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スタートアップの初期プロダクト開発において資金調達方法は何があるのか?

はじめに
スタートアップ企業を創業して、まず序盤で考えるのが事業を始める為の資金調達だと思います。今回は創業初期にどのような資金調達方法があるか書いていきます。


スタートアップの投資ラウンドとは?

まずスタートアップ企業の定義について説明します。下記は他の記事の引用になりますが、主な特徴としては、成長スピードが速く、イグジットを目指している企業になります。

スタートアップとは、IT企業が集まるアメリカ・シリコンバレーで使われ始めた言葉で、革新的な新しいビジネスモデルを考え、新たな市場を提供することで、短期的に事業価値を高めて成長する企業や組織のことを指します。

スタートアップの特徴
・成長スピードが速い
・ビジネスに斬新性があり、イノベーション、社会貢献を意識している
・出口戦略(イグジット)を検討している

https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/oyakudachi/startup/

投資ラウンドに関しては、以下の表に具体的な投資ラウンドの各段階の特徴や資金調達金額の相場を示してあります。エンジェルラウンドからIPOまでの基準などがまとめてあります。

画像出典元:Yusuke Kurishima「スタートアップの資金調達相場を語る」

エンジェルラウンドとは?

それでは、エンジェルラウンドとはどのようなフェーズなのでしょうか?
一言でいうと初期段階の資金調達ステージとなります。

エンジェルラウンドとは、別名、プレシードラウンドとも呼ばれており、シードラウンドやシリーズAなどとともに、投資ラウンドにおける1つの段階として位置付けられています。投資対象のスタートアップは、創業前後のプロダクト・サービスがまだ形になっていないアイデア段階であることが多いです。

多くの場合、エンジェルラウンドにおけるスタートアップは最初期であるため、アイデアのみが存在し、メンバーや顧客などをほとんど抱えていない状態にあります。また、資金調達額は数百万円~数千万円程度、調達期間は1日〜1カ月程度と相対的に少額・短期間でディールクローズとなるケースが多いです。

https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/angel-round/

資金調達の種類

一般的には未上場の株式会社の資金調達方法は、以下の4つとされています。これらを理解した上で会社の状況や資金調達フェーズを意識して、資金調達の準備を進めていきましょう。

出典:smartround 資金調達マニュアル

オススメの資金調達方法

それでは、エンジェルラウンドのスタートアップ企業に対して、どのような資金調達方法がオススメか述べていきます。
ここでは、前提としては下記のような会社の状況だと仮定します。

プロダクトの状態:アイディアの段階
チーム状況:社長1人もしくは役員数名と業務委託数名
トラクション:無し
Post-Valuationの相場観:3,000万円〜1億円
ラウンド:エンジェルラウンド

このケースでの私のオススメはデットファイナンスになります。私自身、創業2年目で総額1500万円ほどの融資を受けたことでシードラウンドで資金調達(エクイティ)をするまでスピード感を持って、プロダクト開発を進められました。
もちろん、既存事業で利益が出ており、その利益から補填できるのであれば、理想ではありますが、既存事業のスケールも意識しながらだとなかなか、スピード感が出にくい点もあると思います。
それでは、それぞれの資金調達方法のメリット・デメリットを解説していきます。

自社利益

まだエンジェルラウンドでは自社で利益をあげるとしても、ほぼ社長のマンパワーで稼ぐくらいしか手段がないと思います。また、稼げたとしても大した金額にはならず、成長速度は遅くなると思います。

メリット

  • 自社で完結できるので、外部からの制約などがない。

  • 自社の意思決定で事業を進められる。

デメリット

  • 既存事業の利益から資金を捻出するので、成長速度が遅くなる。

助成金・補助金

私も事業再構築補助金、ものづくり補助金の申請業務を担当したことがありますが、提出書類が多く、それなりに作業時間の確保が必要でした。補助金の種類によっては、1000万円単位で資金を得られる可能性がありますが、事務コストが高い且つ、制約事項が多いため、創業初期のスタートアップ企業では、あまりオススメはできません。但し、補助金の申請サポートを請け負っている会社もあるので、そういった会社に依頼する事で事務コストを下げて申請してみるのは良いと思います。

