現代の深刻な病「数字で順番をつけたがる」

河合隼雄氏と茂木健一郎氏の対話を以下の記事で引用した。

その際に、同じ書籍からもう1つぜひ紹介したい文章があったので、本記事で紹介したい。
それは、私たちの判断軸についての痛烈な批判だ。

答えをすぐ求めすぎる傾向って、現代の深刻な病のような気がしますね。

ちょっとね、判断がみんな早すぎるんですね。
もっと悪いのは、僕はよく言うんだけれども、みんな一人ひとり違うのに、数字で順番をつけたがるんですよ。
「年収いくらですか」と言ったら、年収が高い人から低い人まで全部順番がつくでしょう。
それは一人ひとり分けているようで、なにも分けてないですね。
お金で分けているだけなんだけど、それでみんな錯覚を起こしている。
そして、ちょっとでもみんなよりお金の多いほうに行こうとしたりする。
そうして頑張っているようだけど、じつは個性を摩耗させる方に頑張っているんですよ。
だから、そういう細部に飛びつかない、という姿勢がものすごく大事ですね。

こころと脳の対話 河合隼雄・茂木健一郎

この話、思い当たる節はないだろうか。
例えば、大学の同期と久しぶりに会ってお互いの年収の話をするとき。
あるいは、自身、あるいは子供の受験を考えるとき。

質感で感じるか、数で判断するか。
あたなはどちらの生き方をしているか。どちらの生き方をしたいか。

これはまた、クロノスで生きるか、カイロスで生きるか。という概念とも通じる。
流行りの言葉でいうところの「タイパ」(Time Performance )は、時計で計測できる時間軸、クロノスの世界観の言葉。
カイロスは、いつでも思い出せる、忘れられないあの瞬間、永遠にとどまるとき。

クロノス/カイロスについては、以下記事にも記載したので、よろしければこちらもご参照ください。


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