見出し画像

夏を謳歌する。

「今日も暑いですね」

管理人のおじさんが 玄関を掃いている姿に 

「ありがとう」の意味を込めて この時期のあいさつをした


こんな時 うちの家の前のいちょうの木は 大丈夫だろうか

エアコンの効いた部屋の 窓のフレームに 手を掛ける

陽の光を受けて 窓のフレームは 生暖かい

その窓を開けると 呼吸さえも困難になるような 

もやっとした空気が 体にまとわりつく


「あぁ 暑いですね いかがお過ごしですか?」

目の前の 大きないちょうの木に そっと尋ねてみた


その瞬間 どこからともなく 風がさぁっと吹いてきて

いちょうの木の 葉っぱ一枚一枚が 手を振るように 

そして からからと笑うように 

小刻みに 一斉に踊り出した


「ふふふっ!」

このタイミングの絶妙さと その姿があまりにも 愛らしくて

思わず 笑ってしまった

大きないちょうの木の 答えはこれだった

その瞬間 周りの暑さは 何も感じれらなくなっていた

いちょうの木の そのたくましさに 圧倒されながら 

温度さえも 感じなくなっていた


これだけたくさんある葉っぱが 暑さでしなることもなく 

すべてに水分が行き渡るよう 太い幹と 枝があって

今でも 地面の奥深くから ポンプのように 

一枚一枚の葉っぱに 水が行き渡るよう 力強く供給している

 

すごいな

かっこいいな 


それでも このギラギラした太陽から 

少しでも 日陰にしてあげれたらいいなと 思っても

この大きな木を 日陰にしてあげられるものなんかない

せいぜい 空高く浮いている あの雲ぐらいだろうか

「いいんだよ 夜に休めばいいのさ」

なんとなく そう聞こえたようだった

それでも 大きな木たちは いつも木陰をつくり 

ギラギラした太陽から 私たちを守ってくれる 


今も そのたくましい 幹や枝には 

地面の中で この一瞬を待ちわびていた セミたちがとまり

全身を使って 生を表す


そう 自然たちは こうして 夏を謳歌している




拙い文章を読んで頂いて、ありがとうございました。 できればいつか、各国・各地域の地理を中心とした歴史をわかりやすく「絵本」に表現したい!と思ってます。皆さんのご支援は、絵本のステキな1ページとなるでしょう。ありがとうございます♡