見出し画像

【江戸ことば その16】きざ

 ≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。

「きざ」

「気障(きざ)わり」の略。
気になること。
→ 気に食わぬこと。
→ 言動・風俗の嫌味なこと。
→ 色情的でいやらしいこと。

(…吉原生まれの言葉が一般に広がり、「気に障る」から「スケベ」まで意味が変化していった)

文例多数
2011年1月26日 Twitter投稿


子供のころ、「キザ」という言い方は、あまりよい気分がする言葉ではありませんでした。ニュアンスはありませんでした。自分とは違う世界だったからです。
すぐに思い浮かぶのは、「ドラえもん」のスネ夫。お小遣いが多そうで嫌みったらしく、お金のない僕にはどうにも苦手なキャラクターでした。
「巨人の星」の花形満も、財閥の息子でしたね。スネ夫と違って、カッコいいキザ。
派手な若者を見た時、祖母は「キザったらしい」という言葉をよく使っていたように記憶しています。
かっこ付けという語感があるのは、吉原で金にあかして遊んでいたキザな御曹司に由来するのでしょうか。

勝手口の上がり框に、女子供が集まった。江戸から戻った巳之助が、土産を配っているのだ。小間物屋で買った小さな櫛、貝殻に入れた紅。女たちが喜んで品定めしているのを、無言の男衆は「気障野郎め」と嫌な気分で見ていた。
「大体おめぇらみてえなお多福が紅つけてどうなるってんでぇ、傷んだカボチャみてぇに見えるだけだわな」と太助が小声で漏らすと、女衆が一斉にキッとにらみつけた。

写真は2018年4月、花に包まれた屋敷神さまを撮ったものです。

16きざ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?