節目の誕生日が来るのが怖かった。
35歳。
私は節目だと思っている。
アラフォーへの第一歩、私は35歳という年齢に憧れていた。
歳を取るのが嫌なんじゃない。
子どもの頃から死に対して強烈な恐怖心はあるものの、誕生日が来て年齢が上がることは怖くなかった。
誕生日が怖くなったのは30歳になる年からだった。
20代後半から、
「30代からは私はもっと自由に生きたい」
と思っていた。
30歳の誕生日には、ちょっといつもと違う特別なことをしたいと思っていた。
しかし、30歳まであと4ヶ月に迫った時期、精神的にひどく崩してしまった。
もともと子どもの頃からある精神的症状が過去一ひどくなった。
3ヶ月は家からまともに出られなかった。
精神科の薬は飲みたくなくて、自力で外出できるようにしようとしたが、家から数分の場所でさえ歩くことができなかった。
あることがきっかけで抗不安薬を飲むことになって、それからちょっとずつ持ち直していった。
それが30歳になる月だった。
30歳の誕生日当日。
私はギリギリ自力で歩いて行ける距離にあるケーキ屋さんにケーキを買いに行くことを目標にした。
結果、買いに行くことができた。
しかし、自分が思い描いていた特別で華々しい30歳の誕生日とはまったく違うものになった。
あの頃の私は周りが輝いてみえてとても惨めな思いをしていた。
なんで私はこんなふうになったんだろう。
早く元に戻さなきゃ。
そんなことばかり考えていた。
現在は通院と服薬をしながら仕事をしている。
幸い障害者就労で働けているので、体調面や精神面、仕事上の配慮を伝えやすい環境である。
前のようにバリバリ働くことは難しいかもしれない。
長距離での遠出や旅行も無理かもしれない。
華々しい未来は思い描けないかもしれない。
けれど、日常を割と楽しく生きている今も私らしくて好き。
節目の誕生日に特別なことをしなくてもいい。
30歳の私がそうだったように、おいしいケーキを食べるだけでもいい。
ケーキだって無理に食べなくてもいい。
日常の一コマに誕生日がある。
ただそれだけで私らしい誕生日になる。
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