そうなると、理想と現実には必ずギャップが生まれているはず。それを埋めることが広報の仕事になるのだ。

STEP3.広報体制のチェック

広報で動く時に、担当する会社のスタンスをチェックすることが重要だ。なぜなら、会社のスタンスによって広報としてどのように動いていくかが変わってくる。

守りの広報(大企業、エンタープライズはこちらに重きをおくことが多い)
 Lガバナンス(内部の結束を高める)、リスクマネジメント

攻めの広報(中小企業、ベンチャー)
 L企業理念・CIの徹底、商品を売る・企業のイメージアップ

どれもバランスよくすることが大事ではある前提で、守りと攻めのどちらの広報が求められているか?を考えることが重要だ。
(フリーランス広報は、主に攻めを求められることが多い)

また、広報体制のチェックリストを自分なりに作ることもあり。チェックリストから見えてくることも多いのだ。

<チェックリスト例>
●カテゴリでわける
「戦略」「体制」「メディア」「SNS」「社内広報」など。
●カテゴリの中でToDoを作成
「戦略」→経営目標と連動した広報目標が設定されているか?
「SNS」→代表アカウントを運用しているか?
「社内広報」→メンバーが広報の意義・役割を認識している

STEP4.KGI・KPIの設定

広報はやることの範囲が広すぎるけど、評価はどうやって行うのか?

広報の評価軸は、主に「コーポレート・レピュテーション(企業の社会的評価)」であることが多い。企業の発信内容とステークホルダーの評価がどうマッチしているか?をみることが大事だ。

しかし、コーポレート・レピュテーションは定性的な面もある。では、定量面ではどう考えるか。そこで、KGIとKPIとが登場する。

KGI:企業のビジネスの最終目標(ゴール)を定量的に定めたもので、一般的には売上高や成約数、利益率などが該当する。

KPI:KGIを達成するために、適切なプロセスが実行されているかどうかを定量的に評価する指標。中間目標とも呼ばれる。

https://hcm-jinjer.com/blog/jinji/kgi_kpi_difference/#1_KGIKPI

最終ゴールであるKGIを達成するために、いくつかKPIを作る。そして、KPIを達成するために必要なアクションを具体的に考える。

定性的な評価もありつつ、定量の評価も設定することが大切だ。

KPIの指標をもつ

KPIの中でも、さらにいくつか評価の基準がある。広報としてとても大切な指標なので、ぜひインプットを。

プロセス評価(やったこと)
・メディアとの折衝数、プレスリリース配信数
・ブログ投稿数、イベント実施数、SNS投稿数
・インフルエンサー巻き込み、社内巻き込み

アウトプット評価(プロセス評価をやって、どうだったか?)
・露出数、露出評価、広告換算
・SNSの反応数、イベント参加者数・満足度
・インフルエンサー連携数、アライアンス数

アウトカム評価
→周囲からの評価。メディアからみて企業の評価はどうだったか?採用者からみて企業の評価はどうだったか?など。
例)メディアから取材の申し込みをされたけど、その理由はなんだったのか?

KPIとアクションプランの設定

では、KPIとアクションプランの設定はどうおこなうのか?
目標設定のポイントは5つだ。

  1. 目標を定める

  2. 必要な要素を書き出してみる

  3. 優先順位をつける

  4. 行動目標に落とし込む

  5. 目標は数字に落とし込む

例えば、「メインゴール:商品・サービスに対する信頼獲得」だったとすると、下記のようなイメージ。

KPI①
L Webメディア 取材5件
 L 達成のためのアクション
  ・メディアリスト作成
  ・プレスリリース配信
KPI②
L 地方新聞1社(サービス紹介)
 L 達成のためのアクション
  担当部門の記者とのコネクションづくり

KPIは複数つくる

ただ、最終目標(KGI)に対して立てた中間目標(KPI)が、かなり高い目標だったり、結果的にKGIを達成できないようなKPIである可能性もある。

一発でたどり着かないことも多いので、KPIを調整すること、新しく考えることは大いにある。自分で仮説をたてることも大事だが、チームで仮説をたてることも大切なので他の部署にヒアリングすることも◎。

もうちょっと頑張れる人は、OKRで目標を設定も知っておこう

OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称で、目標の設定・管理方法の一つ。最大の特徴は、組織(会社)の目標と個人の目標がリンクすること。

会社の目標(Objectives)に対して、3〜4つの結果指標(Key Results)がひもづき、その下にチームのOKR、さらにその下に個人のOKRが紐づく…という階層構造。

https://qast.jp/media/what-is-okr/

STEP5.アクションプランの設定

アクションプランを設定するときは、年間戦略&スケジュールを組み立てることが良い。

しかし、年間の立て方がわからない人も多いだろう。そんなときは、下記の1〜3の順番でカレンダーを埋めることをオススメする。

  1. 自社イベントを書き込む

  2. その年の関心テーマを加える(キーワードなど)

  3. 昨年度の改善策を加える(昨年度の失敗など聞いて対策など)

ちなみに、PR TIMES MAGAZINEにて、年間計画の立て方やテンプレートもあるので、この辺りを参考に書いてみると良いかも。

広報会議、SNSなどを使って、情報収集することも◎

一人で考える必要なし!社内でワークを実施しよう

広報担当だからといって、一人ですべて考える必要はない。社内コミュニケーションが取りやすいなら、人に聞くことも手だ。

例えば、あいさんが実際におこなったワークは下記の通り。

ワーク1:◯◯年A社の事業と関連のある注目キーワードを考えよう!
ワーク2:A社がどんな風にメディア掲載されたら嬉しいか、掲載イメージを書いてください。

社員がワクワクする、熱が上がるような広報を考えることも広報の仕事の一つ。メンバーが考える理想の広報を受け取って、社内全体で盛り上げていくが吉である。

広報戦略を知ると、一つひとつの記事をより丁寧に書ける

未経験の人にとって、広報戦略を考えることはかなりハードルが高いと思うかもしれない。私もそう思った。「めちゃくちゃやること多い!奥が深い!」と。

しかし、今までライターとして書いていた記事、プレスリリースの一つひとつに意味が詰まっていると思うと、すごく背筋が伸びた。
もちろん適当に書いている訳では無いが、狙いを知るとグッと熱が入る。

自分の書いている記事が、経営にインパクトを与える1つになり得るのだ。ちょっとワクワクする。

勉強すべきことはとても多いけど、一つひとつフリーランス広報としての実務を積んでいこう。

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