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声優目線で見る細田守作品

どうも!声優の金谷ヒデユキです。みなさんは細田守監督のアニメ映画って見たことありますか?

私の場合、今まで見るきっかけがなくて、今年初めて「時をかける少女」を見ました。大林宣彦監督の実写版「時をかける少女」は何度も見て、セリフ全部言えるくらいなんだけど、アニメ版は初めて。

実写に比べてアニメ版は主人公がアクティブ。実写版の原田知世さんはタイムリープしちゃう自分が不安になって「変な女の子だと思わないでね」「こんな能力なんかなくなってほしい」って常に否定的なのに、アニメ版はタイムリープを楽しみまくり。やたら能力をムダに使い倒す。

実写版とアニメ版、キャラが全然違って逆にハマっちゃいました。

そこから「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「未来のミライ」を立て続けに鑑賞。そこで気が付いた事があります。

出てくる声優たちが上手い!

専業の声優ではなく、俳優の人がアフレコしてることが多いんだけど、みんなキャラクターにハマってる。

一時期、アニメファンの間では「俳優がアフレコすると、キャラクターよりその俳優の顔が浮かんじゃう」とか「やっぱりアニメは声優の人がやった方がいい」って声も多かったけど、細田監督作品の場合はそれがない。有名な俳優もたくさん出てるけど、キャラクターが喋ってるようにしか見えない。演じてる人の顔なんていっさい浮かばない。

今までずっと疑問に思ってたことがあって、それは「演技派と言われ、演技力に定評のある俳優でも、アニメや洋画の吹き替えをやる場合に違和感を覚えてしまうのは何故か?」という問題。

悪い例として出すのでイニシャルにしておきますが、特に印象的だったのが、ジブリ作品「借りぐらしのアリエッティ」でアフレコをした「O竹しのぶ」さん、そして「KKKりん」さん。バレないように、あくまでイニシャル。

お二人とも演技派の大女優。数々の名作に出演し、素晴らしい演技を見せて来たお二方。でも何故かアフレコだと違和感がある。何故だろう?ってずーっと考えてたんですけど、細田作品のアフレコを見てその理由らしきものが分かったような気がします。

声優の仕事の一番難しいところって「絵が先に出来てる」って事だと思うんですよ。どんなに優れた演技をしても、画面の中のキャラクターが違う表情をしてたら、その演技は0点。違和感しかない。

あくまでも映像がメイン。声はサブ。

特にアニメの場合だと絵が完成しないまま声を収録する事も多いので、完成した作品を見て「あーこういう表情だったのかー」って悔やむことも多いです。声優の実体験として。自分で見ても違和感ありあり。

だからいくら演技の上手い俳優でも、絵と合ってないと違和感を覚えてしまう。演技が上手いからこそ、元のアニメを超えてはみだしちゃう。って事なんじゃないかな?

上手すぎて中の人が出て来ちゃう。アニメを超えちゃう。

でも細田作品にはそれがない。「バケモノの子」の役所広司さんなんて完全にバケモノ。人間の喋り方じゃない。

「未来のミライ」の黒木華さんも完全にミライちゃん。上白石萌音さんも、ただのワガママな4才児。キャラクターとピッタリ。アニメの動き、表情と完全にシンクロしてる。役者の顔が全然浮かばない。

これってスゴイ事ですよ。逆に有名声優の方が顔が浮かんじゃうパターンも多いのに。

最近の俳優の方々はしっかり研究してアニメや洋画の吹き替えに取り組んでるので上手い人多いですね。本職の声優もウカウカしてられない。

長井龍雪監督のアニメ映画「空の青さを知る人よ」で、夢にあふれる男子高校生と、その後いろんな挫折を繰り返した30代の男を演じ分けた吉沢亮さん。この作品が声優デビューだって。信じられる?

同じ人間の高校時代と、30代を演じ分けるって中々難しいよ。口先の演技じゃ、すぐウソがバレるよ。

かつてアカデミー賞を取った「ムーンライト」っていう実写映画でも、主人公の高校時代と大人になった30代のシーンが描かれていて、主人公の親友シャロン役の声優が完璧に高校生と30代のおっさんを見事に演じ分けてるので是非見て欲しい。

ちなみにその声優、金谷ヒデユキっていうんだけどね。

はい、ただの自慢です。


金谷ヒデユキ

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