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2023 J2 第42節「栃木SC vs ジュビロ磐田」超主観的振り返り -ジュビロ史上最高の逆転昇格!-

栃木 1-2 磐田
【得点者】

栃木:大島 康樹(前半24分)
磐田:ドゥドゥ(前半41分)、松本昌也(後半16分)

試合終了のホイッスル!

ジュビロ磐田のベンチの選手達は一斉にピッチに向けて走り出しました。

ベンチの選手が一斉にピッチへ!
駆け寄るジュビロ戦士達
鈴木雄斗は「マジで?マジで決まったの?」な顔
雄斗も状況を飲み込んだ!
ドゥドゥとリカルドグラッサはジョージ赤阪さんに確認に行く
ドゥドゥもようやく理解!
号泣の松原后
仲間たちが出迎える!
J1昇格!

2023年11月12日。

J2リーグ 最終節となった第42節。栃木SC vs ジュビロ磐田の試合を観戦するためカンセキスタジアムとちぎへ行ってきました。

J1自動昇格枠を巡る最後の戦い。

2位清水エスパルスは水戸
3位ジュビロ磐田は栃木
4位東京ヴェルディは大宮

いずれもアウェイゲームで、13時に同時キックオフ。

磐田は栃木に2-1で逆転勝利。

一方の2位清水エスパルスは水戸ホーリーホックに1-1で引き分けたため、磐田が清水を逆転して最後の最後で2位を奪還し、

ジュビロ磐田のJ1昇格が決定!!!!

選手の歓喜の輪を逃すまいとカメラを構えてファインダーを覗き込みましたが、涙が溢れて前がよく見えません。

それでも夢中でシャッターを切りました。

磐田にとって2023年は本当に厳しく、苦しい戦いの連続でした。
しかし最後の最後に待っていたのは

「1年でJ1復帰」

という最高のご褒美でした。

苦難の2023シーズン最終節、栃木戦を振り返ります。


前回対戦振り返り

前回対戦は、3月29日第6節ホームヤマハスタジアムでの戦い。

春の9連戦の2戦目。

この時期はケガ人が出始めており、特にCBが厳しく、伊藤槙人森岡陸山本義道の3人が負傷。鈴木海音はU-22代表遠征のためチームを離れており、本職のCBはリカルドグラッサ中川創のみでした。

それでも前半に松本昌也、後半に松原后が得点し2-0のクリーンシートで勝利。松原后は磐田移籍後初得点となりました。

スターティングメンバー

ジュビロ磐田

前節水戸ホーリーホック戦で累積警告4枚となった伊藤槙人は出場停止。予想通り鈴木海音がスタメンに復帰となりました。8月12日第30節アウェイ町田戦以来12試合振りのリーグ戦出場です。

それ以外は前節と同じ布陣。

残念ながらホーム東京V戦で負傷したジャーメイン良、そしてアウェイ金沢戦で負傷し練習には復帰していた大津祐樹は復帰を果たすことができませんでした。

栃木SC(前回対戦との比較)

黄色は前回対戦後の新加入選手

栃木は前回対戦後の夏の移籍ウインドウで、元G大阪・広島・松本山雅のレアンドロ ペレイラ選手を完全移籍で獲得。更に、イスマイラ選手が京都から期限付き移籍。ラファエル選手がアナポリスFC(ブラジル)より完全移籍。名古屋から石田凌太郎選手が期限付き移籍。

合計4人を補強。

今節はイスマイラ選手がスタメンに、ラファエル選手がサブに控えます。

ベテラン矢野貴章選手は今回はサブでメンバー入りしました。

磐田ゴール裏の熱量がスゴイ

栃木戦の一般チケット販売は比較的早く10月7日でした。この日はアイスタでの静岡ダービーの日。ダービー敗戦を受けて、恐らく最終節までもつれると思い現地参戦を決めました。私はメインスタンドのチケットを購入。

ちなみにビジターゴール裏チケットは試合の10日前に完売。

サックスブルーに染まったゴール裏の応援の熱量は素晴らしかったです。

アウェイの地で聴く「Let's go IWATA」メチャ勇気が湧きます。
実際に戦う選手達はなおさらでしょうね。

メインスタンドは栃木サポさんとのミックス席。

栃木サポさんの黄色ユニやポンチョが埋まる中で、私はサックスブルーのフリースポンチョで参戦。

今日は青一点状態

この日現地に駆けつけていたスピラ・スピカの幹葉さんも着ていたこれです。

この日の気温は公式記録では10.1℃。寒かった。
フリースポンチョが重宝しましたね。
このポンチョ着ているジュビサポさんをたくさん見かけました。

メインスタンドでサックスブルーのポンチョは目立つせいか、栃木サポさんに声をかけられました。

「ジュビロの応援の熱はスゴイね!」
「さすがJ1にいたチームだよね。」

嬉しいお言葉を頂きました。

しかし、今日は絶対に負けられない。
磐田は勝つしかないのです。

栃木に先制を許す

試合の入りは磐田が優勢に進めていました。

前半6分に後藤啓介がシュートしますが、GK藤田和輝選手がセーブ。

前半19分には山田大記がうまく交わしてスルーパス。ドゥドゥがボックス内に駆け込みますがこれもGK藤田和輝の飛びだしが一歩早くキャッチされてしまいます。

前半23分、福森健太選手が右サイドから大島康樹選手がボックス内で胸トラップしてすぐさまシュート。これがゴールネットに突き刺さって栃木に先制を許してしまいます。

私の周りの栃木サポさんは大歓声の大騒ぎ!