メリット

  • 返済が不要。
    ※厳密には成果報告後に条件を満たせなかった場合に返金が発生することもあります。

デメリット

  • 制約事項が多い。
    補助金の書類によっては、制約が事項が多く、補助金採択後に事業内容を変えてはいけなかったり、何度も事業の進捗を報告する義務がある事もあります。なので、プロダクトのピボットを繰り返すスタートアップ企業ではある程度、融通が効く補助金を選ぶ必要があると思います。
    ものづくり補助金を例に挙げると賃上げ条項などもあるので、注意が必要です。

給与支給総額を年平均1.5%増加させるのが、ものづくり補助金の賃上げ要件の1つです。給与総支給額とは、全従業員(非常勤含む)・役員に支払う次の経費の合計が該当します。

https://inu-llc.co.jp/monohojo-wageincrease/#heading-lists-1-0
  • 事務コストが高い。
    それなりに作業時間の確保が必要なため、まだバックオフィスメンバーがいない会社であれば、補助金の申請サポートを請け負っている会社もあるので、相談してみるのも良いと思います。

デットファイナンス

融資と聞くと単純に借金というマイナスなイメージを持たれる方も多いかと思いますが、融資を受けて事業を伸ばし返済を繰り返していくことで会社の信頼も上がっていきます。
また、返済が必要な資金調達方法ではありますが、最近ではスタートアップ向けに無担保・無保証人の融資制度なども出来て、融資限度額も7200万円に大幅に拡大しました。

 日本政策金融公庫は4月1日、スタートアップ向け融資制度を拡充した。これまで「新創業融資制度」として提供していた無担保・無保証人の融資制度を変更。融資限度額を3000万円から2倍超の7200万円に拡大した。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2404/01/news156.html

メリット

  • 資本コストが安い。
    銀行への利子の支払いなどは発生します。
    公庫の新規開業資金の枠であれば、下記の利率だと言われています。
    基本的に基準利率、条件によって特別利率(A~D)が適用
    ・担保なし:1.93~2.90%
    ・担保あり:0.98~2.55%
    ※2023年4月3日時点の年利

デメリット

  • 厳しい審査。
    私も何度も融資を受けたことがありますが、事業計画書(5年分)や納税証明書など色々な提出書類が必要になります。その他にも事業内容を説明すためにピッチ資料を発表することもありました。

  • 返済が必要。
    3年や5年、7年などのスパンでの返済は必要になります。ただ、1年の据え置き期間を設けることも可能なので、すぐに返済が始まる訳でもありません。

エクイティファイナンス

私も2度エクイティでの資金調達を実施したことがあります。融資よりも会社の将来性で資金調達できるため、その会社のポテンシャル以上の資金調達することができます。ただ、株を渡すため、色々な制約は増えてしまいます。
もちろん、私もスタートアップをやる上でエクイティでの資金調達は実施していくべきだと思いますが、最近では資金調達環境も悪くなってきているので、プレシリーズA〜シリーズAまではデットファイナンスで粘って、会社のバリエーションを上げてからの調達も良いと思っています。
私自身、シードラウンドで投資家を入れた事により、色々な制約は増えてしまったなと反省しています。

メリット

  • 多額の資金を調達できる。

  • 将来の可能性で調達できる。
    将来の可能性でバリエーションを判断して頂くため、その会社のポテンシャル以上に大きな金額を調達することができます。

デメリット

  • 資本コストが高い。

  • 会社所有権を一部取られる。
    投資家に株を渡すので、投資契約の条件によっては、経営に口出しされる機会も増えると思います。

  • 契約条件が厳しい。
    私は資本業務提携もした事がありますが、契約内容によっては、事業内容などに縛りが出てしまいます。

まとめ

  • 創業初期のエンジェルラウンドのスタートアップ企業ではデットファイナンスでの資金調達をオススメします。

  • いづれはエクイティファイナンスを活用して、急速な成長をしていく必要がありますが、最近ではエクイティの資金調達環境が悪くなってきているので、プレシリーズA〜シリーズAまではデットファイナンスで粘って、会社のバリエーションを上げてからの調達することをオススメします。

P・S

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