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【江戸ことば その26】昔馴染と紅花染(べにばなぞめ)は、色がさめてもキが残る

≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。

「昔馴染と紅花染(べにばなぞめ)は、色がさめてもキ(気・黄)が残る」

昔慣れ親しんだ人はいつまでも忘れがたい例え。
天保12年(1841年)「昔馴染と紅花染とやらで、おつな様子さ」

(…分かるなぁ。文例の言い方もおつ)

2011年2月14日 Twitter投稿

七・七・七・五の都都逸(どどいつ)。この言い回しは、幼いころテレビの「笑点」でよく耳にしてきましたが、やはり今でも自然にリズムを感じます。日本語によく馴染んだものなのでしょう。

長唄のお師匠さん、お駒がは連子窓から、往還を物憂げに眺めていた。小僧の定吉は、遣いの行き返りに、お駒のそんな表情に気づいていた。

ある雨の日、傘を差して使いの帰りの定吉は、いつもようにお駒の家に眼を遣ると、三味線を抱いたお駒が窓のうちに見えた。
「昔馴染と、紅花染は…」
弦をばちで小さく弾き、お駒が小さな声で歌っていた。
「…色が褪めても、きが残る…」

定吉は何だかどきりとした。

写真は今年4月、父が撮影したものです。

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