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【江戸ことば その9】血痣(ちあざ)

≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。

「血痣」(ちあざ)

皮膚を強く吸ったり噛んだりした跡の、赤い斑点。

(…キスマーク! 江戸は「色」、
前近代はセクシャルな言葉がいっぱいです。
これから頻出、ご容赦を)

文例・安永年間(1770年代)
「肩先の歯の跡、くちびる野太く血あざの飛び散らし」
2011年1月19日 Twitter投稿

これもびっくりした言葉の一つ。
言われてみたら、そのまま現代でも通じますが、「あんた、その首筋の血痣は何!」なんて夫婦喧嘩もあったのでしょうか。

朝は曇り空から雨が落ちてきそうだったが、太兵衛は傘も受け取らずに、小走りで帰っていった。
情人(いろ)が帰ると、四畳半ががらんと広く感じた。

今日は、何をして過ごそうか、頭があまり働かない。
土間のかまどに火を起こして、台所に立って菜を刻み、味噌汁を作る。たすきでくくりあげた袖の下、二の腕に血あざが残っていた。
ほっと顔が赤くなった。

次に太兵衛が来るのは、十日の後。
ため息が出た。

2007年8月、藪ランが美しい露地。
父の写真です。

20070815裏庭4


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