磐田に一矢報いてやる。

という気持ちが栃木の選手・サポさんからも伝わって来ます。

私は平静を装いながらも

「今日は勝ちしかないんだぞ!」

と心の中で「磐田の反撃」を待ちました。

ドゥドゥの同点弾!

前半の内に何とか追いついておきたい磐田。

前半終了間際の40分。上原力也のショートコーナー。松本昌也が受けてドゥドゥにパス。そして真骨頂ミドルシュート炸裂!イスマイラ選手に当たってボールの方向が変化し、ゴールネットを揺らす。磐田同点!


ドゥドゥに駆け寄る選手達
鈴木海音と松原后が祝福
ベンチスタッフとの歓喜の輪
松原后とハイタッチ

昨年2022年に磐田に加入したドゥドゥ。しかしリーグ戦の出場機会は殆ど与えられることは無く、J1リーグ2試合17分出場で0得点に留まりました。

迎えた2年目。辛い一年を過ごしたドゥドゥでしたが、昨年はコロナ禍で合流が遅れて参加できなかった鹿児島キャンプに初参加。横内監督は従来のボランチから左SHにコンバート。これが功を奏しました。

2023年は、39試合3,187分出場で9得点の大活躍。

ドゥドゥがいなければ、今季磐田はこの地位にいなかったかもしれません。

腐らずに異国の地で戦い続けたドゥドゥ。
この同点ゴールは今季の活躍を象徴するような見事なミドルシュートでした。

松本昌也が逆転弾!

前半を1-1の同点で折り返した磐田。

ハーフタイムにスマホを取り出して他会場の結果を確認。

水戸 0-0 清水 (前半終了)

水戸が清水に意地を見せている!!

何としても逆転しなければならない。
頼む!誰でも良い!ゴールを!

後半16分、左サイドからドゥドゥ松原后へパス。ボックス内で松原后が振り向きざまにクロスを上げる。ファーサイドから上がってきた松本昌也がドンピシャヘッドでゴール左隅に叩き込んで逆転ゴール!

アシストした松原后と松本昌也
歓喜のゴール裏へ
控え選手達は円陣を組む

このゴールも含めて4試合で3ゴールと絶好調の松本昌也。

J1復帰を大きく手繰り寄せる大仕事をやってのけました。

歓喜の瞬間へ

ここからは他会場を気にしながら、胃が痛くなるような時間が続きました。

残り30分少々。

まだ時間は残っているだけに追加点を取って突き放したい。もちろん失点は絶対に避けなければならない。

再びスマホを取り出して他会場の結果を確認。

水戸 1-0 清水 

何と、水戸が勝ち越しているではないか!

もう泣きそう!

前節ヤマハスタジアムで水戸と戦って5-0で勝った磐田でしたが、試合終了後八田直樹の引退セレモニーに合わせて水戸サポーターさんが作ってくれた横断幕のことを思い出しました。

水戸サポーターさんがヤマハビジター席に作ってくれた横断幕

「水戸さん大好きだ!頑張ってくれ!」

64分、栃木のフリーキック。三浦龍輝が弾いたボールを高嶋修也選手がヘディングシュート。ゴールネットが揺れたので、周りの栃木サポさんはゴールと思って立ち上がった人が多かったのですがサイドネットでした。
これは肝を冷やしましたね。

磐田も84分にドゥドゥ、89分に後藤啓介の決定機がありましたがゴールならず。

今一度スマホに目を落とします。

水戸 1-1 清水 

清水が同点に追いついていました。

「水戸さん。引き分けでも良い。耐えてくれ!ホームで意地を見せてくれ!」

もう祈るような想い。

そしてアディショナルタイムは5分の表示!
5分がこんなに長く感じたのは初めて。

95分、栃木のスローイン。恐らくラストプレーになりそう。
高嶋修也選手はロングスローでゴール前に入れてくる準備。

「ロングスローなんてやめてくれよお」

リカルドグラッサが頭でクリア。セカンドボールをまたも高嶋修也選手がボックス内に入れる。ボックス内で両軍の攻防。そして松原后がクリアするとほぼ同時に主審が試合終了を告げるホイッスルを吹き試合終了!

