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読んだ本の感想をnoteに書いてみませんか?

noteにそう言われたなら仕方ない、書こう。

なにかまた道徳心の欠如した駄文でもしたためたいなと思ってnoteの作成を開いたところ、良い提案があったので便乗する。
有益な情報はありません。それはいつもそうか。


毎日電車に2時間乗るようになって強制的に一日の中で無の時間が発生したため、せっかくなので読書をしている。
元来活字中毒気味な節はあったので都合よく生まれた2時間を有効活用できている気がする。

月10冊前後、3日に1冊くらいのペースで読んでいるのでなんとなく読んでみたかった本を次々読破できて気持ちがいい。
タイトルだけ押えてあり買っていない本(内在的積ん読と勝手に呼んでいる)が次々消えていくのは喜びであり哀しみでもある。

ということで、ここ3~4ヶ月で読んだ本の中で特に良かったについてぺちゃくちゃ話そうかと思う。

1984/ジョージ・オーウェル  田内志文訳(角川文庫)

1984

This is dystopia.
これを読まずしてディストピアを語るな。

ディストピアと聞いて想像できる世界観は

・激つよ政府による抑圧管理社会
・都合の悪い文化や伝統を打ち消した教育がされる一見幸せそうに見えて全部操られてる系社会

等々があるが、これは前者の始祖である。

ちなみに2009年の調査によると、イギリス人がもっとも読んだふりをしている本がこの1984らしい。
読めよ、イギリス人。面白いから。

私が読んだのは2021年に新訳として出版された角川版だが、2009年の早川版に比べてhateの訳が「憎悪」から「ヘイト」とそのままになるなどの変化が起きている。ヘイトスピーチなどの語の普及によってそのままで通じるようになったってことだ。嫌な世の中になったね。

あらすじを伝えることを忘れていた。
考えるのが億劫なのでここはインターネットに転がっていたものを適当に載せておく。

「ビッグ・ブラザーが見ている」党があらゆる行動を監視し、言語も思想も管理された近未来世界。過去の捏造に従事するウィンストンは記憶と真実を留めるため、密かに日記を書き始めた。若い娘ジュリアから意外な愛の告白を受け逢瀬を重ねる中、伝説の反逆組織の男に声をかけられ、禁断の本を入手する。だがそれは恐るべき未来への扉であったー圧倒的リーダビリティの新訳で堪能するディストピア小説の最高傑作。
インターネットに転がっていたあらすじ

概ね伝わっただろうか。
オーウェルは1984を通して何がしたかったかというと、全体主義の批判である。
いつの時代でも、作品を通して国家に反対するという手法は多く存在する。

また、本作品に影響を受けた、いわば「1984の系譜」の中でも名著がいくつかある。

華氏451度/レイ・ブラッドベリ(早川書房)

華氏451度

一つは、レイ・ブラッドベリによる華氏451度である。悪の教典/貴志祐介でも引用されている「火の色は愉しかった」の一文は有名である。
1984に影響された1冊として挙げられる。
全体的に叙情的というかなんというか、端的に言えば回りくどい文体だがハマる人はハマるだろう。

華氏451度ーこの温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく…。本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!
インターネットに転がっていたあらすじ

華氏451度は紙の発火点温度なんですよ、と言おうとしたものの、あらすじに先を越されてしまった。
ちなみに原題は「Fahrenheit 451」だ。字面が非常にかっこいい。だがそれだけである。ファーレンハイトやヤード・ポンド法を許してはいけない。

時計じかけのオレンジ/アントニー・バージェス(早川書房)

時計じかけのオレンジ

お次の1984の系譜はおめめがパッチリするシーンでおなじみ、アントニー・バージェスによる時計じかけのオレンジである。
1984に比べて全体主義みはそこまで感じないが、そこかしこで匂わせてくる。
というか前半3分の1は主人公による「超暴力」(原文ママ)シーンで埋め尽くされており、何がなんだか分からないが爽快感はある。

近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫るースタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。
インターネットに転がっていたあらすじ

国内の作品でも1984に影響を受けた作品は少なくない。「R帝国/中村文則」や「ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎」などが近い雰囲気や共通要素を持つ。

1984の結末と上記2作の結末を照らし合わせると中村文則っぽさ、伊坂幸太郎っぽさ、そしてジョージ・オーウェルっぽさが浮き彫りになる。ディストピア好き好きマンがいたら是非3作合わせて読んでほしい。


