見出し画像

クラウドファンディングで伝えきれなかった想い

先日、金楠水産㈱のクラウドファンディングを公開しました。

去年、金楠水産㈱(以下、金楠)は【100年蛸。百年タコを茹で続けた男たちの「究極の茹でタコ」】と題した「タコのために開発したディップソースを付けて、茹でたてで発送する」という第一弾となるクラウドファンディングを実施。

結果として、目標金額の422%を287人の方たちからご支援いただきました。
本当にありがとうございました。


それから約1年、第二弾となる今回は第一弾と比べると、金楠水産としてはかなりチャレンジングな内容となりました。

昨年の「究極の茹でタコ」と一緒に、支援者に茹でてもらうためのたこ「時を超える茹でだこ」を入れて、味比べをしてもらおう!というもの。

何故、わざわざ支援者の手を煩わせるような商品を開発したのかというと、理由は単純で、

「そっちの方が美味しいと思ったから」

普段、僕たち金楠のメンバーは毎日のように試食や検品で茹でだこを口にしていて、当たり前のようにめちゃくちゃ美味い明石だこを食べているんですが、茹でた当日、つまり「茹でたて」を食べているんです。

やっぱり茹でた当日のうちに食べるのが茹でだこにとってはベストのタイミング。どうしても僕たちが茹でて皆さんにお届けするには、最短でも茹でた次の日になっちゃうので、茹でた当日を食べてもらうには皆さんに茹でてもらうしかない!

この茹でてもらうタコ「時を超える茹でだこ」は100年間茹で続けてきた金楠ではあり得なかった商品。100年間どうすれば美味しく「茹でられるか」を研究し続けてきたのに、茹でずに出荷する。まさにチャレンジです。

この内容を社長(父)は反対。そりゃそうだ。

社長の反対理由は大きく二つ

①「そんな簡単に美味しくタコを茹でることは出来ない」

金楠ではタコが美味しくなるために仕入れ・塩揉み・茹でる工程において細部にわたりこだわってきているから。僕もそのこだわりを引き継いできている。

要するにタコを美味しく茹でるのは超めんどくさいんです。でも、このめんどくさいこだわりの積み重ねが100年の歴史であり、金楠の明石だこの美味しさの秘訣。

じゃあ、その超めんどくさいこだわりの部分は金楠が全て行いましょう。後は、熱湯で茹でるだけ。研究し尽くした茹で加減も教えて差し上げましょう。それなら、誰でも簡単に美味しく茹でられるでしょ?ってことで解決。
(やや強引なのは認める)

②「美味しく茹で上げてお客様に届けるまでが金楠の仕事」

これもその通り。僕も少し前まではそう思っていた。僕なり考えたのは、何を届けるのが金楠の仕事なのか。

美味しいタコを茹でて、お客様の口に運ばれて、「美味しい!」って言ってもらった時の笑顔。その食卓の笑顔を作るお手伝いこそ、大袈裟に言えば食卓に笑顔を運ぶことこそ金楠の仕事ではないか。そう思った。

であれば、茹でる体験を経て、食卓に並んだタコは美味しい笑顔を必ず作れる。僕たちが茹でた以上に作ることが出来る。という考えを社長に伝えた。社長の答えは「なるほどな」
うん。これも解決。

紆余曲折、大してなかったけど、僕の強引なドリブルで「時を超える茹でだこ」は商品化へクラウドファンディングに挑戦することとなった。
この「時を超える茹でだこ」を是非手にとっていただき、いままで食べたことのないタコの食感と旨味を感じてもらいたい。そこにはきっと、笑顔があるはずです!

タコのこれから

今回、茹でてないタコを商品としましたが、この商品から、大きな可能性を感じてます。

今、家庭でタコ料理をするとなるとスーパーに売られている茹でだこを使うと思いますが、一度茹でたものをさらに加熱することでタコの旨味や食感は失われてしまい、タコ自体は美味しくなくなっていきます。

金楠の茹でだこも一緒。一番美味しいであろう茹で加減でお届けしているものから、さらに加熱することになりますから。言ってしまえば、金楠も美味しく茹でていた反面、タコの可能性を閉じ込めていたのです。

しかし、この「時を超える茹でだこ」を使えば、茹でてないから、焼いても揚げても美味しくなる。実際、炙って食べたけど、めっちゃ美味しかった!!

これから茹でるだけでなく、様々な表情を見せてくれる。今ある世の中のタコ料理がさらに美味しくなる。例えばタコ焼きだって、生地の中で最適な茹で加減になれば、今あるタコ焼き以上に美味しくなれる。
もっともっとタコは人を幸せにできる。それを世界中で叶え、タコで世界を救う。
それが金楠水産の息子として生まれた僕の夢であり、使命なんだと思います。
これからもタコに愛情を注ぎ、皆さまの笑顔を作り続けていきます!

金楠水産株式会社
四代目
樟 陽介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?