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タコは世界を救う

4月2日、僕は飛行機に乗っていた。
エミレーツ航空、EK797便。ドバイを経て、セネガルに向かうアフリカ人ばかりの機内で、少しの不安と不安を大きく上回る期待で胸がいっぱいだった。少しの不安は関空でWi-Fiを受け取り忘れた事ぐらい。

セネガルでタコを茹でたい。

こんな漠然とした事を考える様になって、1年も満たないが、この一言で沢山の人と繋がった。在セネガル日本大使館やJICAの方々、すでにセネガルで漁業の開発援助をしている企業、日本に27年間住み、タコの魅力されたセネガル人(ダボさん)。

やってみないと何も分からないし、変わらない。英語どころか日本語も危ういタコ屋だけど、とりあえずセネガルに行ってみよう。ということで、ダボさんと連絡を交わしセネガルの海を見に行くことにした。(ダボさんはセネガル在住)

何故セネガルなのかというと、アフリカはタコの最大産地。モロッコ、モーリタニアど世界の中でもトップの水揚げを誇る。セネガルはモーリタニアの南に位置し、タコが生息しているが、まだ水産に関しては発展途上。発展途上だからこそ、ちゃんとした技術指導や資源管理をしなければならない。世界中に美味しい茹でタコを供給できるように。

セネガルの首都ダカールにあるブレーズ・ジャーニュ国際空港に着き、飛行機から空港に向かうボーディングブリッジ内で男性に声を掛けられた。「アナタはクスサンですか?」的な一言。僕が空港内で迷わない様に、トラブルが無い様に空港で働く友人ダボさんが手配をしてくれていた様だ。

でも、ベルトコンベアの前で僕の荷物を待っている間に、彼を見失ってしまう。(結構長かったから…)。少しの間、待ってみたけど彼が戻って来る気配が無いので、空港の外に出てみよう。きっとダボさんがいるだろう。と思って出てみたけど…

いない。

黒人はいっぱいいるけど。。どれがダボさんやねん。。

きょろきょろしてる日本人には沢山のセネガル人が声をかけてくれた。「どこに行きたいんだ?」「誰を探しているんだ?」「連れて行ってやるよ」的な事を言ってた。「ダボさんを探してる」と伝えると「じゃあ、こっちだよ」って言うから「ダボさんに電話してくれ」と伝えると逃げていく。そう、彼らのほとんどは詐欺なのだ。「空港でニコニコ近付いてくるヤツには気をつけろ!」と、海外青年協力隊員経験がある従兄弟からの忠告のおかげ。

そんなことを繰り返してるうちに本物のダボさんと出会う。ダボさんは27年間日本に住み、奥様も日本人で2年程前にセネガルに戻った、いわゆる「セネガル人の顔した日本人」である。もちろん日本語はペラペラ。彼がいたからセネガルに来れた。

初めてのアフリカ・セネガルでは目に映るもの全てが新鮮。見渡す限り赤茶色の土。日本だと廃墟かな?と思える建物。枯れた草の塊が転がってたり、まるで「北斗の拳」。
でも、キレイで大きなアリーナ?的な建物やビルもあって、思った以上に都会。ダカールの中心地は、日本と変わらない。時々ウシが歩いてるのと、子供が物乞いをしてる以外は。

この日は、もう夕方だったからホテルにチェックインして就寝。Hotel good rade。

次の日、港に向かう。まずは「ンブール港」に行くことにした。セネガルでトップクラスの水揚げを誇る港だ。第一印象は「くせぇ」。港に着く前から「臭そうな場所」に向かっている雰囲気を感じた。何となくだけど、「今から行く場所は、きっと臭い」そう感じたのだ。魚屋の本能かもしれない。高校卒業後からずっと水産に携わり色んな場所見てきた僕でも「くっせ〜」って声出ちゃうくらいの「くせぇ」。
水揚げ場は砂浜で、波打ち際に船が並び人が溢れている。水揚げ場から丘に100mほど上がると選別場。コンクリートで整備されているが、決してキレイと言える場所ではなかった。魚の扱いもひどい。舐めてんな。。食べようと思える魚はいない。。

ここにいる人達は何かしら水産の関係者なんだろうけど、目付きが悪い。僕のことをジロジロ見てくる目が睨んでいる様な感じ。若かりし僕ならやっちゃってたね。(大嘘)
木の船が並ぶ波打ち際には活気が溢れている。漁師が獲ってきた魚がその場で売買されているらしい。人垣が凄くて近寄れない。するとダボさんが「喧嘩してる!ナイフ持ってる!とりあえず、離れよう。」
おいおい。マジかよ。日本の漁師も気性は荒い人は多いけど、ナイフは無いっしょ。それダメっしょ。

初めてのセネガルの海の印象は最悪だった。

次に向かうのは「ンガッパロ港」。この港はダボさんや日本企業が品質向上に手を入れており、魚の扱い方など指導しているらしい。ンブールと比べると水揚げ量が少ないからか穏やかな空気が流れていた。選別場は掃除が行き届いてて、さほど臭くもなく、水揚げされ保管されている魚を見ても、品質は全然違う。管理が行き届いているのが魚から伝わった。 まだ生きているタコもいた!このタコであれば美味しいタコが茹でれそう!もうちょっと工夫すれば、日本のレベルまで持っていけそう。

ダボさん達が伝えたことは「氷を使うこと」。鮮度を保つための初歩の初歩だが、それすらも浸透していない。タコは水を吸ってしまうことも伝えていたらしく、バケツには穴が空いており、溶けた水が溜まらない工夫がされていた。それは彼ら独自の工夫らしい。もっと良くしようとする努力が見えた。
ンガッパロにいる人達からは温かみを感じた。港の近くでは子供が遊んでいて、笑顔があった。子供の笑顔がその土地の豊かさを物語ってる気がする。この笑顔、守らなきゃ。

汚いンブールでは喧嘩。隣のンガッパロでは子供の笑顔。同じセネガルの海で、大きな差を感じた。
そして、目指すべきものも見えた。

タコを茹で、人を幸せにする。

世界中の人をタコで幸せにする。

沢山獲れど、価値が低ければ争いが起こり
少ない量でも、しっかりとした価値があれば笑顔が生まれる。幸せになる。
金楠水産が100年築き上げた技術や知識で魚の価値を上げる。もっと美味しい魚にする。そうすればセネガルの海に笑顔が増えるはず。
彼らはまだ、魚の価値を上げる方法は分かっていないし、価値があるものとも思ってないだろう。

まだまだ僕自身、金楠としても技術や知識を高めていかなければならない。
日本で多種多彩なプロから学び、茹でだこなどの加工技術に生かす。もっともっと勉強していきます!

まだまだセネガルではスタート地点にも立てていないが、この視察を通じてスタート地点に向かう覚悟を持つことが出来た。

#タコは世界を救う                          #タコは人を幸せにする

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