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俳句鑑賞 ひらくヨムヨム003

月白し膝に手を置く国家たち

木之下みゆき 第60回現代俳句全国大会特別選者特選より

 膝に手を置いているということは、面接か、式典か、はたまた誰かの葬儀だろうか。「国家」が集まっている場ならば、環境問題・飢餓きが・人道危機・戦争など、世界の行く末を左右する議題が活発に議論される国際的な議場が相応しいだろう。今、国家たちはじゃエスチャーを交えて話しているのでもなければ、身を乗り出してもおらず、考え込んで腕を組んでいるわけでもない。ただ膝に手を置いているという。その様子を、月に白白と照らされている。
 地球のどこにいても、月が見えるとき、月からも見下ろされている。ともすれば、国家たちは集まってさえいないのかもしれない。擬人化された「国家」とは誰なのだろうか。季語のスケールが、単純に「国家元首たち」の略だとは読ませてくれない。「国家たち」には、為政者いせいしゃは勿論、作者も、私も、あなたも含まれてはいないだろうか。


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