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完売の魔法

僕は学生のときに、裏原宿、裏原ファッションを通った人間なので、「完売」ということばにはある意味、魔法があるんじゃないかと思っています。

現在、特にファッションにはこれが足りていない気持ちも強くて、EC、店舗それぞれの在庫が可視化されて、いつでもどこでも買える。
これはオムニチャネル的には成功で、シームレスな顧客体験の実現をしている。

でも顧客目線でいうと、いつでもどこでも買えるということは、いつ買っても良いということで買う理由が一つ減ることになります。店頭の接客で「最後の1点ですよ」と言われても、ネットを検索すればECに在庫があることも多々あります。

需要と供給のバランスが、現在は供給の方が強くて在庫が多く残る。残った商品はECと店舗でセールにかかる。特にECを使ったセールは、在庫残ってますとネットを通じてロイヤルカスタマーを含めた顧客に発信しているのと同義です。

1990年代に世の男子たちを熱狂させた、裏原ブランドに学ぶことは多いように思います。需要と供給のバランスをあえて崩す。テレビ、雑誌で芸能人たちが着ているが、どこにも売っていない状況を作りました。需要の部分だけが増えて、供給が足りないということです。供給が足りないことで、店舗には行列ができ、プレミア価格で転売される状態になりました。(スニーカーは現在もそれを続けられてますね)

最近の事例でファッション以外だと、iQOSやNintendo Switchはその好例だと思っています。ともに長く入手困難な時期が続き、それがきっかけで欲しくなった人もいるのではないでしょうか。僕たちは、何でも欲しいときに、すぐに手に入れられる時代で生きていたので、急に欲しいものが手に入らない状況に耐性があまりないのかもしれません。

現在、様々な業界で廃棄、ロスの問題が取り上げられています。圧倒的に物を作り過ぎているんだと思います。せっかく作ったものを、使わずに廃棄するのは無駄ですよね。需要と共有のバランスを考えて、供給の部分はすでに多くの企業で完成していると思いますので、需要を喚起できる取り組みがもっと増えると良いと思っています。

すぐに完売してしまう、在庫は少し足りないくらいが丁度良いんじゃないでしょうか。

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