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【 #球春到来 】目指すのは優勝の先 堺シュライクス

みなと堺グリーンひろば

堺市西区 みなと堺グリーンひろば。堺市の海沿いにあり、名前の通り広大な芝生の広場と、野球場・ソフトボール場などがある。なお、最寄駅から6キロほどあるため、来場の際は車、もしくは事前にタクシーの手配をお勧めしたい。(バスもあるが、最寄りのバス停からも2キロ以上歩きます)

そんな人里離れたところで練習をしているのが堺シュライクス。昨年のさわかみ関西独立リーグの優勝チームだ。

みんなが同じ方向に

9時から練習開始、と聞いていたが、8時30分時点で、既に選手の大半が球場の外に集まり、思い思いにストレッチやウォーミングアップを始めていた。この時点で1度汗を取るために着替えをしている選手さえいた。

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(8時30分、球場外でストレッチをする選手たち)

9時になると、山田偉琉キャプテンの号令で、トレーナーが作成したメニューやキャッチボールを始めていった。

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(瞬発力を鍛えるダッシュメニュー)

「去年よりも全体的にいいよ」

監督3年目の大西宏明監督がアップの様子を見ながら話した。

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(大西宏明監督)

「3年目、2年目の選手が、僕や藤江(均 コーチ)、球団の考えを汲んで行動してくれている。今季入団した選手も多いけど、細かい話をしなくても選手が動いてくれている。去年でも8対2の8ぐらいがだらけてたけど、今は9対1ぐらいで選手が考えて取り組めている」

昨年開幕時にいた選手の約半数が入れ替わり、チームの平均年齢もグッと下がった。高卒の選手が増え、その選手をこれまでいた選手たちがしっかりフォローをできている。

「こういう体制や組織を作るのが僕の仕事やから」

アップが始まってから、選手たちは限られた時間内、休むことなく個々の課題に向き合い動いていたのが印象的だった。

「アップからしっかりしているけど、毎日が追い込みの地獄やから。勝った負けたではないし、試合で勝つことも大事だけど、それが全てではない。優勝する以上に上のレベルでやれる選手を育てるためにやっている。リーグ自体の力を上げるためにこうしてやっている」

昨年から繰り返し言い続けている言葉。それに選手も応えようとしている。

「地獄の追い込みと言えば藤江の練習メニューやけど、初日『絶対ついてこれんやろ』と思ってたけど、ほとんど怪我人もなくみんなついてきてるからね」

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(4年のブランクを経て入団した中村拓投手。藤江コーチのメニューにもついてきており「根性あるな」と大西監督の評)

練習開始から1カ月がたち、注目の選手を聞いてみた。

「元巨人の村上海斗、ドラフトで指名漏れした藤田青空。この二人は動きがいいし、あと吉村樹が結構いいボールを投げる」

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(青森出身の藤田青空捕手。津軽弁を交えてのリードで相手も味方も幻惑する)

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(「たつき」って読みます!とアピールしてくれた吉村樹投手)

「あと赤城(圭佑)と早河(洋)、毎日絶対これだけ振れ、って言って人生をかけてバットを振り込んでもらった。本人たちにとってはこんな経験したことないと思うけど、それが「プロの普通」なんやってわかってもらわないといけない。そうしたらやっぱりスイングスピードも、打球も変わってきたし、よくなってきたよ」

昨年、「圧倒的な練習量」「圧倒的な成績」を掲げて見事に優勝したシュライクス。マインドがより選手に浸透した今季も、その方向性は変わらない。

キャプテン・山田偉琉

そんなチームを今年からキャプテンとして引っ張ることになった山田偉琉捕手にも話を聞いた。

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(山田偉琉 やまだたける 捕手)

―昨シーズンを振り返ってみて
「個人的には(学生だったため)学校の事もあったり、ケガもあって苦しかった1年でした。いろいろあった1年だったけど、本当に苦しくて、あんまり覚えていないですね。開幕を4番で迎えたのはプレッシャーがすごかったです」

―今のチームの雰囲気は
「若い人が多くなったので、去年より練習に対する意識は高いと思います。雰囲気もいいです」

―山田キャプテン自身のここまでは
「調子はすごくいいです。(捕手が3人新たに入団したことについては)特に何とも思っていないですね。自分のパフォーマンスをしっかりするだけです」

―個人としての目標を
「やっぱりプレイヤーとしては上のレベルでやりたいと思っています。そして結果を出したいです。試合や練習の取り組み方をしっかり意識してやっていきたいなと思います」

―キャプテン、チームとしての意気込みを
「一人ひとり高い意識を持ち続けること、ピリッとした空気を作っていけたらなと思います。まだ空気も緩いと思っていますし、練習から一球に対する集中力がまだ足りないと思っています。これからですね」

―最後にファンの人に見てもらい所を教えて下さい
「全部です!僕の全部を見てください!」

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練習の様子

上述のように9時前には選手ほとんどが動き出し、14時ごろまでほぼ休みなく動き続けた。

ノックは激しく、とにかく藤江コーチが右に左に選手を振りに振った。

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(外野へのノックがたびたびスタンドインする藤江コーチ)

シートバッティングが行われ、関口聡、西澤宙良、佐々木裕也が登板。
関口は142キロを計測し、西澤はキレのいいスライダーを披露。
打者では大橋諒介、佐藤将悟と昨年の4番・5番がそろってホームランを放った。

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(ホームランを打ってはしゃいで走る昨年の首位打者・大橋)

一方で練習に「意図」が感じられない選手には大西監督からも藤江コーチからも選手にフィードバックがなされるなど、いい雰囲気ながらも、緊張感はしっかりある。監督コーチも気づいたことはすぐに選手に伝え、選手もそれを活かそうとしている。

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(キャッチボールを杉森慎太郎内野手に指導する大西監督)

最下位から優勝を遂げた昨年。だが、大きな目標はその先にある。上のレベルに到達するために、堺の百舌鳥軍団は、翼を磨き続ける。

(文・写真:SAZZY 取材日:3月4日)

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