さて、お気づきだろうか、2000字近く書いているのにいまだに本の解説ばかりで感想らしい感想を書いていない。

というか感想ってなんだ?
おもしろかったです^^としか言いようがない。根本的に感想を書くのにむいていない。
正確に言えば、長々と感想を書いたところでおもしろかったです^^と済ませることと情報量になんら差異がない。

感想とは主観的なことであり、一般性のないn=1のただの文字列である。
飲み会に行くとたまにいる自分の自慢話しかしない奴と同程度である。

哲学者マルティン・ハイデガーは平均的日常性における語りの頽落形態、すなわち「意味の無い自分の話を延々すること」を空談と呼んだ。また、それが文の形態を成したものを空文という。(正確にはハイデガーの指す空談は少し違う、もうちょっとややこしい)

例えば、「東北で豪雨になるらしいよ」という話題に対して「私が一昨年秋田に旅行したときも小雨が降ってて最悪だったんだよね🥺🥺」と返すのは無意味である。一般性を持たず、「そうですか」としか返しようがない。非本来性の頽落そのものだ。

あともう一つ分かりやすい例をあげよう。
本記事の冒頭である。


本の感想とはその空文の延長に過ぎない。やはり、「そうですか」と返されるのが関の山である。

しかしnoteとはそういう類のものではないか?たまたま興味を持ってこれを見てくれている人がいる以上その一般性のない感想に意義が生まれるのでは?
そうなのかな、そうかもしれない、やっと感想を書く気になった。


おもしろかったです^^

素晴らしい新世界/オルダス・ハクスリー(早川書房)

すばらしい新世界

おもしろかったです^^

新世界より/貴志祐介はこの「すばらしい新世界の系譜」に当たります。全部最高です。読め。

すべてを破壊した“九年戦争”の終結後、暴力を排除し、共生・個性・安定をスローガンとする清潔で文明的な世界が形成された。人間は受精卵の段階から選別され、5つの階級に分けられて徹底的に管理・区別されていた。あらゆる問題は消え、幸福が実現されたこの美しい世界で、孤独をかこっていた青年バーナードは、休暇で出かけた保護区で野人ジョンに出会う。すべてのディストピア小説の源流にして不朽の名作、新訳版!
インターネットに転がっていたあらすじ

殺人依存症/櫛木理宇(幻冬舎)

殺人依存症

おもしろかったです^^

同作者、残酷依存症も最高です。読め。

息子を六年前に亡くした捜査一課の浦杉は、その現実から逃れるように刑事の仕事にのめり込む。そんな折、連続殺人事件が勃発。捜査線上に、実行犯の男達を陰で操る一人の女の存在が浮かび上がる。彼女は一体何者なのか――。息をするように罪を重ねる女と、最愛の家族を失い死んだように生きる刑事。二人が対峙した時、衝撃の真実が明らかになる。
インターネットに転がっていたあらすじ

我々は、みな孤独である/貴志祐介(角川春樹事務所)

我々は、みな孤独である

とても、おもしろかったです^^^

お気づきだろうが、私は貴志先生の大ファンです。読め。

脳を揺さぶる、衝撃体験。「私を殺したのは、誰だ」単行本時、各紙誌で絶賛された鬼才、待望の傑作長篇。
インターネットに転がっていたあらすじ

あむんぜん/平山夢明(集英社)

あむんぜん

おもしろかっ、、^^いやこれはおもしろくない。
いや、おもしろかったけど毛色が違う。

本書はホラー小説作家の平山夢明さんの短編集である。
1作目「GangBang The Chimpanzee」は衝撃の冒頭から始まる。

「おい!人がチンパンジーに犯されていますよ!此処で!此処で人間がチンパンジーに犯られまくっているんだ!みんなぁ!これで良いのかぁぁ!」不意に込み上げる怒りにチンイチは絶叫した。
〈ウッギャア!ウッー!ウッー!ギンザア!ギンザー!〉
背中の猿が勝ち誇ったのかのように吠え、射精した。
GangBang The Chimpanzee

成人男性がチンパンジーに犯されているシーンから始まるのである。ギンザー!って何?

なんというかこの短編集の作品はあらすじが意味をなさない。読むしかない。
伏線かと思うような描写はまったく回収されないし、エログロ満載で理不尽な構成だが、なぜか読み続けてしまう。読み始めてからあっという間に読み終えていた。不思議な感覚であった。現代版(?)カミュの異邦人だ。

「象の肛門に飲み込まれて死ぬ」という空前絶後、前代未聞の結末が読みたければぜひご一読を。

おわり

以上、空文でした。さようなら。おすすめの本があったら教えてね。

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