ジュビロは勝利。

清水の結果を確認する必要もなく、ホイッスルと同時にジュビロの選手達は一斉にピッチ内に駆け込む様子が目に飛び込んだ瞬間、私の涙腺は崩壊しました。

横内監督は試合終了後のDAZNのインタビューで、栃木戦の最中でも磐田に残って練習している選手へ思いを馳せて声を詰まらせました。

ここに連れてこれなかったことに対する苦渋の想い。厳しい決断をしなければならない指揮官の立場。そしてそれに応えるように懸命に練習に励むメンバー外の選手達への想い。

横内監督の人柄がうかがえる感動的なインタビューでした。




翌日、ジュビロ磐田の公式YouTubeチャンネルでは、【Go on.】episode19:J1昇格が公開され、歓喜の瞬間と控え室の様子が公開されました。

横内監督はジュビロサポーターに向けて初めて「ブラボー」と叫んでくれました。

そして念願だった横内監督の胴上げ。
感無量でした。

前回J2優勝した2021年。選手達は笑顔で溢れてました。涙を流していた姿はほぼなかったと思います。

しかし、今回は違いました。

多くの選手が目に涙を浮かべていました。キャプテンの山田大記も泣いていました。試合後のインタビューでは次のように語っています。

――最終節に昇格を掴み取りました
最高ですね。こんなに劇的な昇格というのは経験したことがなかったので、人生で初めて嬉し泣きしました。

ジュビロ磐田公式ホームページより

今年はキャプテンに就任し、鹿児島キャンプ初日に「一丸」となって戦うことを宣言しました。

昨年J1最下位の成績で降格した磐田。伊藤彰監督をシーズン途中で解任してまで残留を果たそうとしましたがそれもかなわず。

ファビアンゴンザレスの二重契約問題で二回の選手補強が禁止。

2023年は本当にゼロからのスタートでした。厳しい戦いになることが十分想定される中、メンタル的にも、戦うときの頭の中のイメージも、決してバラバラにならず戦っていくことを求めました。

横内監督は試合終了後、チームの団結力についてこのように語っています。

――チームの団結力は日に日に高まっていたのでしょうか?
それは本当に実感しています。良いときも悪いときも長いシーズンなので、敗戦の後だったり、結果がなかなか出なかったとき、自分たちのプレーが思い通りにいかなかったときというのはありますが、そういうものも選手自身が消化して、試合終わった次のオフ明けの練習では切り替えて次のゲームに向けて準備をしてくれました。本当に選手に感謝していると言いますか、そこの切り替えの素晴らしさと言いますか、そこは本当に頭が下がりますね。それは今日来ているメンバーだけでなく、残って練習している選手たちもいますが、そういう選手たちも含めて次の準備に向けてくれたエネルギーはすごく感謝しています。

ジュビロ磐田公式ホームページより

横内監督の目からみても、メンバー以外の選手も含めて団結力が高まっていったことを評価しています。

山田大記が語った「一丸」となって戦う成果が結実したものと言えるでしょう。


また、前回2021年J2優勝時からはメンバーも大きく変わりました。

2021年当時、上原力也は仙台に、藤川虎太朗は熊本に期限付き移籍していました。鹿沼直生は在籍してましたがリーグ戦の出場は多くありませんでした。鈴木海音に至っては2021年はリーグ戦出場時間ゼロ。そして、古川陽介藤原健介後藤啓介は2021年J2優勝時まだ入団していません。

これらのメンバーが苦労を重ねてJ1復帰を勝ち取ったことは、今後の選手個人だけでなく、磐田にとって大きな財産になることでしょう。

そして最も印象的だったのはこの選手。

後藤啓介

後藤啓介も泣いていました。

今季開幕の岡山戦で、2連続ゴールという鮮烈なデビューとスタンドのサポーターを煽る姿。

現役高校三年生とは思えない落ち着きと、強気のコメント、そしてクラブ愛。

チームは、序盤で杉本健勇が移籍し、ファビアンゴンザレスは5月まで出場停止。ジャーメイン良大津祐樹も序盤で負傷。

選手補強もできないためFWの駒不足は否めませんでした。

更にチームは最終節まで昇格争いを続けました。

後藤啓介はまだ18歳。
背負うものが大きかった。
きっと精神的にも苦しかったと思います。

すでに一部新聞報道では海外移籍の話題が出始めていますが、まずはリフレッシュして欲しい。そして来季に向け力を蓄えて欲しいと願ってます。


2021年のJ1昇格決定は水戸、J2優勝決定は群馬のため、現地に行けなかった私は目の前で歓喜の瞬間を見ることができませんでした。

今回、ジュビロサポーターになって初めてこのような晴れの舞台に立ち会うことができて本当に幸せでした。

来年は昨年悔しい思いで去ったJ1の舞台に帰ります。

きっと今年以上に苦しい戦いや悔しい思いをする試合が待っているでしょう。しかし、それらを乗り越え近い将来J1でこのような歓喜の瞬間を味わいたいと思っています。




2023年のジュビロ磐田の振り返りnoteは今回が最終回です。
天皇杯、ルヴァンカップ含めて全試合書くことができました。

今年一年読んで頂いた皆さん。
本当にありがとうございました。

オフシーズンは、今季を振り返って思うことや、選手の去就などに対して都度記事を書いていこうと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに、来年も歓喜が訪れることを願って。

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